喪失の元凶
「…はぁ…」
昨日は散々だったな…
あの、ナノカってやつ…。あいつは何をしに来たんだ…!
「記憶が戻った方がいいかどうかだなんて…。そんなの戻った方がい…」
…でも…
「戻らない方がいいのかな…?ほかのみんなは戻ってほしいと思うんだろうけど、昔のワタシは戻ってほしいとは思ってないんじゃないか…」
こんなこと考えたってだめか。
というより、夢の中にでてきたあの子は…やっぱり、昔のワタシなのかな
「あぁぁぁぁ!!!!!!!もう!色々考え過ぎてわけわかんない!!」
ガラガラ
「!」
だ、誰?
「…」
喋らないのか…!?
『こんにちは、私は夢叶のあです。私は喋ることができません。私は以前、あなたの友達として一緒に過ごさせて頂いていました。』
!声が出ないのか…それにしても、丁寧だな。気を使っているのか…?
「あ…こんにちは。えっと、私の友達…ですか」
『はい。』
えっと…話しにくいな……
「あの、昔のワタシのことについて教えてくれませんか?」
…やっぱり聞いてしまうなぁ…
『…私は、十香さんより詳しくはないですが…。それと、あなたの精神状態が保てるかはわかりませんよ?』
…そんなに酷い話なのか…でも、ここで聞かなきゃ。
「…大丈夫です…」
『あなたは、記憶を失う前……』
「…え……?」
嘘…でしょ?そんなこと…あるわけ…だって…だって、私が…。それに、あの人がそんなことするわけ……
『あなたは、あなたの妹の舞流さんを殺し、その後、誠士さんの手によって交通事故に遭いました。道路に押し出したのは、誠士さんですから。』
「…」
私が妹を殺し、セイジさんが私を殺そうとした…?
『信じられないのも無理はありません。こんな事いきなり言われて思考が止まるのも無理はないですから』
…信じ…たくないけど…信じなきゃ…
「…ありがとうございます…」
『じゃあ私はこれで失礼します。』
ガラガラ
「私…は、殺人…鬼……」
違う
「妹の…舞流を殺……した…」
違う!
「そして…」
「違う!!!!!!!!!嘘!!嘘だよ…」
『ウソジャナイワ。アナタハサツジンキ。セイジガニクイ。』
…アタマ痛い…。
「もう、寝よ…忘れたい…疲れた…嫌だ…」
* * *