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少女


1話 少女




見覚えのない建物で目を覚ました。…どうやら記憶をなくしたようだ。まぁ、自分の名前が咲絢だということは覚えている。しかし、他に何も…いや、もうひとつ覚えている。

見知らぬ男に私は、こう言われた。


『君はどれだけの大切な人を失った?』



* * *

「ん…」

―ここは…?

「あら、おはよう」

―…誰。あぁ、この人は確かに、私の母も思われる…

「おはようございます、瑠美さん」

そう、瑠美さんだ

「瑠美さん、かぁ…」

?意味がわからない…

「今日はお客さんが来るみたいだからもう帰るわね」

「わかりました」

私は客が来るようなことをした覚えはないが…


コンコン


誰だ?

「よう…えっと、覚えてるか?俺のこと」

いや、覚えているわけないだろう。私は首を横に振った

「そうか、それもそうだな…」

…なんとなく、申し訳ない気がする…

「俺は、誠士だ」

…セイ…ジ…?

っ!

『君はどれだけの大切な人を失った?』

頭が痛い…

「…おい?咲絢?」

「あ…ご、ごめんなさい。それで何の御用で?」

しまった…考えてみてもわからないことなのに…

「あぁ…いや、覚えてないみたいだし、今日は帰るよ」

…来ておいてなんなんだよ。まぁいいか。

「じゃあ、な」

私は、頭を下げた

「セイジさん…か…」

なんか…

「っ!!」

な…!

「いったぁ…」

セイジさんのこと考えたら…頭が痛くなる…。前の私、咲絢は思い出すことを拒絶してるのか…?

とりあえず、いろいろと疲れたし、もう寝よう…セイジさんのことは…十香さんにでも聞こう…



* * *





コンコン


誰だ?

「こんにっちわー!」

……誰だよ……このテンション高いやつ…

「あ、さーやぁ!元気??」

いや、誰だよ…

「おーい?」

あーそっか。私の友人と思われる十香さんか

「どうも」

「元気そうだね、よかった!」

……元気だな、このひと……

「あ、あの1つ聞いてもいいですか?」

何を言っているんだ…私は…

「ん?なになに?なんでも聞くよ」

「私とセイジさんはどんな関係だったんですか?」

う…アタマイタイ…

「うーん、私からみたらすっごい仲のいい幼馴染って感じだったかなぁ?」

すごく仲の…いい…?

「そうですか、ありがとうございます」

私はセイジさんと仲が良かったのか…?セイジさんに聞いてみようか?明日…来るかな?セイジさん…

「ウ…アア……いったぁ……」

なんでだ…?なんでなんだ。なんでセイジさんのことを考えたらこんなにも

頭が痛くなるんだ…?


『ヤメテ…オモイダサセナイデ……』



「!?誰だ!?」

誰だ!?

「っ…!?」

やっぱり…アタマがイタイ…私の中にいる、昔のワタシが思い出すことを拒絶している…。でも、思い出さないとセイジさんや十香さんには迷惑だ。

でも…

とりあえず今日は疲れてるのかな…。寝てみよう。…明日、アタマ、イタくないといいが…

* * *


私は気がついたら真っ暗な闇の中にいた。

『ここは…?』

微かに光はみえる気がするが、ほとんど何も見えず、見覚えもない所だ。

『…ひ、かり…?向こうが少しだけ明るい…』

私はその光の方へ進んだ。

そこで私は、あるものを目にした。そのあるものというのは…

『…!?だ…誰…!?』

そこには、鎖に繋がれた少女がいた。顔は暗くて見えない。でも確かに少女が鎖に繋がれている…

『どういうこと…?それに、ここは何どこ?誰なの…?』

「ソコ…ニ…イ…ルノ…ハダレ?セ…イジ…ナノ…?」

セイジ…彼女は確かにそういった。セイジさんと何か関わりが…


バッ!!!

目が覚めた。

「何だ…ユメか…」

あの少女は誰だったんだろう…もしかして…昔のアタシ…?

まさか…ね



✽ ✽ ✽





「…」

暇だ…今日は瑠美さんもいないし、十香さんも、セイジさんもいない…。

暇だ…

「暇だひまだヒマだ暇だ!!!!」

ー誰かいないのか…


ガラガラ


「咲絢さん」

「…え?えっと、ど、どなた…」

誰だ…?

「こんにちは。いえ、はじめまして、那帆です」

「ナノカさん…ですか。」

ナノカ、か。昔のワタシの知り合いか?

「突然訪れてこんなことを聞くのは無礼かもしれませんが…。咲絢さん。あなたは、記憶は戻らない方が良いとお考えですか?」

は…?

「え、いや、意味がよくわからないんですが…」

「簡単な話です。記憶は必要か、不必要か。それだけです。」

「…私は必要だと思います。記憶がないと私の周りの人達に迷惑をかけてしまうから…」

きっと昔のワタシは拒んでいるんだろうな

「そうですか。では、迷惑ってなんです?」

「は?」

「だから、迷惑とはなんですか?」

こいつはなにが言いたいんだ!?

「迷惑って言うのは、他人のことで煩わしくイヤな目に遭う…みたいな感じのことじゃ…?」

「まぁ、そんな感じですね。」

ほんと、なんなんだよ…

「ですが、煩わしいと思っているかはあなたの周りの人達が決めることであって、あなたに選択権はないのでは?」

ほんとにこいつ…なんなんだよ!!

「なんで関係のないあなたにそんなことを言われないといけないんですか!!」

「関係ないと思っているのはあなただけですよ。私は昔のアナタの記憶にいたんですから。」

「!」

こいつ…!

「まぁ、そう言うのも無理はないでしょう。とりあえず、私が言いたいのはこれだけです。それでは。」

…なんなんだよ…ほんとに…



✽ ✽ ✽


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