死体処理班
「・・・・え?」
あれ? え?
もしかしてこの人優しい・・・の?
・・・怖いけど、話してみるか・・・?
「あ、あの。あなたは・・・?」
『む。すまない。まだ名乗っていなかったな。
私はキミタケ。見ての通りの浅ましい畜生だ。
フォルセティ殿に呼び出されて、食事をしていたのだ。』
「しょ、食事・・・」
やっぱりそうなのか・・・。
フォルがいたら間違いなくSANチェックっていうのが入ってたな・・・。
でも食事、かぁ・・・。そのためだけじゃないと思うんだけど・・・。
「なんでまたフォルはあなたたちを呼んだのですか? まさか食事のためだけじゃないでしょう?」
『いや、食事のためだけだ。
我らは人を喰らうからな。死体の処理に困ったフォルセティ殿が呼び出したのだ。』
「・・・・・そうなんだ・・・。」
聞かなきゃよかった。
『我らの世界では、我ら屍人は腫れ物のような扱いを受けている。
そのため我らは地下深くに隠れて暮らしていたのだが、どうやっても腹は減る。しかし地下では人間は滅多に来ない。
私たちは駅の地下で暮らしていたのだ。そこにはたまに自殺志願者が来る。
私たちはそれを喰っていたのだが、最近は自衛隊というのが攻めてきてな。だが地上に出るわけにもいかずに困っていたのだ。
そんなときフォオルセティ殿に呼び出され、この街にある死体を好きなだけ喰えと言われたのだ。感謝してもしきれない。』
「そ、そうなんですか・・・ん? 屍人?」
それってさっきフォルが呼び出そうとしてたやつじゃ・・・。
こ、こんなのと戦わされそうになってたのか僕・・・!
『今回は前回ほど数は多くないが、十分だ。
これなら同胞達の腹もしばらくは余裕で持つだろう。』
「前回?」
『あぁ、君はこの街に起きた悲惨な事件を知っているか?』
「・・・あっ。」
察した。
「あなたたち、この街の住人達を・・・?」
キミタケさんは頷いて答える。
『知っていたか。そうだ。フォルセティ殿から頼まれたのだ。
こんな数、どうしようもないとな。燃やしてもいいのだが、それだとこの街もみんな燃えてしまう。だから頼むと言われたのだ。』
「だからって、みんなを食べるなんてやり方・・・」
『仕方なかったのだ。それにフォルセティ殿はあまり乗り気ではないようだった。』
「え? でもフォルが頼んだのでしょう?」
『そうだ。
正確にはフォルセティ殿が我らのことを話し、この街の住人が我らに頼んだのだ。
我らを呼び出したフォルセティ殿はどこか悲しそうな、微妙な顔をしていたな。』
「・・・・・そう、なのですか・・・。」
・・・フォル・・・。
僕は目を閉じて彼女のことを考えた。
目の前で、自分が呼び出したものに待ちのみんなを食べられるなんて・・・たとえ彼らが頼んだことだとしても、一体どれだけ辛かったのだろう。
僕は目を開けると、落とした剣を拾い、キミタケさんに向き合った。
「・・・・・僕はこれから城に向かおうと思います。フォルたちを助けないと。」
『そうか。だがフォルセティ殿なら大丈夫だろう。私としては君のほうが心配だが?』
・・・化け物に心配される勇者ってどうなんだろう・・・。
ちょっと泣きそうになりながらも僕は力強く答えた。
「確かに僕はあの二人に比べたら弱いでしょう。力になれるかもわかりませんが、それでも行きます。それに、僕ならもう大丈夫です。」
『・・・そうか。では私も共に行こう。
この街には我らが同胞がたくさんいる。君の事を誤解して襲ったりする者もいるかもしれないからな。』
あぁやっぱり、屍人ってまだたくさんいるんだ・・・。
・・・でもこの人と一緒なら教われないのか。だったら、
「・・・あ、ありがとうございます!」
素直に受け入れよう。なんだか変な感じだなぁ。
キミタケさんは僕の答えを聞くと、うむ、と頷いた。
『私が一緒にいる以上、我らが同胞達も君の事を手伝ってくれるだろう。
だが気をつけろ。この街には同胞達の他にもまだ騎士達の生き残りもいる。もう残り少ないが、彼女たちは間違いなく我らを襲ってくるぞ。』
「分かりました。警戒していきましょう。」
そう言うと、キミタケさんは一緒に食べていた屍人たちのもとへ行き、短く会話を交わすとまた僕のもとに戻ってきた。
多分僕と一緒に行くことを説明したのだろう。・・・それじゃ、行こう!
城にはフォル&魔王が
街には勇者&キミタケ及び屍人がいることになります。
クトゥルフのシナリオは『クトゥルフの呼び声』が一番好きです。
現代物でおもしろいですよ。KPさんにもよると思いますが・・・。




