生き返りました。でも・・・
ここから勇者視点だよ。
「・・・ん。」
目を覚ますと、さっきの通路にいた。
僕は壁に背を預けて座りこんでいる。
・・・あれ。僕死んだんじゃなかったっけ・・・?
確かおかしくなったフォルに殴られて・・・頭を撃たれたはずだ。それなら床に倒れているのが普通ではないだろうか?
僕は不思議に思いながら周りを見渡した。
周りには焼け焦げた壁、銃痕が残っている血に塗れた床。そして血で汚れて、もはや呪いの本にしか見えないアースガルド冒険譚。・・・そういえば何でタイトルにはアースガルドって名前があるんだろう?
僕の頭には包帯が巻かれているようだけど、体には傷一つなくなっていた。
まるでさっき死んだのは嘘だったみたいに。
・・・でもそれは嘘じゃなくて、本当に死んだんだと確信できたのは、僕の服が血に濡れていたからだ。うえぇ・・・気持ち悪い・・・。
さっきまで持っていた勇者の剣が消えていた。どこにいったんだろう?
「・・・あれ、フォルは・・・シオンは・・・?」
意識を失う前には確かにいたはずの3人がいない。どこかに移動したのだろうか?
さらにあたりを見回すと1冊の本が落ちていることに気付く。
開かれているページにはおいしそうなカレーライスが描かれていた。どうやら料理本のようだ。
・・・そういえば、僕らは料理本を探すために移動してたんだっけ。
もともとはフォルの本の魔法を見るために、信じるために探していた料理本。
カレーライスが描かれているのは、僕がカレーを食べたいと言ったからだろうか。
「・・・・・・・探してみよう・・・。」
どうせ今やれることなんてそれくらいしかないのだし。
ここで待っているのもいいけれど・・・なんでだろう。
僕の勘が、本能が、いますぐフォルを探せと叫んでいる気がする。
まだ完全には覚めきっていない体を無理矢理に動かして立ち上がった。
どうやらかなりの時間意識が無かったようだ。もう窓の外の景色は夕方からすっかり変わって今は夜明け前・・・だろうか。暁ともいう幻想的な空が広がっている。
「いつもは眠っていて知らなかったけど・・・こんな時間もあるんだな・・・。」
そんな空の下にはまた素晴らしい街並みが広がっている。元々は王都だっただけあって、かなり広いようだ。
街には草木や色とりどりの花々が多く咲いていて、流れる川には澄んだ綺麗な水が流れている。ここから見える建物はほとんどがレンガ造りの建物だ。
奥には少し小高い丘があり、そこには大きい立派な城があった。あれが旧王城なのだろう。
「・・・ん?」
王城の方に向かってゆらゆらといくつもの炎が揺れている。誰かいる、みたい?
・・・・・・あれ? でもこの街の住人はみんな幽霊で生きているのはフォルだけだ。つまりこの街で炎を必要とするのはフォルくらいになるはず。
でもフォルだって炎はあんなにたくさんは必要ないはずだ。それに多分魔法でなんとかするだろう。
じゃあなんで・・・?
そこで僕はさっきのフォルとの会話を思い出した。
そうだ、彼女はさっき・・・
『この国は今戦争中で、この街もたまに戦場になったりするんだ。
でも攻めてきたって私たちが追い払っちゃうんだよ。』
そんなことを言っていたはずだ。
・・・・・ということは、まさかあの炎は・・・・!?
全身から血の気が引いていくのを感じた。
僕は落ちている血まみれのアースガルド冒険譚を抱えると、炎が揺らめく王城を目指して走り出した。
これがただの勘違いであることを願いながら。
「お願い、フォル・・・無事でいて・・・っ!」
街はスイスの首都、ベルンがモデルです。もちろん完全に同じにはなりませんが・・・イメージはベルンってことで。
まぁもう少しでこの話は終わるんですけどね。
なんだかたくさんの人に見てもらえてるみたいで嬉しいです。ありがとうございます!
とりあえず勇者がフォルを助けたら終了です。あと5回あるかないかくらい。
そこからはタイトルも変わってまったく新しい話になっていく予定。
つまりは別の作品になります。ぶっちゃけこの作品は見なくても大丈夫になります。あらすじ書くつもりなので・・・。




