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勇者になるはずだった僕は、  作者: ユウキ
戦闘チュートリアル
18/60

探索者のエントリーだ!

忍殺語リターンズ。

TRPGではプレイヤーキャラのことを探索者たんさくしゃと言うのです。


銃は僕を狙って何発も連射してきた。

それを僕はなんとか後ろに跳んでかわしていく。


こ、攻撃があからさまに僕を殺すつもりなのだ!

勇者としての記憶が流れてきてなかったら死んでたぞ!?


たまらず僕はフォルに向かって叫ぶ。




「フォル! どうして僕を攻撃してくるのさ!?」


「へぇ、今の攻撃をかわしたか。

いいねぇ、そうこなくっちゃねぇ・・・!」




だめだ。僕の声は彼女に届いてないようだ。

フォルは楽しそうに笑っているが、相変わらずその目は狂気じみている。

一体彼女に何があったっていうんだ!?



彼女が小声で何かを呟くと、本と一緒に彼女の体も光り出した。

そして光が消えた後、そこにいた彼女はさっきまでの白い服ではなく赤黒いフードのついた服を身に纏っていた。

彼女はつけていたベルトで腰に本を固定すると、持っていた銃を構えた。




「・・・別に怖いわけじゃない。震えるほど嬉しいんだ。

・・・誰かを殺すことができるのがなァッ!」





・・・何があったかはわからないけど、今のフォルは明らかにおかしい。

まずは彼女の動きを止めないと。




「・・・ごめんね、フォル!」




今の彼女には届いていないだろうけど、そう言って僕は床を蹴った。

そして一気にフォルの元まで跳んで行き、剣を振り上げる。


彼女は何かを呟くとダイスを振った。

何をするつもりかはわからないけど、でもさっきみたいに一撃で決めてやる・・・ッ!




「はぁっ!」



勢いよく振り下ろした剣はフォルにあた・・・






・・・らないッ!?


フォルは当たる瞬間に身を翻して僕の攻撃をかわし、そのまま持っていた銃を僕の頭に向かって振り下ろした。




「ゴウランガ!」


「がっ、はぁ・・・っ!?」





僕の頭からゴスッと鈍い音が響いた。




『ユーシャ!?』


『タイヘンタイヘン! アタマカラチガデテル!』


『ドウスレバイイノー!?』


『ユーシャ、イマハウゴイチャダメダヨ!?』




視界が霞んでいく。周りの世界がボヤけだす。

ただ、なんとなく頭上でシオンたちが慌しく飛び回っているような気がした。


だ、だめだ・・・。

今ここで倒れたら・・・殺される・・・っ!


動いちゃだめと言われても、今は動かないといけないんだ。

そうしないと殺されてしまう・・・それにフォルも助けられないんだ!




でも、そう分かっていても頭が働かない。

どうやら今の一撃で脳震盪を起こしたようだ。・・・くそっ!



どうすればいい!?

そう思っていると、僕の頭に何か硬いものが押し当てられる感覚がした。




『フォルーーーッ!?』


『オネガイヤメテー! ユーシャモニゲテーッ!』




シオンたちが必死に叫んで訴えてきた。


あぁ・・・さっきは動くなと言ってたのに、今は逃げろ・・・か・・・。

それにフォル・・・じゃあこれは銃を押し当てられてる、のか・・・。

・・・終わったな・・・・・・・。


もう目の前は真っ白になっていた。

でもなんでかな・・・銃を押し当てているであろう彼女が・・・とても愉しそうに笑っている気がした。




「ハイクを詠め。カイシャクしてやる。」




彼女はそう言ったけど、もう僕は口どころか手も足も・・・動かす気力すらもない。

僕が何も言わない、言えないことを見ると、彼女は口を開いた。




「いいの?

・・・それじゃあユーシャ=サン。サヨナラ!」




最期まで・・・意味の分からない人だった、なぁ・・・。

直後、乾いた銃声が一発響いて・・・それを最期に僕の意識は消えていった。

実際、TRPGでもステータスや武器なんかがいいと無双できちゃうから困る。

もちろんGMさんにもよるだろうけどね。


フォルはこの本を『武器』として扱っているので、STR、CON、POW、DEX、INTは最大値です。そのほかは適当だけど高めに設定しています。

でもその分今みたいにSANチェック失敗するとえらいことになります。


フォルは普通にTRPGをやろうと思ったらもっとマシなキャラ作ります。

でも彼女の魔法的に作る必要はないのです。だって本の中の世界に入れるんだもの。わざわざ演じる必要がないのです。

さらに言うとやる友達もいなかったのです。一人でTRPGはできないのだ・・・。

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