違和感の正体
「元から、無かった・・・?」
「うん。その本の中、ちょっと開いて見てみなよ。」
そう言われて僕は適当なページを開いてみる。
中には、
『王国は滅亡の危機にさらされた!』
『勇者は国王の命により姫の救出に向かった。』
『村人達は勇者に次々と助けを求めてきた』
など、確かに村の名前や人の名前は出てこなかった。
「どうかな?」
「・・・うん。確かに書いてないよ。」
『ジャー、ホントーニ?』
『ユーシャクンニハナマエガナイノ?』
「・・・そうみたい。」
どうやら僕には本当に名前が無かったようだ。
むしろ今までどうして名前が無いことに違和感を覚えなかったのか不思議でたまらない。
本当に僕はこの本の中の世界にいたのだということだろうか?
それなら前にこっちで感じたあの感覚は、
「・・・僕、前にもこんな感覚がしたことがあるんだ。」
「え?」
「ここが図書館だって聞いたとき、僕の村にはそんな場所なかったのに図書館について知っていたんだ。他にも酒場に行けば情報が集まる、とか。
聞いたことも無いのに知っている。そんな感覚が、前に・・・」
それを聞いたフォルはうーん、と少し考えてからポンと手を叩いた。
「・・・うーん、きっとそれは『読み手が持ってる知識』じゃないのかな?」
読み手の持ってる知識?
「そうだなぁ・・・つまり『それ知ってないと先に進めないような知識』って言ったほうが分かりやすいかな?」
「??? ますます分かんないよ?」
「うーん、そうだな・・・じゃあ勇者君、剣は使える?」
「使えないよ。剣の扱い方なんて誰からも聞いたことが無いし。」
「そっかー。じゃあついでだし本の魔法の使い方についても教えてあげよう。
勇者君、その本を持って『自分に合う一番強い剣』のことを考えてみ」
「え? ・・・よ、よくわかんないけど・・・」
とりあえず言われたと通りに考えてみる。
(強い剣・・・僕に合う・・・一番強い・・・。)
すると突然持っていた本が光りだした!
「う、うわぁっ!?」
『マブシイヨー!?』
『ナニモミエナイヨー!?』
あまりにもまぶしくてとっさに目を閉じてしまう。
そして目を開けたときには、僕の目の前に立派な装飾がされた片手剣が浮かんでいた。
「え、な、なにこれ!?」
「おぅ、成功? ・・・マジで使えちゃったよこの人・・・」
「成功? ・・・じゃあ、これは・・・」
うん。とフォルは力強く頷いた。
「君に合う一番強い剣、さしずめ『勇者の剣』ってところかな?」
まぁとにかく取ってみなよ。
そう言った彼女の言葉に頷いてから、僕はその剣を手に取った。
前の話を見て、やっぱり疲れてるときに書くもんじゃないと思いました。
でも面倒なので直しません。気が向いたら直すかもしれませんが、どうせ説明回で、正直どうでもいい部分ですしねー。