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01

前回からやけに話が飛ぶ上に、描写形式も掲示板式から変わります。技術のなさが生んだ結果です、すみません。

【露草】

「前回までのあらすじ! なんだかよく分からないが、とある平行世界のゲームに招かれたKAZAKOSHIれんじゃー一行は、友情を深めたり深めなかったりしながら大都市カフェイクルに到着した。 装備を整え散財した後、ちょうどうまい具合にバトルロワイヤル的な何かが開催されていたので、力試しと暇潰しを兼ねて彼女たちは戦いに赴いた。仲間たちの真の力、潜在していた新たなる力! 覚醒した撫子や空、新スキルを覚えた桔梗や銀朱の活躍により、決勝まで順当に勝ち進んだ彼女たちの前に現れたのは『最強』の名を冠する二人組+一匹だった! ちょうど、リーダー(笑)であるわたくし露草と同じジョブを極めている彼に、紙装甲のくせしてメイン盾を敢行していたわたしは、なすすべもなく敗れてしまう。しかしここで、げきおこぷんぷん丸着火ファイヤー状態の常葉さんと、最強チームが召喚した猫に興奮した卵が突如コンボ、巫女パワーをああだこうだして例の双剣士の無力化に成功する。その後回復したわたしは、双剣を極めし者の通常攻撃を勝手に必殺技へと昇華し、残った魔術師を見事撃破! こうして、初参加にして優勝をかっさらっていったKAZAKOSHIれんじゃーは打ち上げをすることにしたのだった」


【常葉】

「長い、三行で」


【露草】

「買い物からバトロワまでのいきさつはエターなった。仲間がそれぞれ成長した。今回は打ち上げから」


【常葉】

「闘技場とかトーナメントとか、未更新フラグだからね。致し方あるまい」


【露草】

「かたじけねーな」


【常葉】

「しかし、おもしろそうなシーン全部ロストしてない?」


【露草】

「掲示板形式で戦闘描写とか……苦手にシステム的苦難を上乗せしてどうするんですか私!」


【常葉】

「つまるところ、技術も根気も足りなかったってこと?」


【露草】

「あとセンスもお願い。そいじゃ、本編始まるよー」




☆★☆★☆★☆★☆




 大都市カフェイクルの、二番目に大きな建物にて。


「かんぱーい!」

「うぇーい」

「おごりだから、どんどん頼んでってだって」

「え? いいの? すごい太っ腹だね!」

「誰のおごりか知らないけど、ありがとう」

「卵は真面目だね~」


 カフェイクル領主が主催したプレイヤー対抗戦、通称カプトーナメントの優勝者たちは、会場を貸し切ってどんちゃん騒ぎに興じていた。とは言え、ホンモノのJK六人と人外である。いつもここを利用するプレイヤーたちとは、うるささの種類が違う。

 奴等は酒とか遠慮なく頼んだり、容赦なく下ネタで盛り上がったり、主に女性陣の発言で場が凍りついたり、その後、烈火の如く着火ファイヤーした男性陣が、例の発言者の著作物を火祭りにあげたり、とモラルもへったくれもない、内輪向けハートふるぼっこ☆パーティーと化しているのだが、彼女たちに限ってはそんな酷いことにはならない。


「まずはドリンクだよね」

「温かいお茶で!」

「そんなんある訳ないだろ」

「結構種類があるねぇ……この裏側は、っと」

「おSA☆KEだねー」

「えええ、ホントに?ちょっと……マジで?」


 SA☆KEが乗ってるメニューを女子高校生に渡すとか、従業員の教育がなってないとクレームされても仕方ないレベルである。ちなみに、持ってきたのはここの従業員であるが、選んだのは巨悪こと常葉さんである。身内に毒あり。まさしく裏切りであった。


「これって、あり?」

「あるってことは大丈夫なんだよ、たぶん」

「卵は?」

「まだ十八だし、やめとく」

「一応、『酔い』は状態異常として登録されてるから、万が一なっても卵が正気なら理論上大丈夫だよ」

「じゃあ、露草はのむ?」

「要らぬ。わたしは熱い緑茶が欲しいのです」


 温かいから熱いへ進化を遂げるグリーンティ。いったい彼女の何が凍えているのだろうか。ココロ……いやハートか。


「体です物理的な寒さです」

「急に何を言い出しているのかね、君は」


 そんな凍えるリーダーを差し置いて注文は次々と決まり、やがて全員の前に頼んだ飲み物が届いた。すると、露草は急に改まった表情を作り立ち上がる。


「もう乾杯はしちゃったけど、みんなにお知らせがあります」

「えーなにー?」

「お知らせ?」

「もったいぶるのもアレだし、待たせても悪いから早速紹介するね。我々KAZAKOSHIれんじゃーの新たな仲間、白銀! 黒鉄! 赤銅!」


 露草はあらぬ方を向いて、叫んだ。新メンバーの名前である。なんか格好いい感じに紹介したかったのだ、しかし何も思い付かなかった……。そんな哀愁がそっぽを向いた彼女から伺える……のかもしれない。

 そんな露草の掛け声に応じて現れたのは、奇妙な仮面をかぶった三人組。それは黒と白、それから赤い曲線が描かれている、なんとも不気味な仮面だった。


「KAZAKOSHIの硬き盾こと白銀。ジョブは騎士、みんなウチを頼ってね!」

「え?えーと。KAZAKOSHIれんじゃーずの新しい物理役! モンクの黒鉄とはあたしのことだよ!」

「忍ぶ者ことクノイチ、赤銅! KAZAKOSHIれんじゃーの背後は、わたしに任せて!」


 白く輝く盾を掲げ、黒い布で覆われた拳を硬く鳴らし、赤い黒装束をたなびかせ、新たなる仲間は爆誕した。それは、シロガネ・クロガネ・アカガネの、がねっちトリオである。


「おおー」

「わー。忍者だ、格好いいー!」

「めっちゃ強そうじゃん!」

「ま、まさか、黒鉄さんは素手で戦うの!?」

「へぇ。その盾もだけど、全体的に固そうだな」


 旧KAZAKOSHIれんじゃーの第一印象は、そう悪くないようだ。各々が各々にそれぞれ歓迎の言葉を述べている。

 対するがねっちトリオは誰もかれも、気恥ずかしそうに頬を染めていた。たぶん関係性は薄いが、自己紹介の口上が、ダークヒストリー風だったせいかもしれない。

 みんな、もっとロールプレイングしてもいいんだぜ?


「あっさり受け入れてるね、良かった良かった」

「人が用意したセリフだというのに、恥ずかしがるとは何事だ」

「例のあれは常葉さん作だったのか。つか他人が作ったものの方が恥ずかしくならん?」

「せやろか」


 心配性の露草はウンウンと頷く。KAZAKOSHIれんじゃーの中で最もコミュニケーション能力が低いというのに、偉そうな言い種である。彼女はパーティーメンバーを信じられなかったのだ。あと方言がやばい。

 一方常葉さんは、もうなんて言うか、素だった。隠しすらしてない本性と、リーダー(笑)から浸食されつつあるポンコツ具合が、見え隠れしている。


「ところで、そろそろその仮面について聞いてもいい?」

「ウチも気になってた!」

「なあにそれ?」

「素顔は見せられない、とかか?」

「何か事情があるんですか?」


 いかにも怪しげな装飾具に注目が集まる。がねっち三人衆のテーマカラーを集めたカオスな仮面の様相は、聞いてくれと言わんばかりだったから、仕方がない。三人は内心冷や汗をかきながら、露草を仰いだ。


「ああ、構わんよ取って。あと卵、そんなに畏まらなくても大丈夫だよ」

「えっ、でも……」


 突然のタメ口許可発言にたじろぐ卵。しかし、その表情は次第に喜色へと変化する。他のKAZAKOSHIメンバーも同じだ。特に空は、口と眼を大きく開いて驚きを表現したかと思うと、次の瞬間には身体中でその喜びを露にした。


「わー! 久しぶり! クロガネ、それにハク子!」

「うんうん、久しぶり!」

「ぐわっ」

「大丈夫? しっちゃん」

「なあんだ、クロガネにハク子だったんだ。あっ、じゃあ赤銅は……」

「ハーイ、アカガネさんでした」

「おおっ、アカガネさんだったのか、全然分かんなかった」

「えっ。みんな知り合いじゃん、どういうこと!?」


 空の渾身の一撃『突撃』を食らってハク子こと白銀が呻く。しかしそこはさすが、みんなの盾を自称する騎士さまである、ちょっとよろけただけでしっかり空を受け止めた。一方、黒鉄は鮮やかな身のこなしで、空の突進を避ける。白銀は恨めしそうに黒鉄を見たが、黒鉄は気にせず空と戯れていた。

 赤銅はと言えば、桔梗と朗らかに挨拶を交わしていた。とてもジョブが忍者だとは思えない、元気さ。職業上の特性を受け継ぐ白銀や黒鉄とは違って、彼女は忍ばないタイプの忍者らしい。まあ『忍べよ』といいたくなる忍者なんて、二次元では珍しくもないかもしれないが。


「どうもこうも、新しい仲間だよ。カットされたバトロワで、私たちKAZAKOSHIれんじゃーの反省点が分かったと思うけど」

「えっ?」

「なんかあったっけ?」

「反省点って……どこ?」

「マジですか」


 出鼻を挫きついでに、リーダーを落ち込ませるこの連携、さすが敵には回したくない三人組と名高い、撫子・桔梗・卵である。

 オトゥフな精神力を持つ露草は、目から塩水を流さざるを得ない。思ったけどこれって、痛みで眼を開けられないよね。


「えーと、卵とか銀朱とかが安心して本気を出せるような、そんな護りを持つ人が欲しかったんだよ。バトロワまでは私が担当してたけど、頼りなかったでしょ?」

「うん。……あっいや、そういうことじゃなくて」

「うーん、他に比べられる人がいないから分かんないや」

「……確かにそうだね。だったら、白銀が仕事するようになった時に、あの頃の露草は頼りなかったなあ、って思い出してくれればいいよ。とにかく、桔梗よりも前で戦えるタイプのジョブが増えたから、これから戦いは安定することになるね。赤銅は桔梗ポジションだけど」


 白銀と黒鉄が矢面に立ち、その二人と空が物理アタッカーとして活躍する。桔梗と赤銅は戦況に応じて、臨機応変に前列と後列を行き来してほしい。撫子と卵は他の面々の補佐をしつつ、銀朱とともに後ろから魔法やらなんやらを放つ。

 リーダー露草の思惑はそんなとこだろう。理想的なパーティーフォーメイションではあるのだが、気付いただろうか?そう、そのリーダーこと露草の記述がないのである。彼女はおそらく、今まで通り仲間を生かす戦い方を続けるのだ。文字どおり、自らを敵の攻撃に対する壁とすることで、仲間の命を生存させる。つくづく双剣士とは思えない戦術だった。


「まあ、これはパーティーがこれだけ揃っていて、初めてできることなんだろうけど」

「つか、露草さん要らなくね?」

「おいやめろください」

「ところでおれの記述もないんだけど……」

「えー?常葉さんは……その辺で遊んでてくれる?」

「しょーがないなぁ。その辺のプレイヤーを取っ捕まえて全力で遊んでくるわ」

「やめてあげてくださいお願いします」


 小心者の露草さんは、弄ばれたプレイヤーから訴えられるのが怖いのだ。臆病者め。


「ブーメラン乙」

「泣いてなんかないよ!」

「(慰めて)ないです」

「……泣いた」


 でも大丈夫。たぶん被害にあったプレイヤーさんも、臆病な小心者なので、きっと露草さんは訴えられないでしょう。と、いう風に常葉さんが手回しすることでしょう。

 発端は露草さんの口だというのに、なんという鮮やかな手並み。まるで悪徳商人か、PK集団であるかのような振る舞いです。


「てか、これあたしたちも食べていいの?」

「そうだね、みんなが勝ったお祝いだし」

「えー、別によくない?」

「ハク美の言う通りだよ、ほらここ座って」

「そんなん気にしなくていいって」

「みんな遠慮しがちだね、あたしが全部食べちゃうよ?」

「銀朱!これは白銀たちの分なの。はい、どうぞ」

「もー、銀朱ったらおっちょこちょい」

「ふんべろりぃ」

「お前は何を言ってるんだ……」


 そういう訳で、特になんの心配事も起こらず、新メンバーはKAZAKOSHIれんじゃーに快く受け入れられた。

 十人全員揃ったので、とうとう物語の核心に迫れるか。バラバラなようで共通点を持つKAZAKOSHIれんじゃーずの明日はどっちだ!

 次回も眼が離せないぞ!!


「たくさん食べたね~」

「うーん、美味しかった」

「軒並み色が変だったけどな」

「でも、アイスは美味しかったよね?」

「味と見た目が珍しく同じだったよー」

「アレはアレで、これぞファンタジーって感じがしていいじゃん?」

「そ、そうなんだ」

「露草、あとで奢りの人教えてくれない?」

「まだ言ってたんかい(笑)大丈夫、心配せずともそのうち会えるから」

「常葉さんダヨー」

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