序章
この小説は、少々欝な成分が含まれております。
それらの小説がお嫌いな方は、申し訳ありませんが、読むのをおやめくださいませ。
それでも構わない、という方は、どうぞ、お読みくださいませ。
この世界は、狂っている。
突然、何を言うのかと思われるだろうか。ただ、これは俺の思案の結果である。
否定も、肯定も、誰もしなくても良い。誰も批評はしてくれなくて結構。これは、俺の思案の結果なのだから。
何を理由として、狂っていると記すのか。その理由を示さねばなるまい。
まず一つ。人間などという、酷く醜悪な物体が、この美しい地球に蔓延って居ることだ。
ああ、素晴らしい人間もいる、などというありふれた意見はよしてもらおうか。これは俺の言葉を垂れ流しているだけであって、ディベートをしようというわけではない。何より、善悪論などは、ただの水掛け論としかなりえない。
最も、俺は性悪論者であるわけだが。
そして、俺は反吐が出るほどの完全主義者であり、潔癖症だ。汚いところがあれば、すぐにでもそれらを嫌う。
そんな俺が、人間を嫌うのは無理がないだろう。
お互いが高度な知的生命的であるのにもかかわらず、話し合うなどということすらせず、ただ単に感情をぶつけ合い、傷付け合うだけの不毛な生物であるからだ。
ああ、でも愛というものがあったか。とてもとても美しい物だったな、それは。人間が生み出した言葉の中でも一、二を争うほどに美しい意味を持つ言葉ではないか?
だが、これを実践できている輩は何人居るのだろうか?胸を張って、私は実践している。そういいはれる人間は、俺は尊敬しよう。
愛とは何だ?
さぁ、この問いに即答できる人間はいるか?恐らくはいまい。感情なのだからな、これは。自身の感情すらろくに制御できない人間が、これを言葉で表すなど不可能に近いだろう。
さて、この上でもう一度問おうか。
愛を、実践できている人間はいるか?
さぁどうだ?分かるまい?判断できかねるだろう?
自身が生み出した美しい言葉を、せっかくの言葉を実践しているかどうかは分からず、罪、戦争などといった、恐ろしい言葉ばかりをひたすらに実践している。これを愚かといわずなんと言う。
故に、俺は人を嫌う。素晴らしい人格者も居るだろう。美しい精神を持ち、愛を振りまく人間も居るだろう。
だが、俺はそれでも人類を軽蔑し、侮蔑する。一部の者のために、大多数の人間の行いを俺は否定しよう。
以上が、この世界が狂っている、俺が感じる理由の一つだ。以降も、記して行こうと思う
――世界で一番の狂人「草薙 仁」著 『堕落』より抜粋
以上が、序章となります
次からは、本編へと入ります