3「私のパシリになりなさい!」
知り合いが、「夏風 紅蓮葉」って名前がかっこいいって言ってました。
女の子の名前がかっこいいってのはどうなんでしょうね?
-朝-
あれから、またレスは増えていた。
俺は昨日の「あれ」を思い出して苦笑した。
少し、やり過ぎたかもしれない。
それと、知り合いからメールが来ていた。
俺が紅蓮葉の名前を聞いた知り合いだ。
sud:紅蓮葉の過去
変な噂聞いたんだ。
紅蓮葉は、小学校の頃は水泳が全国大会レベルの腕だったのに、
中学に入ってから、水泳を止めて、
更に、水泳の授業にも出なくなったらしいんだ。
所詮、噂だし紅蓮葉が泳ごうが泳ぎまいが関係ないので、メールは気にしないことにした。
そして学校に行った。心配ではあるが、
今日で悩みも解消されそうだから。
-教室-
いつものように、”手紙”を処理し、席に座る。
そして、本を読み始める。普通の本に偽装した”ラノベ”を。
「(デレばん可愛ええ)」
折角ラノベのキャラに萌え殺されてたのに、突然慎也が五月蝿く話しかけてくる。
「見ろよ、和也!四季の皆さんがビラを配ってるぞ!」
岐阜南第三学園の四季……いや欠けた四季とは、「木下春」、「井上 秋菜」、「冬月 菘」の3人の事を言う。
3人はこの学校のアイドルとも言える3大美少女である。
全ての人物の名前に季節が入っているので四季、または夏だけ居ないために欠けた四季と呼ばれている。
名前に夏が入っていて、可愛い娘はそこそこ居るが、この三人のレベルには及ばない。
それほど、この三人は美しいのだ。
さらに、この3人は生徒会役員をやっている事でも有名である。
会長の春が、四季以外のメンバーを入れなかったために人数不足が起きてるとも言われている。
ちなみに、この三人は俺に対しては興味がないようだ。
その事については、面倒事が嫌なのでとても嬉しかった。
とりあえず、配っていたビラを貰う。
何々?臨海学校のお知らせ?
……興味ないな。
-昼休み-
その後、いつもの様に完璧超人の仮面を被り、過ごした。
そして、今は昼休み。もう、弁当は食べた。
「じゃあ、行くか~」
「ん?どこにだ?」
「秘密だ」
慎也の質問に適当に答えつつ、俺は裏庭に向かった。
-裏庭-
居た。紅蓮葉だ。
「やぁ」
とりあえず、声をかける。
「あっ、せっ、先輩。来てくれたんですか?」
「まぁな。で、早速だが、一昨日の事は忘れて欲しいんだが」
いきなり、ド直球の事を言ってみる。
「あの写真のこと?」
ん?口調が変わったような?
「ああ、俺は完璧超人を演じてるだけのオタクだ。そのオタクの部分を忘れて欲しい。
そして、誰にも言わないで欲しい」
「ん~そうだなー。じゃあ、私のパシリになりなさい!」
「は?」
パ、パシリだと!?
「私が焼きそばパン買ってこいと言ったら直ぐに買ってくる事」
「はい」
「私がコーヒーが飲みたいと言ったら直ぐに買ってくる事」
「はい」
……口調変えた理由が分かったぞ!完璧にこっちが下だと分かったからだ!
そう、考えていた俺に紅蓮葉は少し恥ずかしがりながら、再び口を開く。
「そ、そして」
彼女が少し俯いてこう言った。
「わ、私が直ぐに来いと言ったら
ホントに直ぐに来ること!
三十秒以内だからね!」
それと同時に、俺を指差して来た。
効果音をつけたら「ビシッ!!」
みたいな。
その後、彼女は俺に電話番号とメールアドレスを書いた紙を渡して去っていった。
-放課後-
いつ、パシられるのかビクビクしていたが、結局連絡は無かった。
その代わり、別のことがあった。
昨日の不良に呼び出された。
昨日の復讐かな~と思っていたら、舎弟が出来た。はい、その不良です。
不良いわく、
「兄貴の戦いに惚れました!一生付いていきます!」
だ、そうだ。
……とりあえず、暇な俺はその場で彼らに稽古を付けて、帰ってきた。
……そういえば、あいつらの名前、何だったかなー。ま、いっか。
と、今日あったことをスレに書き込む。
すると、
210:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/6/16(木)
ツンデレktkr!
211:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/6/16(木)
でも、そこまでツンデレってわけでもなくね?
少し弱いっていうかさ。
212:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/6/16(木)
てか、名前覚えられてない不良カワイソス。
213:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/6/16(木)
まさかのパシリw
214:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/6/16(木)
それならさ、弱アルカリ性っぽく、「弱ツンデレ性」ってのはどうだ?
215:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/6/16(木)
>>214面白い。気に入った。
こうして、謎の造語、「弱ツンデレ性」が誕生したのである。
そして、パシリになった俺はこれから、どうなって行くんだろうか?
序章「バレてしまった隠し事」・終
少し、駆け足気味になってしまっていたかもしれません。