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インバーデッド・ユニバース〜かわり果てた世界でモンスターを無双(したかった)〜  作者: koyapiro
シンガポール編

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6/10

ラストスパートは終わらない

うおおおおおおおお

走れ翔太あ。

後ろも振り向かずに俺は走り続ける。


「飛び込めえええ」


涼介の声も聞こえる。声が焦りすぎてるだろ。でもその気持ちもめっちゃ分かる。後ろから足音めちゃくちゃ聞こえるもん!

でもここまで来たら追いつかれない。あと10メートルくらいだ。


ダダダダ


水の壁に突っ込む!!


1瞬遅れてオオカミがくる!頭が水の壁に入った瞬間涼介が何かをしているのが見える。

なんだ?何をしたんだ?


やったか?


するとその疑問に答えるように水の壁から出てきたオオカミの首あたりには銀色の何かが刺さっていた。


ガアアアアアアアアアアア


「刺したぞ!俺って天才だあ」


マジかよ。結構な速さだったぞ。それをタイミングドンピシャで当てるとかそれもう人間技じゃないだろ。



もちろんそうだ。

ならばなぜ涼介は当てることができたのか?それは涼介のセンスが高かったからである。

まず涼介は翔太が飛び込もうとする前にとんでもなく水を冷たくしておいた。だが完全に凍らすのではなく、無理矢理液体の状態を保った。そして翔太が飛び込んだ瞬間強制的に液体にしていた状態を解き、1瞬で氷の状態へとした。その結果オオカミは氷の塊へとぶつかり、減速。その瞬間に包丁をぶち当てたというわけである。


「お前まじ最高だよ!!」


完璧だ。これでオオカミは死ぬ。見た感じ首に深く刺さっているし、もう勝利まで秒読みだろう。

だがオオカミはまだこちらを見ている。


「ラストスパートは終わったんだ。祝勝会はてめえの焼き肉だあああああ」


「うおおおおおおおおおおおお」


涼介も雄叫びを上げる。それにつられてまだぶっ倒れてるピーターも雄叫びを上げる。これが深夜テンションってやつか。

雄叫びを上げているとオオカミがこちらに飛びかかってくる。


「あまああああい」


あまい、甘すぎるよオオカミくうん。ミルクティーよりも甘い。その動きは何回もやられて学習済みだ。そしてえ、このクソオオカミはいま、めちゃくちゃ遅い。

そりゃそうだろうな。首に包丁が刺さってんだもん。逆によく動くわ。

飛び込んできたところをあえて真正面からぶん殴る!!


ボギャア


振り抜いた右手もそのままに横から涼介が刺さっている包丁を押し込む!


ウオオオオオオオ


さすがのオオカミもそろそろ死ぬか?いやまだ死なない。ならもっとやろう!!

次は左足で横っ腹を蹴り飛ばす。ぶっ飛んで行くオオカミ。


「そろそろ死ね!!」


涼介も殴りかかる。だがオオカミはまだ立ってる。

まじでもう疲れたんだけど。そろそろ休憩したいんですわ。俺等の勝ちってことにしてくれない?完全に気が抜けている。

だが


[ウィンドカッター]


は?

突然左手に鋭い痛みが走る。なんだと思って見てみるとそこには根元から千切れかけている左手があった。


「翔太!!」


涼介の声も聞こえる。うそだろ。

だってこの魔法はピーターのだぞ?!なんでお前が使える?おかしいだろ!!


ドゴォ


動揺していると前から馬鹿の1つ覚えのように突っ込んでくるオオカミにふきとばされる。


「いってえええええ」


クッソ、こいつさっきまで遊んでたのか?!舐めやがって、と怒りたいが怒れない。

そしてオオカミはそんなこと知ったこっちゃねえというようにもうひとつの魔法を発動させた。


[ウォーターウォール]


次は圧倒的な質量の水が俺達全員にとんでくる。そんな使い方あんのかよ。そりゃ壁を相手に飛ばしたら強いわ!!

なんとか壁をよける。


スパン


ああ、はいはい今度は魔法でもなんでもなく尻尾で切りつけてきやがった!各尻尾から放たれる9個の斬撃を身体を転がして避ける。


「にげるぞ!!」


「りょうかいいい」


涼介の指示に大声で返事する。今日は逃げてばっかりだな。動けないピーターをかかえて地下鉄のホームから脱出する。あ、涼介忘れた。

急いで戻り回収


ウオオオオオオオン


うるせえな。


「やさしくしてえええ。いたい、いたい、いたい」


ええいこっちもうるさい。俺だって左手取れかけなんだ。これ割とまじで無理ゲーだろうが!!左手が使い物にならないのでピーターは涼介に持ってもらう。よっしゃ、あとちょっとで外だぞ。まだ外は夜なのか外からの光は見えない。だが俺達が入ってきたところに確実に近づいている。あの見えない奴がいるかもしれないが、その時はその時ってことでお願いします。


「まじであとちょっとおおおお」



一方その頃

シンガポール チャイナタウン 地下鉄駅前


その場所はとても静かだった。だがその静寂を破るように獣の遠吠えが響く。


ウオオオオオオオン


それだけで空気が震えビルの窓がはじけ飛ぶ。

そしてその遠吠えは人類の敵を呼ぶ。どこからともなく現れる、モンスター。それはゴブリンだけではなかった。

虫のようなもの、植物のようなもの、そして人に明確に悪意を持っている者も集まる。


「イヒヒヒヒ、ヒャハハハハハハ」


その影はビルの屋上で礼儀正しく立っていた。だがその様相にあわず、狂ったように笑い、その特徴的な犬歯を見せる。

それもそのはず眼前に広がるモンスターの全てをその影は操ることができるのだ。

だが今はまだだ。もっと奴らが強くなってから愉しみたい。先祖代々殺されてきた同胞のためにも。

自分の強さに自信のあるクソがメッタメタに千切れるのを、ぐしゃぐしゃになるのを、そして絶望した顔をして命乞いする姿を!!


「イヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ」


不気味な笑い声を残してモンスター達と共にその影は夜に消えた。

オオカミさんの設定その2


この世界におけるこのソウルウルフの強さはどのレベルなのか。1本尻尾のソウルウルフはだいたいゴブリンと同じくらい。そこから1本増えるごとに階乗的に強くなっていく。作中のソウルウルフは9本尻尾なので最後に出てきたやつは条件が揃えば勝てる。

そもそもなぜそんなやつがクソ雑魚主人公といい勝負してるのかというと尻尾に魔法を入れないと尻尾1本分の力しか出せない。今回の場合最初の時点で魔法は入ったが舐めプで使わなかった。なのでヤバくなって使ったっていう実は割とダサいやつだった。

ちなみに最後のやつに条件次第で勝てるっていうのは、そいつが9個も魔法を使うのかっていう問題があるから。今の時点で10種類くらいモンスター考えてるけど1番お気に入り。

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