そいつは残像だ"キリッ"
寒気がする。いや少しは覚悟していた。ホームステイの家の人はすでに消えていたのだから。俺とピーターは光がないので手探りで歩いていく。1階の部屋を1つ1つ見て回ったが誰もいない。
だがシャワーが出しっぱなしだった。またテーブルテレビにはプレイ中のゲームが映っていた。おそらくつい先程までここにいたということだと思う。なぜこの家の人が消えたのかはまだ分からない。この世界には俺たちしかいないのか?
考え込んでいると2階から物音がした。ゴブリンかと思い、俺もピーターも身構える。
しかし2階から現れたのは俺とピーターが探しに来た友達である坂田涼介だった。
「なんでお前らここいるねん!!」
ひどい言われようである。俺とピーターは身構えるのをやめて笑いかけた。
「ちょっと見てくれよこれ。ステータス画面とか言うのができたで」
そう言った。すると
「ほんまや。」
いやなんかこう…感想とかないのか?ステータス画面だぞ。厨二病の夢なんだぞ。
そして涼介にホームステイの家の人がいなくなってしまったこと、来る途中でゴブリンみたいな変なヤツがいた事を話した。涼介も最初は信じなかったが自分のステータス画面をみて俺たちの話を信じた。ちなみに涼介のステータスを見てみると俺の心がさらに折れた。
名前「涼介」
力「12」
知能「18」
スタミナ「10」
防御「9」
スピード「16」
魔力「13」
魔法「水」
いやー知能が高すぎる。ゴブリンを倒していないのに倒した俺とトリプルスコア。涙が出るね。ていうかあれ?世界ランキング出てないな。あれかな?モンスターを倒さないと出てこないのか?俺もピーターもゴブリンを倒してから出てきたからな。
さて情報も共有できたし、ピーターとも涼介を通じて意思疎通ができるようになったな!さっきまでジェスチャーで頑張ってたからな。ゴブリンのときは奇跡的に噛み合ったけど奇跡に頼ってちゃダメだし。
というわけで俺がいるのはチャイナタウン!!ここには何があるのかな?とりあえずご飯が有名なところに来てみたが現在時刻は午前3時みんな寝てるか消えてるかしてるでしょう。しかし涼介に言われて寝もせずここに来てるからなかなかきついんだよ。なんでって聞いたらほかの人がいるかもしれないって言われたけどいないんだよな。あ!セブンはっけーん。電気は動いてはいないがグミくらいなら食えるよね。
「誰かグミいる人いるー?持ってくけど」
「俺ピュレグミでー」
贅沢なヤツめ。とりあえず持参のバックにグミとついでに水もあるだけ詰める。重くなったし荷物を持ちながら、荷物持ちって勇者のパーティー追放されがちだよなーとか考えながら歩く。
次に来たところは学校だ。学校は人が集まるしいいらしい。グーグルマップも無しによくたどり着けたもんだ。さすがは涼介。ジオゲッサーでよくボコされた。ピーターと涼介の考えは同じらしくかなりの人がまだ残っているらしい。まあ少なくとも世界に2億人以上いることは確定している。だって2億位くらいだもん俺。
昼になった。人が何人か来たがゴブリンにあった人はいなかった。みんな誰かがいなくなったということだった。あのゴブリンはもしかしたらレアだったのかもしれない。ていうかもうすでに飽きてきた。
まじで暇すぎるので来た人のなかにいた日本人に声をかけることにした。
「どうも?」
「ああ、どうも。」
とりあえず握手。友好の印だからね。
「昼の様子はどうですか?」
思い返せば俺、夜しか動いてない。
「電車もバスも動いていない。電気も通っているところと通っていないところがある。」
え?やばい終わったかもしれない。シンガポールは別に広くない。電車もバスも動いていないなら当然飛行機なんか夢のまた夢。そう俺は日本に帰る手段がない。
終わったな。第1部で早々に"完"してしまったようだ。
その後も日本人と一緒になんでこの国に来たかとかを話していたら涼介がやってきた。
「翔太、いくで」
涼介にそう言われる。いや用件を言えや。
「わかった」
とりあえず答えるが用件を言え、用件を。まったくこいつのこういうところはホントに困る。お前俺のコーラ振ったこと忘れんなよ。開けた途端こぼれてきて掃除したのまだ覚えてるからな。でもとりあえずついていく。知能トリプルスコアだからね。
そしてついたところは俺とピーターがゴブリンにあった所である。
「なんでここに来たんだ?」
そう聞いてみると
「君があそこにいた人たちの中で一番弱いんだ。」
あ、俺これ知ってる。このまま俺はもういらないって言われて殺されるやつじゃん。え?涼介くん?友達だよね?ピーター?さっきまでジェスチャーでだけど通じ合ってたよね?それこういうことってもっと中盤くらいじゃないの?
「お前が馬鹿な事考えてんのはお前の顔見てわかるから一応言うけど、違うよ?」
「え?殺さないの?」
「初めてきくわ。ほんでなんでちょっと悲しそうやねん。ちがくて、さっさとステータス上げさせたいんだよ。」
「確かに役立たずやもんな俺」
「プライドどこに置いてきてん。」
んなもん推しキャラ引くために伊勢神宮行ったときに神様にお供えしてきたわ。すり抜けたけど。
結局1時間くらい粘ったがゴブリンは出てこなかった。エンカ率終わってんな。夜しか湧かないとかなのか?
「夜しか湧かないんかもしれへん。」
あ、言われたピーターもめっちゃ同意してる。ん?
「ピーターって日本語わかんの?」
「ゲームでよく使うのはわかるんやって」
なるほど?つまり今後俺はピーターが興奮してたらチルって言えばいいのかな?それが分かったのはなかなかいいぞ。振り返ればスマホの翻訳に頼りっきりで、留学してるのに日本語しかしゃべってなかったからな。これはチャンスだな。
ピーターに好きなゲームを聞いてみた。どうやら俺と似たようなゲームをしているようだ。涼介も英語が苦手なのにどうやってコミュニケーションとってんのか謎だったけどそういうことか。あいつの知能の部分全部地理で埋まってんだろう。その後3人でゲームの話をずっとしていた。どのゲームが面白いだの、このゲームではこのキャラが強いだのいろんな事を話した。
夜になった。今の俺はとても気分がいい。なぜならゲームの有益情報を聞けたからだ。さっさと帰って攻略してやるぜ。待ってろ日本。
その前にまずは、どこから現れたかも分からんこのゴブリンどもを倒してやる!!
結構な数いるけど大丈夫。世界ランキング4桁が2人いるから!!
まずは元気に威嚇しているゴブリンに突っ込む!!
一番高いステータスであるスピードで勢いをつけてせーのドーン。
「いっっってええええええええ」
思いっきりぶつかったらクソ痛いがまだやめない。やめたら日本に帰れない。ぶつかった勢いで壁にドーン。初めての壁ドンがゴブリンなんて末代までの恥だが、とにかく痛い。だが1体は倒した。その瞬間、力がみなぎる。ステータス更新が来たはずだが見ている暇はない。痛すぎる。
「うあああああ、いといたし!!」
「なんで古文?」
ええい文句を言うな。痛すぎて現実逃避してんだよ。
「お~い、ゲームみたいな感じで楽しめよ」
アホなのかあいつは?とにかく痛いのは嫌なので防御力に極振りする気分は分かった。
だがな俺がいつも使うキャラクターはなあ
「俺の姿が見え、消える。また現れたら…ドーン。お前は終わりさ。」
ゴブリンの周りに何人もの翔太が見える。いや残像っぽいのが見える。うっすらと。
「あれデコイのつもりなのかな?」
涼介がつぶやく。本人はテンションが上がっているが、あまり分身しているようには見えない。ただ集まってきたゴブリンたちの間を駆けてゲラゲラ笑いながら蹴り殺していく姿はキチガイにしか見えない。
「しかもゴブリンの体液浴びてるから原型がわからん。」
涼介もピーターもドン引きである。
とくに涼介に至っては自分が言い出してから翔太のスイッチが入っているのでもう、これ俺のせいなのかと思い始める。
だがすぐにそれは違うと気付く。
ピーターがゆったってことにしよう。
そうだ、そうしよう、そうすれば丸く収まる。
ちなみにこの時思ったよりもグロい光景にドン引きしすぎてピーターが日本語を話すことができないのを忘れている。坂田涼介の人生史上1番の責任転嫁だった。
30分後
ゆうに100体は蹴り殺した翔太は疲れ切って寝っ転がった。
「誰か、エナドリちょうだい」
いやもう途中からめちゃくちゃ楽しかったね。もっかいやりたいくらい。でも、もうだめだ。のどが渇いたとかのレベルじゃない。
「のどがサハラ砂漠」
「ありきたりすぎておもんない」
ひどい。こいつまじか。こちとら疲れ切ってるんやぞ。もっとねぎらいの言葉とかないのか。その言葉すらも、言ったら絶対のど痛くなるから言えない。
「エナドリはないよ」
涼介がそう言いながら渡してきた水を飲む。なんとか一息ついたところで、涼介とピーターに俺がどうだったか聞いてみる。
「キモかった。」
「はあ?」
「いやリアルでいきなりゲームのキャラクターのセリフ言いながらゲラゲラ笑ってゴブリン殺してるやつ誰だってキモイと思うだろ。」
そう言われて、さっきまでの俺がどういう状況かを理解してのたうち回る。
「ああああああああああああああああああああ」
この世界になってから俺黒歴史作るの早くない?!絶望していると涼介がまたも邪魔をする。
「で、でもステータスめっちゃ伸びたんじゃない?」
「その態度やめて!笑うなら大声で笑って!ちょっと遠慮してるその態度が一番ココロにくる!!」
「演技だよ」
こいつうううう
わかってて、やってやがったか。
だがステータスもすごく気になる。
俺は恐る恐るステータス画面を見てみた。
文法とかでわかりにくいところがあると言ってくれると嬉しいです。修正できるように努力します。あと1話の長さも丁度いいかなどもお願いします。




