最初に作るのは木の棒だよね
もしかりに人生で最後にしたいことは何かと言われると俺はゲームと答えるだろう。その程度にはゲームが好きだ。
別にゲームをガチでやっているとまで言うつもりもないが、有名どころはやっていると言っていいだろう。
それこそ有名な建築tpsゲームだったり、無限になんでも作ることができる掘ったり作ったりするゲームだったり、いろんなゲームをやる。
でもリアルでfpsとかゾンビパニックとかモンハンみたいなことをしたかったわけじゃないことだけわかってほしい。
そんな俺は今、突如目の前に現れたステータス画面を呆然としながら見ている。
「どういう状況?」
いやほんとどういう状況?
いやわかる。異世界転生して無双するというジャンルの小説やアニメがある。
少なくとも男子ならば一度は妄想するシチュエーションってやつだ。俺だって授業中に想像してニヤけてた。いやキモいなそんなやつ。
いや違うそこじゃない。俺とて[男子]そんなシチュエーションを何回も妄想してきたので現状はわかってる。
一番やばいのは現在、私[内田翔太]16歳童貞はシンガポールに留学しております!!
やばいねこれね。隣にフランス人のピーターというルームメイトが寝ているがそれだけである。
もちろん留学に来たからってこの状況をどう英語で説明しろというのか?
何?
イッツファンタジーワールドって言えばいいのか?日本人はこんな奴しかいないのかってなっちゃうわ。
ていうかそろそろ真面目に考えなきゃな。まず現在時刻は1時(夜の)。少しばかり不健康だが16歳なら大丈夫。夜更かしならゲームで慣れてるからね!そして見た感じステータス画面には自分のステータスがついてる。
名前[翔太]
力[2]
知能[1]
スタミナ[3]
防御[0]
スピード[1]
魔力[0]
魔法[]
なんか低くない?気のせいかな?いやまだ平均値を知らないしもしかしたらほかの人もこんくらいだったりするのかな?
魔法もないけどダイジョブそ?防御力と魔力に関しては0なんだけど。
どこぞVR系のアニメの人と逆方向に突き進んでるけど。
まあいいさ。ルームメイト起こしてこれを夢オチにしよう。
「ヘイ、ヘイ、ゲットアップ、ゲットアップ」
起きないな。結構揺さぶってるんだが、あ、起きた。うわめっちゃ驚いてる。やっぱ見えるのかな?いや違うな驚いてるというより喜んでるって感じだ。
「キャンユールックイット?」
拙い英語で意思疎通を試みる。が、早口でフランス語で喋るんだから何もわからん。頼むぜピーター
「イングリッシュ、イングリッシュでプリーズ」
なぜ留学できたのかもわからない拙い英語力で未知の言語(フランス語)で話すのはやめてくれと頼む。そうこうしてるうちにピーターも興奮が落ち着いてきたようで英語で話し始めた。
結局言ってることはよくわからんかった。英語なのに。ただピーターのステータス画面をみたらちょっと悲しくなってしまった。
名前「ピーター」
力「13」
知能「10」
スタミナ「8」
防御「5」
スピード「14」
魔力「9」
魔法「風」
いやこれ俺が悪い方の外れ値なのかピーターが良い方の外れ値なのかどっちだ?
現状勝っているところが何1つないどころかほぼ全部ダブルスコアだしものによっちゃトリプルスコアなんだけど。悲しいね。覚悟してたけど相当来るものがある。主人公になれるかなと思ったが主人公は俺ではなかったようだ。と感傷に浸っていたら
「うわああああああああああ」
アホなのか?ピーターの野郎部屋の中で風魔法ぶっ放しやがった!!うわ壁に穴空いてる。壁の中ってこうなってるんだ。絶対ホームステイの家の人に怒られるよ。だってシンガポールクソ暑いから冷房ガンガンにつけてるもん。電気代が無駄になっちゃう。
と思って待っていたが家の人はいつまでたって
も来ない。しびれを切らしておりてみたらそこには誰もいなかった。あれれー?おっかしいぞー?もしかしてこの世界は異世界系とかじゃなくてホラーな方だったのかな?
おっと危ない。あまりの動揺で少年探偵が出てくるところだった。しかしこれは問題である。誰もご飯作れないじゃないか。俺のホームステイ先の料理はとても美味しかった。
そもそもいい人だったので、会えないのは悲しい。とも思ったがいくら周りを見渡しても血のようなものはない。まだ生きてると思って未来のことを考えよう。ひいては料理である。ピーターの料理センスは言っちゃ悪いが全くない。というより味覚がなんか違う。お茶にケチャップいれるの驚いたよ。そして俺は得意料理がtkgだがこの国で生卵を食べる勇気が出ないのでNG。
ていうか、さっきからすっごい余裕そうにパンくってるけど俺の分残してるよね?もしかしてもう見捨てられた感じ?早くない?
気を取り直してピーターに聞いてみる。
「ワットウィルユードゥー?」
これが限界だった。
返ってきた答えはというと
「キル」
これだった。俺に向かって言ってんなら、中々ヤバイ奴だ。人というのはこうも愚かなのかと失望して諦めるしかない。
何しろさっきも言ったがダブルスコアどころかトリプルスコアだ。普通に戦ったらボッコボコだろうなーとか思ってたらピーターはキッチンの包丁持って家の外に行った。
「ウェイト、プリーズ、ウェイト、プリーズ」
心を乙女にして必死で追いかけるがテンションMAXのピーターは止まらない、追いつけない。飛ぶ鳥も落とす勢いである。まさか物理的に飛んでる鳥を落とす場面を目撃するとは思わなかった。
ピーターのあとにゼイゼイ言いながらついて行っていると突然ピーターが立ち止まった。後ろから見てみると、すごいベタなゴブリンが車を破壊していた。
あ〜それ日本車じゃん。すごいな日本車。ここシンガポールだぞ。
相手の方はこちらに気づいていない。と思ったらピーターが人だと思って声をかけた。これ完全に寄生プレイだなと思いつつ、ゴブリンのステータスを見ようとするも失敗。さすがに肩組もうとしたら威嚇された。敵対せずに仲間になるという甘い世界は俺の想像の中だけだったようだ。
こちらの武器はピーターが持ってる包丁と俺の足元に落ちてた木の棒だけ。そしてピーターが持ってる包丁をジェスチャーで貸してと頼む。
断られる。木の棒にくくりつけたら強そうだと思ったんだけどな。英語でくくりつけるが分からないボキャブラリーの敗北者なので黙る。勉強不足の過去の俺を心のなかで羽交い締めにしつつ、ゴブリンをじっと観察する。できれば不意打ちがよかった。何しろ俺のステータスはとても低い。ピーターをちらっと見てみた。
あらいい笑顔。惚れちゃいそう。どんだけうれしいねん。心のなかでつっこみをいれておく。
「アイウィルキルザット」
そうつぶやいて俺はゴブリンの左手側に走る。右手側から俺の動きをみてピーターが合わせてくれた。頭がいいと要領もいいのか、ピーターはゴブリンの右手を包丁で刺して懐に潜る。
俺はピーターを殴ろうとするゴブリンの左手を木の棒で叩き落とす。ピーターが地面にゴブリンを押し倒し馬乗りになってめった刺しにする。
思ったよりグロい。俺も加勢して木の棒で殴っているとピコンと音がして、ステータス更新の文字がでた。ピーターも出ていた。そしてステータス画面に更新が来ていた。
名前[翔太]
力[2]→[3]
知能[1]→[6]
スタミナ[3]
防御[0]
スピード[1]→[9]
魔力[0]
魔法[]
new 世界ランキング238650465位
名前「ピーター」
力「13]→[19]
知能「10」→[14]
スタミナ「8」→[9]
防御「5」
スピード「14」→[15]
魔力「9」
魔法「風」
new 世界ランキング1886位
俺何もかもが低いな。世界ランキングどうした?日本人口より下なの傷つくんだけど。ていうかピーターさっき家で使ってた魔法使えば余裕だったんじゃね?そう思って頑張って英語で聞いたら君がファイトしたそうだったからって言われた。聖人君子だなピーター。ごめんねさっきまで。
しばらくついていくと留学先の友達のホームステイの家に着いた。いつもは翻訳アプリを使って会話しているのでピーターとは会話できないがこの家の友達は日本人で英語もできる、と良かったんだが俺と同じく頭が悪い。けどピーターとよく喋ってるからイケるでしょ。
ピーターも考えてるんだなと思ったがよく考えなくても知能俺の2倍くらいなんだよね。そりゃそうである。やっぱりピーターめっちゃ優しいな。
そうこうしてるうちに人出てくるかなと思った
けど誰も出てこない。せめてこのステータス画面というものを誰かと共有したい。具体的にはみんなに出ているのかというところである。何しろあった人がピーターただ1人なのだ。せめ見て検証してみたい。
15分ほど経ったところで俺は待つのが限界になり扉をノックして入ってみた。
だがそこには誰もいなかった。




