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第5話 ホロンの人格を乗っ取った女オタク

※まえがき

ホロンの一人称です。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 私は生物学上は女性ではあるが、男性用のR18ゲームを嗜むことがある。

 主人公とヒロインがひたすらイチャイチャしている様を見るのが大好きだからだ。

 まぁ完全に感情移入して私自身が乱暴されている気持ちになることも……たまにある。


 そんなわけで月に二本くらいのペースでエロゲーを購入しているわけなのだが、ある日、私は運命の出会いを果たした。





 寝取られジ・アビス 〜どうあがいてもNTR〜





 いまや腐る程存在する寝取られゲーの注目作。

 主人公が最初の彼女を寝取られるところからはじまり、その後数多くの女性と知り合うがすべて取られる。最終的には最愛の妹すら兄より快楽を選んで絶望のエンド!!

 という胸糞系のエロゲーで、純愛過激派である私としては購入する気にもならなかったのだが、友人の勧めで試しにプレイしてみたところ……。





 この主人公、真月まがつハクが私の人生を狂わせやがった♡♡

 まず、ビジュがいい。儚げで、幸薄そうで、目に光がない。


 ちゅき♡♡


 マジメで大人しくて成績もいいけど、実はかなりプライドが高くて、なのに簡単に人を信じちゃうところも可愛くてGOOD。いや、GOD。


 ちゅきちゅき♡♡


 極度のシスコンで妹原理主義みたいな厄介お兄ちゃんなのに、妹以外の女が困っていたら手を差し伸べちゃうところもいい。


 ちゅきーーーーっっ!!


 しかし悲しいかな、私は純愛過激派。

 寝取られはどうにもハマれない。悲しくなる。可哀想になる。

 愛しのハクきゅんが絶対に不幸になる世界なんて、受け入れられない。

 あぁ、いっそ妹も一緒でいいから、3次元に来てくれたなら……。


 とか思ってたら逆になりました。

 私が2次元に飛び込んじゃいました。

 電動キックボードに跳ねられてゲームの世界に転生しちゃいました。


 それも、一番最初にハクきゅんを裏切るキャラ。

 全ルート共通でエロシーンがある石狩ホロンに。


 私が転生したことに気づいたときには、すでにホロンはコウダイに寝取られていた。

 前世の記憶を思い出したのは、私が『ボサボサ髪の少女をイジメて、それをハクきゅんに止められた後』である。

 転んで頭打ったから。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 記憶が戻って、チラッと実物のハクきゅんを目にしたとき、私は嬉しさのあまり失神してしまった。

 保健室で目を覚まし、現状を冷静に分析する。


 これはいわゆる、『ゲームのキャラに転生しちゃいました』ってやつだ。

 私が人格を乗っ取ったホロンという女は、最終的にはおクスリでハッピーになって風俗堕ちという破滅ルートを辿る。


 本来であれば破滅ルートを回避して幸せになるところだろうが……。


「もっといるだろ、私より幸せになるべき人間がッッ!!」


 今の私にならできる。

 いや、私にしかできない。

 ハクきゅんを幸福にして、ハクきゅんが不幸になるためだけの世界をぶっ壊して、森羅万象東西南北古今東西に至るまで、すべてがハクきゅんを崇拝する世の中に変えることが。




「ハクきゅんを、神にする!!」




 そのために必要なのはあのツール。

 ゲームならではのとんでもアイテム。


「ねぇ、中田くん」


 クラスの太った陰キャ、中田くんに話しかける。

 彼なのだ、作中において例の最強アイテムを作り出しちゃった天才クズ野郎は。

 本来、ルートによっては彼はそのアプリを利用して、ハクきゅん周りの女を支配することになるのだが。


「え、石狩さん?」


「実はぁ、中田くんのことぉ、気になってたんだよねぇ」


「ま、まさか、オタクに優しいギャルだったんですか!?」


「そうなの。今日、中田くんの家にイキたいな〜」


 てなわけで放課後。

 中田くんのクッサイ部屋に入り、さっそくアプリがインストールされている試作スマホを発見した。


「えぇ〜? 中田くん、このスマホなにー?」


「ぐへへ、ここに入ってるアプリは特殊でね、人を思いのままに操れるんだ」


「すご〜い!! でも私には必要ないね。だって私、もう中田くんにメロメロだから」


「うひーーっ!!」


「面白そ〜、使い方教えてよ」


「も、もちろん!!」


 チョロ。

 しょせん童貞男子高校生なんてこんなものか。

 こちとら前世ではメイドカフェでバイトしていたからね、陰キャくんの心を掌握するなんて容易いものよ。


「というわけで、いくつか制約があるけど、これさえあればどんなエッチなお願いも叶え放題なんだ。ぐへへ」


「いや〜ん。中田くんってば、スケベ♡♡ さて、じゃあ」


 スマホを奪い、アプリの画面を見せる。


【催眠アプリのことも私のこともすべて忘れて】


「……はい」


 虚ろな目で中田が頷く。


 夜、バイト終わりのハクきゅんを待ち伏せる。

 ユリネの浮気にショックを受けているハクきゅんに接触し、スマホを一台渡す。


 それからさらに尾行する。

 玄関の前で、家の中の様子を盗み聞きする。


 あぁ、可哀想に。完全に妹ちゃん寝取られルートに入っているよ。

 本当なら、ここでハクきゅんは死亡。もしくは生き残るパターンもあるが、ネットで妹ちゃんが快楽堕ちしている動画を発見してしまい自害する。


 が、


「お前らの人生を終わらせてやるよ!!」


 私が渡したスマホによって、状況は一変。

 運命が変わった。


 家に入る。

 ハクきゅんを抱きしめたら、押し倒されてしまった。

 んんんっ♡♡ 顔が近い♡♡

 お股がムズムズする♡♡♡♡




 やることを済ませ、全身を駆け巡る幸福感に浸る。

 スッキリしたハクきゅんの横顔、メロしゅぎる♡♡


「とりあえずホロン、なんか食おうぜ」

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