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第14話 終焉の日①

 金曜日。

 今日で二学期も終わる。


 そして今日はクリスマスイブ。街中クリスマスセールだの年越し大特価だのと垂れ幕を垂らして、木々には電飾が施されていた。


 今は朝っぱらだから、ちっとも光り輝いちゃいないが。


「やっほー、ハクきゅん」


 今日は寒いからバスで登校する予定だったのだが、なーぜーかバス停にホロンがいた。

 こいつ、未来予知でもできるのか。

 できるのかも。


「一つ気になることがある。無償で答えてくれるなら答えてくれ」


「なに?」


「タルトは、本来どういう未来を歩むはずだったんだ?」


「あ〜、それね。別にいいよ、知ってても知らなくてもハクきゅんには関係ないことだし。ーータルトちゃんもハクきゅんと関わることで堕落の顛末を辿るの。七法印のメンバーである男……まぁコウダイだね。コウダイに目をつけられて、脅迫されて、体を許し、クスリも投与されて快楽に溺れていく。最終的に信頼していたホームレスたちにも乱暴されて……みたいな」


「趣味の悪い。……待て、お前はタルトと仲良くなると近藤に接近できると言っていたな。今の話のどこに近藤が出てくるんだ」


「あはっ♡♡ そっから先は生えっちで教えてあげりゅ♡♡」


 もしかして、俺と関わったことでタルトはその未来を歩むことになったのだろうか。

 どうだろう。そもそもホロンが現れ、催眠アプリを手に入れている時点で、運命は大いに変動しているはずだ。

 ていうか、タルトがホームレスになったのはコウダイとユリネが原因。

 しかし俺がユリネと付き合わず、はじめからタルトの好感度を上げていたのなら、ホームレスにはならなかったんじゃないのか?


 わからん。もしかするとすべてホロンの嘘かもしれない。

 確かに、知ったところでどうにもならないな。

 俺のやることは変わらない。


「んふふ、ちなみに、ハクきゅんがその気になれば、いつでもタルトちゃんを抱けるよ」


「は?」


「タルトちゃん、もともとハクきゅんのことが気になってたんだもん。私にイジメられてるとき、ハクきゅんあの子を助けてるでしょ? それで」


「なるほど、通りで安々と俺の家についてきたわけだ」


「ついでにユリネのストーリーも教えてあげよっか?」


「興味ない」


「えー、結構ストーリー凝っててカタルシスハンパないんだけどな〜」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 教室につくと、女子たちからの冷めた視線が一斉掃射された。

 あぁそうか。俺は一応浮気男ってことになっているのか。

 いくらイケメンでも、クラスのマドンナユリネさんを裏切った罪は重いらしい。


 とりあえず席に座る。

 後ろからコウダイが肩を組んできた。


「よぉ負け犬」


「朝から挑発的だな」


「なぁ、俺知ってんだぜ。お前の家は本当なら今頃崩壊していたってことをな」


「そうか。心配してくれてありがとう。けどもう大丈夫だ。母さんの借金なら親戚が肩代わりしてくれた」


「運のいいヤツだぜ。だがな、本当の絶望はここからだぜ? お前の考えは読めている。ユリネに裏切られたのはショックだが、信じていればきっと自分だけを愛するようになる、とかだろ? めでたいやつだぜ」


 なるほど、じゃあそういうことにしておこう。

 明日、ユリネは俺とのデートにコウダイを連れて来る。

 そこでワハシュを使いAVを撮る。


 下手に出ているのはそのための演技だ。

 今日だとダメ、ではないが、一応丸一日空いている土曜日に実行したい。


「ユリネはもう俺のもんなんだよ。そして次はお前の母親を狙ってやる。最後は妹だ。あいつも良い具合に育ってんだろ。けけけ」


 あー、まずい。

 頭が真っ赤に染まっていくのを感じる。

 早まってしまいそうだ。


「最近ホロンが冷たいが、そのぶんセフレを増やせばいいだけの話だぜ。くぅ〜、お前の前でユリネとミコちゃんを抱くのが楽しみでーー」


「黙れ」


「は?」


「殺すぞ」


「なっ……」


 コウダイがたじろぐ。

 ちょうどそのタイミングでチャイムが鳴り、やつは自分の席に戻った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 放課後、下駄箱に向かうとタルトがいた。

 ホロンはいないのか。構いやしないが。


「よっ」


「こ、こんにちわ」


 靴を履き替えて、なんとなく流れで隣りを歩く。

 タルトが俺から少し距離を取った。

 地味にショック。

 おいホロンよ、こいつは本当に俺に気があるのか?


「昨日のホロンのこと、気にしなくていいからな」


「へ?」


「崇拝しろとかなんとか。普通にしてていいから」


「…………ハクの妹、なんか怖い」


「ミコが? どこが?」


「すっごい睨んできた」


「そうか?」


「わたしも妹だからわかる。あれは生粋のブラコン。わたしや石狩さんに嫉妬してる」


 ブラコンなのは俺も承知ではあるが。

 嫉妬なんぞするかね。これまで何度かユリネの話をしたことがあるが、愉快そうに聞いていたぞあいつ。


「それと……昨日は、ありがとう。お礼、言えてなかった」


「構いやしないよ。てか、なんだったらこれからもシャワー浴びに来いよ。家を用意してやることはできないけど、風呂と洗濯くらいだったら構わん」


「へへ、なんか、通い妻」


「どこかだよ」


 赤信号で同時に止まる。

 ん、またタルトが俺から離れた。

 泣きそうだよ。


「ごめんな、一緒に帰って」


「そうじゃなくて、わたし、まだ臭いかもだし……」


「いや、普通だぞ」


「そ、そう?」


「おう」


「…………」


 黙られてしまった。

 気持ち悪かったか?

 こいつは毛量がすごいから、髪が邪魔して表情がよく見えん。


「今度は、わたしの家に来てほしい」


 突然のお呼ばれ。


「いいけど、なんで?」


「家族、紹介する」


「家族?」


「ネコ、いるの」










「あれ〜?」


 聞き覚えのある声がした。

 若干の嫌悪感を抱きながら振り返る。


「ハク、もしかして浮気?」


「ユリネ……」

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