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放課後シネマクラブー恋とカメラと文化祭ー

第一章 シネマ研究会の午後

蒼浜高校の旧館の一角にある小さな部室。

そこが「シネマ研究会」の活動拠点だった。


部員はわずか三人。

カメラ担当の **春日悠真**、脚本担当の **水瀬ひより**、そして編集担当の **佐伯蓮**。


「ねえ悠真くん、今年の文化祭映画は絶対ラブコメにしよう!」

「またかよ。去年も恋愛、しかもベタベタなやつだっただろ」

「いいじゃん! 青春といえば恋愛! それに……」


ひよりは言葉を濁し、視線をそらした。

悠真は気づかないふりをしてカメラをいじる。

そんな二人を見て、蓮はニヤリと笑った。


「お前らが主演やれば、リアルなラブコメになるんじゃね?」


---


第二章 偽装カップル、始動

結局、文化祭映画の主演は悠真とひよりに決まった。

タイトルは「放課後ラブストーリー」。

内容は「偽装カップルが本当に恋に落ちる」という王道中の王道。


「はい、カット! 悠真くん、もっと“好き”って顔して!」

「無理だって! そんなの演技できない!」

「じゃあ私のこと、本当に好きだと思ってやってみてよ」


「……は?」

悠真は固まった。

ひよりは冗談めかして笑ったが、その頬はほんのり赤い。


---

第三章 距離が近づく日々

撮影が進むにつれ、二人の距離は自然と縮まっていった。

放課後の教室で、カメラ越しに見つめ合う。

図書室で、セリフの練習をしながら肩が触れる。

屋上で、夕焼けを背景にリハーサルをする。


「……なんか、本当にカップルみたいだな」

悠真がつぶやくと、ひよりは小さく笑った。

「演技だからね。……でも、ちょっとだけ本気かも」


その言葉に悠真の心臓は跳ねた。

だが彼は冗談だと受け流すしかなかった。


---


第四章 文化祭前夜

編集作業のため、部室に泊まり込む三人。

蓮はパソコンに向かい、悠真とひよりはソファで台本を確認していた。


「ねえ悠真くん」

「ん?」

「もし映画じゃなくて、本当に私が告白したら……どうする?」


悠真は答えられなかった。

ただ、窓の外で降り始めた雨の音が、やけに大きく響いていた。


---


第五章 文化祭当日

上映が終わると、観客からは大きな拍手。

「お似合いだったなー!」と冷やかされ、悠真は顔を真っ赤にする。


上映後、校舎裏で二人きりになった。

ひよりは勇気を振り絞って言った。


「ねえ悠真くん。映画の中だけじゃなくて……本当の“続き”も、撮ってみない?」


悠真は驚いた。

けれど次の


エピローグ

文化祭が終わったあとも、二人は放課後に部室で映画を撮り続けた。

ただし今度は、台本のない物語。

笑い合い、時にケンカし、また仲直りする。


それはまるで、青春そのものをフィルムに焼き付けるような日々だった。

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