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聖なる乙女の××  作者: 笠原久
第3章 聖なる乙女の英雄
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第12話 気づかれずに写真を撮り、記事を書く。これぞプロの技

 どこで撮られたのか、写真まで載っていた。


 関連記事を見ると、私たちの経歴を紹介するものやラオカに関する短い評伝、武闘会での出来事などが書かれていた。もちろん、すべて写真付きだ。


「なにこれ……」


 私のつぶやきに、リリーが吐息まじりに言った。


「どうやら今日だけじゃなくて、何日も前から新聞に載っていた様子だよ。ずいぶん話題になっているみたいだ」


「微妙に情報間違ってますね。私が奥伝持ちとか、シスルさんが大魔術まで使えることになってますよ」


「訂正するやつ誰もいねぇのかよ……。つーか直接聞きに来りゃいいだろうが」


 シスルが呆れた顔で言った。猫耳がぺたんと下がっている。


「なんか見張られてるみたいね。あまりいい気分じゃないわ」


 私の言葉に、デイジーがからかうように口をはさんだ。


「みたい、じゃなくて実際に見張られてるんでしょう。たぶん私たちの行動、全部新聞に書かれると思いますよ。邪推も込みで」


 彼女はいたずらを思いついた子供のように笑みを浮かべて、わざとらしく周囲に目を向けた。まわりの人間は、私たちのことなど意に介さず、足早に去っていく。


「町に寄るのは最小限にしたほうがいいのかしらね。どこに新聞記者がいるか、わかったものじゃないわ」


「一般人のタレコミも相当あると思うよ」


 リリーが吐息混じりにぼやいた。


「昨日、通信魔法を使いに奥に行った人もそうだったんじゃないかな、きっと。もしくは慌てて出て行った人」


 もしくは両方? と彼女は首をかしげる。


「さっさと用事を済ませて、出て行っちまえばいいんじゃねぇの?」


 シスルはさほど気にしていないふうだ。


「あたしらの足なら、ちょっと寄り道してもすぐに出ていけるだろ? とっとと行っちまおうぜ、もう。とりあえずデルタとイプシロンだっけ?」


「仕方ないですね」


 デイジーが先に進むことを促すように高く飛び上がった。


「疲れるから長距離移動とかしたくないんですが、やむを得ません。久々に四十八時間耐久マラソンと行きましょうか」


「そうね。飲まず食わずで移動し続ければ行けそうね」


 デルタは南下した先にあるが、イプシロンは帝都の北にあるのだった。


一〇〇〇キロほどの道のりを一気に下り、その後、七〇〇〇キロも北上せねばならない。移動だけでも一苦労だ。


「いや、途中休憩くらいはしようぜ? つーかあたしは絶対にイヤだぞ?」


 シスルが心底うんざりした様子で言った。

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