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聖なる乙女の××  作者: 笠原久
第2章 聖なる乙女の騎士
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第7話 RPGとか初耳なんですが

 リリーが訊いた。


「仲間はわたしたち四人だけなのかな?」


「この学園にいる人だと、ダリア・ダンデライオンとアイリス・ラナンキュラスも加入しますよ」


「誰だそりゃ?」


 シスルはリリーを見た。だが、リリーも知らないようで首を横に振った。


「教師ですよ。ほら、入学式のとき、鬼人族の先生がいたでしょう? 二本角で、身長が一八〇センチと高い人。あれがダリア・ダンデライオンです。もうひとりのアイリス・ラナンキュラスは兎の獣人族で、お嬢さまと同じくらいの背丈の先生――うさみみ入れると、お嬢さまより大きいですけどね」


「あ! あー、思い出した!」


 シスルは手を打って音を鳴らした。


「確か『騎士』でもちょい役で出てくるわ! ほとんど出番のない担任と副担任がそいつらだった気がする! んで、その六人が仲間か?」


「隠しキャラ含めて九人ですね。ウェデリアっていう魔族と――」


「え!? あいつ仲間になるんか!? つーか生きてんの?」


 シスルが驚いた様子で言った。デイジーはいぶかしげな顔をした。


「『騎士』だと死んでるんですか?」


 この疑問にはリリーが答えた。


「『騎士』だと、仇討ちをしようとして赤黒い魔獣の返り討ちに遭ってしまうらしいね。敵に操作されて、わたしたちと戦うことになって、最後は……」


 リリーがシスルを見た。


「死ぬんだよな。でも、そうか、『英雄』だと生きてるのか」


 それからハッとした様子でシスルは言った。


「いや、待て! 途中で死亡イベントとかねぇよな!?」


「仲間キャラ死んだら非難轟々ですよ。パーティ離脱とかもないんで、安心してください。というか、その赤黒い魔獣は倒したのでは?」


「倒したのはそうだけど……ほら、親父さんがさ」


 デイジーが顎に手を置いて、思い出したように言った。


「ああ、そういえば『英雄』でもエリュトロン・メランが父の仇だとかで、プロートス大陸に渡るとき聖王国と揉めてましたっけ」


「やっぱ死んでんのかよ親父さん!?」


「こっちでも死んでるとは限りませんけどね。いつ殺されたんです?」


「わかんねぇんだ。確か、漫画でも時期は明言されてなかったし」


「わたしの故郷を襲撃したあとなら、もう倒してるから生きてるはずだね。ただ、その前だとすると……」


「あとだった、と祈っておきましょうか」


 シスルは神妙にうなずいた。リリーが訊いた。


「それで、残りの二人は?」


「ひとりは聖王国の巫女で、マリーゴールド・クレマチスという幼女です」


「幼女ってお前な……」


 シスルは呆れたような目でデイジーを見た。


「十歳児なんだから幼女で合ってるでしょう?」


「十歳かよ!?」


「いわゆる天才ロリ少女枠なので。で、最後が隠しキャラのマーガレット陛下ですね」


「へ? マーガレットってアルファ王国女王のか?」


「面倒な隠しイベントをクリアすると、終盤に加入するんですよ。隠しキャラだけあって、めちゃくちゃ強いですけどね。完全なぶっ壊れキャラだったというか」


「残る五人も前世の知識持ちなのかな?」


 リリーが疑問を口にした。デイジーが答える。


「それは調べてみないとわからないでしょう。ただ、ダリア先生とアイリス先生は私たちに無反応でしたから、たぶん違うんじゃないですか?」


「じゃ、とりあえず次はそいつらに接触してみるか」


 シスルが立ち上がった。


「お嬢さまや私と会うのを嫌がっていた割に、こっちはあっさりですね?」


 デイジーの疑問に、シスルは嫌そうに答えた。


「お前らは明らかにヤバそうだったんだよ! 前世の知識があろうとなかろうと、あんな修行してるやつがまとめなわけねぇだろ? 大げさに伝わってるだけかと思ったらマジだったし」


「なんの話?」


 私が首をかしげると、シスルが声を荒らげた。


「だから本当に自覚ねぇのかお前!? 手足ぶった斬ったり、全身串刺しにしたり、わけわかんねぇ修行してたんだろ!?」


「怪我しても動けるようにする訓練のことかしら?」


「いや怪我しないように立ち回れよ!? なんで重傷を負うこと前提にしてんだ!?」


「ダメよ」


 私は力強く断言した。


「現にラオカさまと闘ったときは頭をふっ飛ばされたり、胴体真っ二つになったり……」


「それ死んでねぇか? 死んでるよな!? なんで生きてんだ!? 不死身か!?」


「すぐに治せば死にませんよ」


 とデイジーが言った。


「いや、無理だろ絶対! 一瞬とはいえ確実に死んでるじゃん!」


「落ち着くんだ、シスル。このふたりに常識は通用しない。そう言ったのは君じゃないか」


「いや、そうだけど……!」


 シスルは納得のいかなそうな顔をしていた。

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