満月に、
男は、家から外を覗いた。
さらさらと踊る草。
田は光り、
水は喜ぶように跳ねていた。
その夜空に一つ、全てを華麗に照らすものがある。
それは、月。
月は全ての感情を抱く。
ある者には明るく、
ある者には悲しませる。
この星がふっくらとした鞠の様になると、いつも思い出す。
全てが桜の薫りで一杯だった時を。
そして、その花の季節が終わった時を。
桜とは、実に美しい。
そして、儚い。
ひらり、ひらりと落ちる花びらは、まるで人の様。
どんなに綺麗に咲かせても、最後には散り、忘れられてしまう。
私はなりたい。
そなたと一緒に、
誰にも忘れられない、
あの月に。
そして、そなたといつまでも――――――。
ああ、我がかぐや姫よ――――――――。