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未来を継ぐ少女
あれから何年経っただろうか。近くにアグレッサーの姿はなく、小鳥や虫の囀りが響き渡る。
澄み渡るほど青い空、そこにワンポイントかけるグラデーションのかかった雲。だが、桜が満開になる季節になっても、木陰で花見をする景色は何処にも無い。あるのは根元にある盛り土の墓だけだ。
1人の少女が桜の木に近づく。盛り土には木の板が刺さっており、「花冷」と書いてあった。
その少女は墓の前にストックという花を備えた。手を合わせ、何かと繋がっている感情になる。
「シナミさん、サトさん。お二人でお花見楽しんでください。」
少女はそう言うとくるりと反転し、シナミとサトに背を向けた。そこにはただ広い草原が広がっていた。しかし、不自然に盛り上がっているところが一つある。その場だけ花畑になっており、異色を放っている。緑の草むらの中にある白い花に覆われたそこは、今日の空模様のようだった。
少女が歩き始めると突風が起こった。桜の花が舞い、あたりの景色を埋め尽くす。
「正しいと思う道を征け、未来は続いている。」
そう言い残し、少女は少し笑みを浮かべ、桜の花に背を向け歩き出した。青く澄み渡った空はどこまでも続いている。




