1日目:異世界転移しました。
俺の名前は小川ハルト。
16歳のありふれた、どこにでもいるような、普通の、男子高校生・・・だった。数分前までは。
今は恐らく世界で最もありふれてない高校生に違いない。
なぜなら俺は、気づいたら異世界に転移(?)していた系の高校生だからだ。
そして俺は今、異世界の森でイノシシのような化け物に追いかけられている真っ最中だった。
真っ赤な目を持ち、分厚そうな真っ黒な毛皮を纏い、鋭い牙を携えたイノシシのような化け物の群れ。群れの数は5、6匹。逃げる俺を、けたたましく足音を鳴らしながら追いかけてきている。
ここが俺の予想通り異世界なら、奴らは、さながらイノシシの魔物ということか。
などと恐怖を紛らわす為に考えていたのだが・・・
「ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!」
結局恐怖には勝てず、俺の生涯の中で断トツで一位に入るであろう悲鳴を叫んだ。
森の中を全力で駆けつつ、チッラと後ろの方を見てみると・・・やはり奴らは全力で追いかけてきている。そして意外と足が速く追いつかれそうだ。
俺が走るのは現代の叡智であるアスファルト舗装なんてものはありもしない森の中。
茶色の土が剥き出しの地面はガタガタ。いたるところから木の根っこがコンニチハしている。
「ハアハァハァ——」
そろそろ体力の限界が近ようだ。
足はパンパン。明らかに酸素が足りていない。視界は白と黒に点滅している。
しかし少しでも足を止めれば恐ろしい速度で迫ってくる奴らに轢き殺されてしまう。
ほとんど気力だけで走っている。
俺は残り僅かな体力を振り絞って、足を前に出す。
その時だった。
「——っっっあ、」
森の中に慣れていない現代っ子の俺は、呆気なく木の根に足を引っかけた。
酸欠で脳みそが死んでいるせいか、咄嗟に受け身を取ることもできない。
俺は全力疾走のそのままの勢いで顔面から地面に転げ落ちた。
白と黒に点滅していた視界は完全に黒に染まった。
俺は気絶してしまった。
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