三章 その3
夜明けまではあと何時間だろう。そんなことライホの電源を使えばすぐに分かることだが、真実に近づきつつあるという高揚感がそれを実行させない。ただ検証に集中しろと脳が、心が騒ぐのだ。
再び同じ位置に俺と先輩は立つ。
「本当にいいの?」
「ああ。もしもヤバそうな時は、波紋の名前を言ってくれ」
それを聞いた先輩はくすりと笑った。
「あなたの強さの秘密は、波紋様だったんだ」
その言い方が俺の羞恥心をくすぐって、顔を熱くした。
「な、何だか少し誤解してねーか?」
「してない。ちゃんと理解してる。あなたが波紋様を好きだってこと」
うわ、やっぱり誤解してやがる!
「違う、違うッ! ヤツの名前を聞くと、約束を思い出すからだ‼」
「約束? それって、どんなの?」
俺は真剣な思いで続く言葉を口にした。
「お前だって知ってるだろ。波紋と湖竜の契約。そしてそのせいでヤツが行っている、自傷のことを。先輩自身が、さっき言ったことだ」
先輩の顔は一気に険しいものになった。
「……それと約束、どういう関係がある?」
「約束したんだ。俺が護衛になったら、ヤツには二度と自傷をさせないって。だから、絶対に護衛にならなきゃいけないんだ」
これは誓いだった。きっと誰よりも波紋を大切に思っている先輩に、俺が彼女を守る覚悟を見せる誓いだ。
「……前言撤回。あなたは、信じられる。波紋様を任せられる。だから絶対になってほしい。あの人の護衛に」
先輩は俺の手を握って言った。その手の温もりは、俺の頬まで温めた。
「おう、任せろ!」
俺はあまり約束を守る方じゃない。だけどこの約束だけは、命に代えても守ろう。生まれて初めて、不動の覚悟で誓った。
「じゃあ、始めてくれ。過去の再現を」
「うん、分かった」
先輩は一呼吸を置いて、呪文を唱え始めた。
俺は先輩の声に耳を澄ませる。それは先輩が出している声だけど、先輩の声ではない。きっとあの女の子のものだ。
意識を失う刹那、その声に不思議な既視感を感じた。だがそれに考えを巡らせる前に、俺の意識は失われた。
●
「……ねぇ、ねね。ねねってば!」
私の名前を呼ぶ親友の××の声に振り向くことなく、階段を上る。
彼女の叫びには悲痛の情が込められていた。こんなことなら、話すんじゃなかった。これから自殺をするって。
振り向きこそしなかったけど、××の声が聞こえる度に、死への恐れが少しずつ生まれた。
大丈夫、大丈夫。二階から飛び降りても、死ぬ可能性なんて低いんだから。きっと死なない、だから死を恐れる必要なんてないんだよ。
死神のささやきに私は心をゆだねる。
あと一段で、階段の踊り場。処刑場への中間地点。
私は死への快感に酔いしれながら、踊り場へ踏み出した。
それなのに、まだ一段残ってる。あれ、と思いながらもう一回。……おかしいな、って思いながらもう一回。もう一回、もう一回、もう一回……!
「どうして、何でよ、何で登れないの⁉ 何で、何で、何でよッ⁉ おかしな私には死ぬ資格すら無いっていうのっ、ねぇ……⁉」
私は親友の××以外誰もいないのを知りながらも、この理不尽を強いる何者かに話し続けた。
無論、これは××の仕業であるはずがない。だって、こんなまやかしを人が作るのは不可能。だから××に何を言っても無駄。イコール、私が何を叫ぼうがそれは無意味。だけど、それを知りつつも私は叫び続けた。
顔はもう涙と鼻水でぐちゃぐちゃ。せっかくこれから×のうっていうのに……。酷い、酷い、酷いよ……。
「私はそんじょそこらの殺人魔や兵士よりも、よっぽど残酷。枝を伐って根を枯らすなんてことはしない。この世という地獄で生きることをあなたに強いる」
××の声が聞こえる。××の言うはずがない言葉なのに、××の声に聞こえる。ああ、やっぱり私はおかしいんだ。早く死にたい、死にたい、早く死なせて死なせて死なせて!
「生きなさい。たとえ、辛い思いをしても。石を砕くように、歯を食いしばって。落ちる涙で、花のような波紋を描いて。生きなさい」
私は信じられない思いで振り向いた。
「……あなたなの? 私が死ぬのを邪魔しているのは、あなたなの?」
××は何の反応も示さなかった。私はそれを肯定の返事として受け取った。
「そうなんだ……、そうなんだ。あなたが死ぬのを邪魔しているのね」
私はしばらく彼女をにらみつけていたけど、やがてふっと肩の力を抜いた。
「……あなたに止められたんじゃ、仕方ないわね」
××はほっと胸をなでおろした。
もちろん、私は嘘を言った。臆病な私が決心をするというのは、そうそうあることではない。しかし、一度決心したことを私は何があっても曲げない。おそらく誰も知らないだろうけど、私は頑固なのだ。
「ちょっとお手洗いに行ってくるね。さすがにこんな顔は誰にも見せられないもの。あなた以外には、ね」
からかうとすぐ真っ赤になる××。可愛い。この子と会えなくなるのは少し寂しいな。でも、仕方がない。もうおかしな私がこの世界にいるのは、許されることではないのだから。
私は××と別れてトイレに向かう。そこには事前に保険として用意しておいた、首吊り用の縄があるはずだ。
太陽が沈み、廊下はオレンジから黒に塗り替えられる。それはまるで、私が生の世界から死の世界へ旅立つのを暗示しているかのようだった。
さぁ、着いたよ。ここが君の死に場所だ。
そう死神が告げた。
私はトイレという名の墓場に足を踏み入れる。
そこには真っ黒な棺桶のような個室が並んでいた。もう私の前に、何人もの人間が一足先にここで眠りについているんじゃないだろうか。そんなバカげた妄想が頭に浮かぶ。
入り口から数えて、三つ目の棺桶の蓋を開く。
そこで私はふと思うことがあって、一旦蓋を閉じた。
私は軽く拳を握って、蓋に三回ノックする。そして流行りの文句を言った。
「花子さん、遊びましょう」
さすがに、一人で死ぬのは寂しかった。だから幽霊でも妖怪でもいいから、誰かに見送ってもらおうと思ったのだ。まぁ、幽霊ならこれから仲間になるのだから、見送ってもらうっていうのはおかしいかな。
私はギギギという鈍い音を聞いて、蓋を開けた。もちろん、中には誰もいない。
床には用意しておいた縄が、蛇がとぐろを巻くように置いてあった。その脇には台もきちんとある。
縄を個室の壁に打っておいた釘に、固く巻き付ける。しっかりと固定されたことを念入りに確認してから、首をくくる部分をもやい結びで作った。
「うん、これでいいわね」
出来上がったものを見て、私は自画自賛した。芸術的なといっても過言でない、首つり装置の完成だ。
さぁ、あとは輪っかに首を入れて台を蹴るだけ。
ようやく、死ねる。肩の荷を下ろしたような解放感。
私は満足した気持ちで、台を蹴った。今まで感じたことも無い圧迫感が首を襲う。しかしそれはすぐに安らぎに代わり、意識を溶かしていく。
幸せ。今、私は最高に幸せ。もう死んでもいいくらい……って、バカなコメント。今まさに私は死んでるんじゃん。
綿あめのような意識で私は考える。死ぬときに味わう幸福って、もしかしてこれから自分の生きたかもしれない時間を凝縮したものなんじゃないだろうか。
何の根拠もない、ただの思い付き。でも私はその考えを一つの可能性ではなく、確固たる真実としてしか捉えられなかった。だって、死のうとした私を必死に止めようとしてくれた人がいた。人に明かしちゃいけないような、不思議な力を使ってまで止めようとしてくれた。それなのにこれから訪れる時間が苦痛なものだけだと、どうして言えるだろう。
いや、これじゃあ自分の心を偽った言葉だ。もっと素直に言おう。
私は生きていれば絶対に、幸せになれた。だって私は、死ぬことを後悔しているのだから。
「……ああ、生きたかったなぁ……。××と一緒に、生きたかったなぁ……」
それが私の最後の言葉になった。
その後は意識だけあって、でも何も言葉が出ない状態が続いた。
そしてまさに意識の糸が切れそうなその時、誰かの足音が聞こえた。
「ねね、ねね!」
がらりと扉が開く。駆けこんできたのはやっぱり××だった。
「あ……あ……ああ、ねね、ねね……ねね」
彼女は泣き崩れて、私にすがりついた。今まで気丈な姿しか見せなかったあの子が、こんなにも取り乱した姿で泣いていた。
「ごめんね、ごめんね、気付いてあげられなくて、ごめんね……。知ってたはずなのに、あなたが頑固だって、知ってたはずなのに……。うう、ッ……」
あーあ、ばれてたんじゃん。私って、本当に、バカだなぁ。くっくっく。
……こっちこそごめんね、……雨桜。
●
「……きて。……きて」
誰かの声が聞こえる。誰の声だろう?
「……起きて。起きてよ、七色光雨。あなたには波紋様との約束があるでしょ! だから、起きて‼」
……そうだ、俺は七色光雨。護衛戦の後、気になることがあって、意識を誰かに乗っ取らせたんだ。
「……ここは」
体を起こして、周囲を見回す。そこは空間そのものが闇に閉じ込められたかのように、暗い場所だった。
「女子トイレの三番目の個室。あなたは夢遊病の人みたいに歩いてきて、ここで急に倒れた」
先輩は鼻水をすすって、俺に抱き付いてきた。
「……無事で、よかった」
俺はこんな時にもかかわらず、先輩の胸はやっぱり大きいなぁ、と破廉恥なことを考えてしまった。っていうか、スゲーいい匂い。嗅いでいるだけで性欲が刺激されてしまう。
「あ、あの先輩、そろそろ離れて……」
「ご、ごめん」
わたわたと先輩は俺から離れた。あーあ、もうちょっと堪能してればよかったかな。まぁ、後悔は先にはできないわけでして。
「こほん。それで、どうだった?」
居住まいを正して、先輩は聞いてきた。
「前回よりイメージが鮮明だった。たぶん俺が抵抗せずに術を受け入れたからだと思う」
そう前振りをしてから、俺は簡潔に自分の見たことを先輩に話した。
「……きっと、あなたはすごく危険なことをした」
「そう不安そうな顔をするなって、無事に帰ってこれたんだし」
しょげた顔をする先輩の頭を俺はぽんぽんと叩く。
「……うん。それで、何か手掛かりはあった?」
「モチのロン。まず、自殺した女の子の名前はねねっていうらしい」
先輩は無表情になって口を閉ざす。シンキングタイムだ。
「……ばぁやから聞いた名前は白樺、ねね。一致する」
俺はうなずいて、次の報告をする。
「そしてそいつには一人、仲のいい友達がいた。そいつの名前は最後の最後に分かったんだが、雨桜っていうらしい。雨に桜って書いてあさ、な」
先輩は目を丸く見開いて、あんぐりと口を開けた。
「……おばあ様」
「……今、何て⁉」
俺はあまりにも予想外な言葉を耳にし、もう一度聞き直してしまった。
「波紋様の、おばあ様の名前と、まったく一緒。人付き合いはあまり得意ではなかったけれど、心優しい方だった」
今度は俺が目を見開く番だった。
「ほ、……本当か?」
先輩はうなだれるように、がくんとうなずいた。
とんでもない話になってしまった。
だが俺はもう一つ、彼女を驚愕させる情報を持っていた。
伝えなければならない。これで最後のピースなのか、それともまだ手にしていないピースがあるのか、それは分からない。だがそれでも、このピースが加わるだけでとんでもない絵がパズルに描かれることだけは間違いない……。
「先輩、落ち着いて聞いてくれ」
「……ん」
先輩は驚きの抜けきらない表情でうなずいた。
「おそらく白樺ねねっていう女の子は、花子だ」
「……ッ! そ、そんな……ッ⁉」
もうリアクションの在庫が尽きたのか、先輩はただ俺の顔を見る以外の反応はしなかった。
「あの声、間違いない。それに首つりっていう共通点もある。白樺ねねは花子だ」
しばらくの沈黙の後、再び俺は口を開いた。
「ここまでは導き出せた。だが、肝心の内容をまとめることはできない。たぶん陰について詳しくないからだろう。先輩、今まで出てきた事実を整理してくれないか?」
先輩は瞼を閉じて、無表情で黙り込む。俺は彼女が口を開くまでじっと待った。
「まず、湖水家が七不思議と契約した時期とねねが死んだ時期は近いけれど一致しない」
「まぁ、雨桜がすでに階段で能力を使ってるしな」
「そこで疑問が生まれる。それなのに、何で七不思議なのか?」
……へ? 何だって?
混乱する俺に、先輩は左手の指を五本、右手の親指と人さし指の二本を伸ばし、話が進む度に一本ずつ折っていった。
「一、一段だけ多い階段。二、ベートーベンの目。三、踊る骨格標本。四、プールの底から延びる手。五、正夢のベッド。六、呪われたピアノ。全部で六個。湖水家のご先祖様は、七不思議と契約を結んだとおばあ様は言った。時期がずれている花子をこの七つの中に入れるのは、少し釈然としない」
「そうか? 大雑把に考えれば、多少時期がずれてようが問題にはならないと思うが」
俺の反論に先輩は首を横に振って、話を続けた。
「そして根拠はもう一つ。花子は二つの能力を持っている。一つはあのロープ。もう一つは相手の体内を破裂させる、あるいは相手の体内の血を全部抜いてしまうもの」
「……確かに、おかしいな。俺はあいつの記憶を見たが、首つり自殺の能力は持ったとしてもそんな物騒な能力を持つきっかけは無かったはずだ」
先輩は唇を舐めて俺の言葉を引き継いだ。
「つまりこれはもともと湖水家が持っていた呪術だったと考えられる。ゆえに七つ目の呪術が、赤い紙、青い紙。花子は最初から七不思議に組み込まれてはいなかった。あとから追加された陰である」
「それが何らかの事情で、花子に譲渡されたってことか」
……何らかの事情。それは何だ?
「そのことについては容易に説明がつく」
「俺には分からない。どうして湖水家は花子にそんな強力な能力を渡したんだ?」
「考えればすぐに分かる。結論を言うと、花子が加わると七不思議が八つになってしまうから」
「確かにそれだけ聞けば、すっきり説明がついたように聞こえる。だがそうすると別の疑問が生まれる。なぜ七不思議じゃないといけないんだ? 別に八つでもいいじゃないか」
「その頃は交流ある七つの家に護衛を任せていた。それぞれの家に戦闘に特化した能力を持たせて、自分は治癒という非戦闘系呪術だけを持つことによって信頼の証としていた。それなのに戦闘系呪術を持つようになったら、護衛を疑うことになる。だから無理にでも七つにする必要があった」
人付き合いってやつか? いつの時代も面倒なものだな……。
「それで説明できる気がする。が、まだ根本的な問題が解決されていない」
「……なぜ、湖水家は花子と契約をしたか」
「ああ。他家とトラブルの火種になりかねないと分かっていながらも、何で契約をする必要があったのか」
この問題の答えには、俺にも心当たりがある。
「俺がまず、推測を言っていいか?」
「ん」
俺は何度か自分の推測を頭の中で繰り返してから、口を開いた。
「親友の雨桜は、陰になった彼女を放っておけなかったんだ。だから自分の守れるところにかくまった。……どうだ?」
「私も同じ意見。陰は野放しになっていると狩られてしまうことがある。だから、ねねをかくまおうとするのは自然な行動」
これで自殺についての事情はほとんど説明がつくようになった。
「ただ、まだ一つ俺は気になることがあるんだ」
「何?」
「湖水家の、おそらく雨桜がねねと契約を結んだ。その契約の内容は何なんだ?」
先輩はぱちくりと瞬きをして俺を見た。
「それは湖水家がねねを守る、とか」
「まぁ、普通に考えたらそうだろう。だけど俺は違和感を覚えちまうんだ。そういう内容なら、波紋に契約内容を伝えたって何の不都合も無いはずだ」
「……だけど、波紋様にはすでに七不思議を管理する権利を与えられているにもかかわらず、ねねとの契約内容は伝えられていない……」
「以上のことから、契約内容が特殊であることは明白ってことだ」
しんとした静寂が俺たちの間に落ちた。興味本位で始めた調査、実験。しかしそれは、湖水家の秘密を暴くことに繋がっていた……。
「とんでもないことになっちまったな」
俺はおどけた風に言ったが、空気が緩むことは無かった。
「もしも本当に契約内容を暴けたら、波紋様をねねから解放することができるかもしれない」
先輩の漏らした独り言に、俺は少し疑問を感じた。
「本当に、そうなのか?」
うまく気持ちを言葉にまとめることができず、つっかえつつも俺は言った。
「ねねを波紋から開放するのが、本当にいいことなのか? そもそも、ねねが自分をかくまってくれた湖水家に憎しみを抱くとは思えないんだ。まして自分の親友だった雨桜の息子を殺す動機が思いつかないっていうか……」
「つまりあなたは、ねねが悪者だって思えないってこと?」
「俺はそう思う」
先輩は俺の心の奥を探るように視線を合わせてきた。
「……一つだけ反論するなら、おばあ様が生んだのは女の子、雫様一人。今は亡き息子は婿養子で入ってきたから、血が繋がっていない。そしてその夫はおばあ様の娘である雫様と波紋様に対して、乱暴なふるまいをしていたと聞いている。ゆえに雫様たちを不憫に思ったねねが、夫を殺した可能性は十分に考えられる。……そうだったとしても、私もねねを根っこから憎むことはできなくなってきた」
俺たちはいったい何がしたいのだろう。ふとそんな思いがよぎった。調べれば調べるほど、今まで知らなかった花子、ねねの姿が見えてくる。だけど、それを知ってどうするんだ……。
もう俺たちは、ねねをただの性格の悪い陰として見ることはできない。
「先輩、最後にもう一つ聞いていいか?」
「ん?」
俺は最後に、ずっと抱いていた疑問を先輩にぶつけた。
「戦いが始まる前に、俺が花子を使わないって言った時さ。先輩、めっちゃ怒っていたよな。何であんなにご立腹だったんだ?」
先輩はぎょっとした顔で俺を見たが、すぐにヘタクソな口笛を吹いた。
そんな彼女を見て思った。俺は先輩や他の誰かの掌の上で、踊らされているのかもしれない。今回の件も自分の力で辿り着いたのでなく、誰かに誘導されていただけなのかもしれない……。
唐突に先輩はばっと顔を上げて、せわしなく辺りを見回した。
「おい、どうしたんだ先輩?」
「あなたは聞こえなかった⁉」
切迫した様子の彼女に、俺は戸惑いつつも首を横に振った。と、同時にどこからか爆発音が聞こえ、地面が揺れた。
「な、何だよ、今のは⁉」
「ここにいるのは危険。早く外に出よう」
俺はがくがくとうなずき、個室を飛び出した先輩の後に続いた。




