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閑話5 王国の闇

シリアスにはなりません。

【ある男たちの会話】 王国の闇



「それで、昨夜勇者たちが何を話し合っていたのかわかったのか?」

「それが、ロクメイ館に潜り込ませた使用人からの報告では、聖女が今後のことで話し合いたいと言った後は言葉の魔法石を外して自分たちの国の言葉で話し始めたために、その後の話の内容はわからなかったとある」

「なに? まさか盗み聞きがバレたのか?」

「わからぬ。だが、今後は用心せねばならんな」

「今後のことというのは、やはりドラゴン退治のことかのぅ」

「だろうな。だが、皆はどう思う。お披露目の時の勇者の宣誓を。本当にあのドラゴンを殺せると思うか?」

「無理じゃろうな」

「そうか? 剣を飛ばせるのだぞ」

「あの程度ではドラゴンは殺せぬさ」

「どちらにしてもドラゴンを殺されてはかなわぬ」

「そうじゃな。ドラゴンにはデュロワール以外の国で暴れてもらわねばならぬからのぅ」

「勇者にはドラゴンの相手などほどほどにしてもらって、後は女子を相手に子作りに励めば良いのだ」

「そうよ。して、そっちの方はどうなっておる?」

「むぅ。それが平民の小間使いに一度だけ手を付けたようなのだが、それ以降はさっぱりだ」

「クラリス姫はまだ幼いし、なんとか繋ぎとめておかぬと」

「これはと思う各家の令嬢と顔合わせはしておるのじゃが、のらりくらりと躱しよる」

「女騎士にも侍女たちにも手を出す気配はないと報告にあるな」

「前の勇者のようにはいかぬか」

「なぁに、今の勇者もドラゴンとの戦いが近づいて昂ぶれば女が欲しくなろうさ」

「聖女のほうはどうか?」

「ジャルジェ卿の養子のアンドレが付ききりよ」

「前の聖女と趣は違うがなかなかの美貌じゃからのぅ。まぁ、ちぃとばかり乳房が寂しいが」

「それが良いのではないか。全く、これだから熟女漁りの年寄りは」

「何を言う。若い娘をつまみ食いばかりしておる青二才には女体の本当の味はわかるまい」

「やめぬか。ここは己の性癖を晒す場ではないぞ」

「ぐぬぬ」

「ふん。で、アンドレの小僧はもうやりおったのか?」

「まだのようだ」

「最近の若者は弱腰じゃのぅ。せっかくの美男子が泣くわい」

「まぁ、焦らずともよかろう。120年前の二の前になってはかなわぬしな」

「2代目の聖女か? 何があったのだ?」

「何だ、知らぬのか。120年前の聖女は今の聖女と同じ年頃であったが、当時の王に手籠めにされてな。それを苦にして自害したのよ」

「送還されたと聞いていたが、そのようなことがあったとは……」

「醜聞じゃからな。表には出せん」

「それに比べれば現王は堅実だな。勇者には正妻との末娘、聖女には先の勇者の血を引く側室の男子をあてがうか」

「ふん。また王族で独占しよるのか。ま、聖女の方はまた聖属性の女ばかりだろうて。アンドレも貧乏くじを引いたのぅ」

「それが、内務から気になる知らせが上ってきているのだ」

「何と?」

「今の聖女だが、聖魔法だけでなく全属性の魔法が使えるらしい」

「それは誠か!」

「誠ならば、聖女の産む子はとんでもない宝になるぞ」

「その話、王の耳には」

「無論、入っておろう」

「それでアンドレをつけたか。全く油断も隙もないわい」

「だが、有力貴族どもが黙っておらぬだろう。そのような宝を産む娘を王族に独り占めにさせておけぬとな」

「大金を積んでも聖女に子を産ませたい貴族はいくらでもいそうじゃのぅ」

「まぁ、最初の子はアンドレに譲っても良いが」

「その後のことは何とでも」

「アンドレも短命か。哀れな」

「どの口が言うか」

「ふぉっふぉっふぉ」

「ところで、もう一人の方だが……」

「うん? そのような者がおったのか?」

「誰だ、それは」

「名前は……ええと……何だったかな」

「知らぬのか」

「まぁ、名前も出てこぬ程の小物なら捨ておいてもよかろう」

「で、あるな」

「……うーむ」

「どうした?」

「いや、アンドレの子を孕む前に聖女と寝られぬものかと思ってな」

「やれやれ。まだそのようなことを考えておるのか。あんな貧相な体つきの小娘のどこが良いやら。もう十ほど歳をとったほうが熟れ頃じゃろうに」

「あの年頃の初々しさが良いのだ。いずれにしろモノが役に立たなくなった年寄りの出番はないわ」

「何を言うか。儂のはまだユニコーンの角のようにいきり勃っておるわい」

「やめぬか。下劣な会話は」

「つくづく堅物じゃのぅ」

「貴殿は聖女を抱いてみたいと思わぬのか?」

「全く」

「何故に? めったにない馳走だぞ?」

「ほれほれ、本音を言うてみぃ」

「…………し過ぎだ」

「は? 何て?」

「16など、成長し過ぎだ」

「……」

「……」

「未熟こそ至高! 聖女などババァではないか」

「……お、お主。まさかとは思うが、もっと年下の娘が好みなのか?」

「然り!」

「誠か。どうりでなんやかんやとクラリス姫につきまとっていると思っていたが……」

「姫も良いが、これからはクロエたんの時代よ!」

「クロエというと、お披露目で聖女の付き人をしておった黒髪の童か」

「そうだ。聖女などよりよほど良かろう? あのサラサラの黒髪、思わずなでなでしたくならんか?」

「……さて、歳よりはもう寝る時間じゃな」

「私も急用ができたのでこれにて」

「待て。まだクロエたんの素晴らしさを――」


(このような男が王国の宰相とは……)

(王国の闇は深いのぉ)


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