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悪魔になった私の冒険録  作者: 炭酸水
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残った疑問

私は投げたカルアを回収しに森へと来ていた。



この辺りに着くように投げたから必ずここにいるはずだ。



「カルアー!カルアー!」



私の声は何度も反響し、少しずつ小さくなり、大自然に溶け込んだ。



私は疲労感からがっくりと肩を落とす。



(距離を置くためとはいえ後先考えてなかったなぁ~)



リリアスになんとか勝利し、さっさと逃げてきた者のカルアの痕跡は全くと言えるほど見つからない。



それどころかほとんど変わらない新緑に飽きてきた。



ひとまず近くの切り株に腰を下ろす。



新しく切られたのか、切断面はまだ木の色をしている。



「ふぅ~」



状況を整理しようと思う。



私が何故襲われたのか?



住みやすい町だと思っていたのに。



そういえば私たちが悪魔だとか言っていた。



記憶を失う前の私は悪魔だったのだろうか?



第一見た目だけではわかるまい。



ふと、視界に自分の銀髪が目に入った。



「あっ……」



町の人はみな黒髪だった。



私とカルアのみが銀髪だった。



それが悪魔のトレードマークなのだろうか?



やはり私とカルアには何か関係があるのだろう。



それはそうだとしてもそれ以外にも不可解な点はある。



第一にいくらなんでも急すぎるのだ。



出会った時からずっとニコニコしていた商会長も鬼気迫る表情だった。



時間だってどうしてあの時なのだ?



私を殺そうと思えば寝ている時間を選ぶのが確実だ。



他にも買い物中に暗殺だってて来たはずだ。



リリアスが「紳士ですから」とか言っていたのと関係あるのだろうか?



しかし、迫害対象に紳士的態度を見せる意味は無いだろう。



それにしても考えれば考えるほど違和感が沸いてくる。



難しいことを考えていたらお腹が減ってきた。



「どうしようかな~」



木々の間を通り抜け吹き込む、風が心地よい。



木漏れ日が私の眠りを誘う。



思わず大きな欠伸が出てしまう。



それにしても私は感心するほど危機感が無い様だ。



「よし!カルアを見つけてから他の町に行くか!」



思いっきりのびをすると切り株から腰をあげる。



「うぎゃあ!」



タイミングの良いことに後ろの茂みからカルアが転がって出てきた。



「ナ、ナツ!死んじゃったかとおもったよぉ~!」



カルアは涙を流しながら私に抱きついた。



カルアは私を力強く抱き締める。



「カルア、苦しいよ」



「嫌だよぉ!もう離れだぐないのぉ!」



泣きじゃくるカルアの頭をぽんぽんと叩いてやる。



「勿論よ」



「えへへ」



カルアは満面の笑みを見せる。



その後安心したのか眠ってしまった。



(またかよ!)



とは思ったがおんぶしてつれていく事にする。



#

「むにゃむにゃ……ん?ここは?」



目覚めたカルアの視界にはいっぱいの本が広がっていた。



「え!ホントに何処なの!」



カルアはキョロキョロと辺りを見渡すも本と本棚以外は見当たらない。



「ナツー!」



「馬鹿!何大声出してるの!」



どこからともなく現れたナツがカルアの口を指で抑えながら小さな声で言った。



焦るナツの形相にカルアは驚く。



「ナツ」と呼ぶ声が何度もこだまする。



カルアは息を飲む。



しかし、何の物音もしない。



「はぁ~~!危なかったぁ~~!」



声を押し殺しながらもナツは安堵する。



「ほら、こっち!」



ナツはカルアの手を引っ張り連れて行く。

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