決着
「くっ!」
後ろに飛び躱そうとしたが肩を斬られてしまった。
「ほっほっほ、その反応速度人間とは思えませんね」
老人は剣を八の字に振ると、腰にスッと納めた。
「一度この手の輩と戦ってみたかったんですよ」
老人は髭を丁寧に伸ばしながら言った。
「カルア……先行っといて」
カルアの襟首を掴んだ。
「待ってナツ。死ぬ。マジで死ぬ!」
カルアは顔を真っ青にして言った。
「どのみちここにいても死ぬの!」
私の剣幕にカルアは萎縮する。
「ごめん!すぐ行くから!」
場外に向かって全力でカルアを投げ飛ばした。
「もうよろしいですか?」
老人はあくびをしながら言った。
「あら?待たずに攻撃してきたらよかったじゃないですか?」
「いえいえ、私は紳士ですから」
ペコリと頭を下げるが決して顔はこっちを向いたままだった。
「リリアス=ゲヴァスタ参る!!」
腰から剣を抜き、構える。
剣は全く揺れることもなく、真っ直ぐにに私を捉えている。
「それでは私から行きますね」
私はグッと踏み込むとひとっ飛びでリリアスに近づく。
鎌を大きく振りかぶり思いっきり縦に振った。
鎌の延長線上に斬撃が飛び、近くの民家が真っ二つになった。
しかし、リリアスは横にさっと退き避けていた。
ここぞとばかりにリリアスも全力で振り下ろして来た。
鎌の柄でなんとかガードする。
「そういえばどうして私たちがいると不幸になるんでしたっけ!」
リリアスを蹴り飛ばし、私も下がり距離をとる。
「簡単な事ですよ。貴女方悪魔がのうのうの人間と共に生きている事がおこがましい」
(私が悪魔?何を言っているんだ?)
リリアスは剣を横に構えて迫ってくる。
「顕現っ!!大鏡面!!」
鎌を横に薙ぎ、裂けた空間から大きな鏡が現れリリアスの行く手を阻む。
「乗り越えればよかろう!」
大鏡面を飛び越え、振り下ろされた剣をまたしても柄で受け止める。
(おっもぉぉぉい!)
リリアスは顔を真っ赤に染め、全力で力をかける。
「力比べでは負けませんよ!」
リリアスは剣を倒して、肩の傷口を広げる。
激痛に顔を歪めるがなんとか少し押し返す。
「私たちが悪魔ってどういうこと!!」
鎌の刃の部分を踏みつけ、柄をテコの原理で剣と拮抗する。
「そんなのおまえたちの親に聞くんですね!」
リリアスの蹴りが腹に炸裂する。
ダウンしそうになるが気力で我慢する。
リリアスの膝、腹、胸を利用して鉄棒の如く一回転し、力比べから脱した。
しかし、鎌は落としてしまった。
(無理だ!勝てない!)
大きく乱れた呼吸を整えながら少しずつ後ろにさがる。
「貴女、負けましたって顔されてますよ。潔く死んで頂けますか?」
「ちくしょう!!」
自分の頬を叩いて震い立たせる。
下を向くと肩の血が地面に溢れる。
(来て貰うしか……無い!)
決死の覚悟を決め顔を上げた。
しかし、音もなくリリアスが肉薄していた。
「がぁ!!!」
リリアスの剣は完全に胸を貫いた。
「油断大敵ですね」
剣を押し込みながら邪悪に微笑む。
「おまえもな!」
リリアスの腕を掴む。
「何?諦めがわ……」
瞬時に鎌を召喚し、全力でリリアスの首を跳ねた。
首の無いリリアスの死体はそのまま地面に倒れ伏した。
私は今にも遠のきそうな意識を保ち、鎌に魔力を籠めて一閃する。
「顕……現…、ア…ン……ク」
しわがれた声だがなんとか呼び出す。
裂けた空間からエジプト十字が現れる。
それから発せられた光は私の全身を包み、傷や服を癒してゆく。
「あぶなかったぁ~!」
私はそう叫ぶと地面に転がった。
技量でも身体能力でも劣っている相手に勝つには不意打ちに限る。
本当に心臓を刺した時に油断してくれたことが良かった。
そうでなければ今頃リリアスの様に転がっているかもしれない。
「あっ!やばい!やばい!町の人が来るかもしれない。急がなきゃ」
私は立ち上がり背中を払った。
(さ、カルア探しに行きますかね)
私は小走りで城門をでた。