中編(閲覧注意)
残酷描写あり、ホラー描写あり、勇者一行と国王の破滅の始まり
俺とユリアは馬車を走らせ、ようやく目的地のカスタム塩湖に着いた
【レイン】
「うわぁ、でかい湖だな!」
カスタム塩湖は面積が12000平方キロメートル、東西250キロメートル、南北100キロメートル、最大水深104m、湖面標高86mもある巨大な湖で、水の奥底が見えるくらい高い透明度を誇っていた
【ユリア】
「レインさん、本当にここで塩を作るのですか?」
【レイン】
「あぁ、まず地形を調べてみよう。」
俺は高い場所から見渡すと、カスタム塩湖とは反対側の方向に広い河川があった
【レイン】
「まずは河川を見てみるか!」
レインとユリアは河川の下へ向かい到着した。河川は流れが緩やかで、幅が広く、いつ誰が作ったのか分からないが石の堤防が築かれており、築き具合や見た感じでは、それほど古くはなかった。魔王の奴、誰も手をつけていない土地と言ったが、手をつけてるじゃないか
【レイン】
「堤防があるということは、誰かが住んでいたんだな。では、まずは飲んでみるか。」
【ユリア】
「私も喉が渇いていたので、いただきます!」
試しに飲んでみると、水が柔らかく、冷たく飲みやすかった
【レイン】
「うん、とりあえずは飲み水は確保したな。」
【ユリア】
「レインさん、河川の水が使えるなら、開拓しましょう!塩作りをする前にまず食糧確保ですよ!」
【レイン】
「そうだな、まずは開拓だな。」
レインとユリアは河川から離れた土地で畑を作ることにした。そのころ勇者たちはカジノの支配人とVIPルームにて話し合いの最中だった
【支配人】
「さて、どうするのですか?」
【カイル】
「そ、それは・・・・」
勇者たちは目の前にある借金の誓約書を前に、黙り込んでしまった。レインが借金返済をしていたことを知らずにギャンブルを続け、レインがいなくなったことで、勇者たちは借金地獄に陥っているのだ
【支配人】
「魔王を倒した勇者御一行が多額の借金を背負っていると世間が知ったらどうなるでしょうね♪」
支配人がニヤリと微笑み、勇者一行をじわじわと追い詰めていった
【カイル】
「まってくれ!借金はレインが必ず払う!だから・・・・」
【支配人】
「はて、確かレインという御方は魔王と相打ちになって死んだのではありませんでしたっけ?」
【カイル】
「くっ!」
勇者たちは自分たちの策に溺れてしまった。国王にはレインは戦死したと報告をしている。もしここで露見すれば間違いなく勇者一行の名誉が地に落ちる、いや、国王に偽りの報告をした時点で間違いなく処刑される、しかし借金を支払わなければ、勇者たちは最も不名誉な奴隷身分に格下げになる。かくなる上は・・・・
【支配人】
「さて、どうする・・・・」
支配人が言いかけた瞬間、勇者は剣を抜き、支配人の喉を切り裂き、血が溢れ出てきた
【店員】
「し、支配人!」
近くにいた店員が目の前の惨劇を見たあと、勇者が振り向き様に剣を振り、店員の首を跳ねたのである。首がなくなった店員は痙攣を起こし、倒れた
【カイル】
「てこずらせやがって!」
勇者は血脂を拭き、剣を仕舞った
【ローラ】
「カイル、あんた何やってるのよ!」
【ミーヤ】
「そうよ、あんた正気!」
【オルグ】
「カイル!」
三人は勇者の突然の行動に驚きを隠せなかった
【カイル】
「なんだよ、お前らは奴隷になってもいいのか!名誉ある勇者一行が奈落の底へ落ちるのを黙って受け入れるつもりか!」
カイルの発言に三人は言い返せなかった。三人も奴隷になるのは嫌である
【カイル】
「とりあえず有り金を持って逃げるぞ!」
【ローラ】
「しかしカイル・・・・」
【カイル】
「嫌ならいいんだぜ。お前らは大人しく牢屋にでも入ってな!」
勇者はそう言うと、金庫を開け、カジノの売上金を全て持って逃走した
【ローラ】
「待ってくれ!」
【ミーヤ】
「どうしてこんなことに・・・・」
【オルグ】
「くっ!」
3人も為すすべがないまま、勇者とともに逃亡した。そしてカジノでの殺人事件が王宮の耳にも入った
【国王】
「あのカジノの上納金は我が王国の財政源、そこで騒ぎを起こした原因を徹底的に調べるのだ!」
調べた結果、勇者たちが借金を背負っていたこと、それが理由でカジノの支配人と店員を殺害したことやカジノの売上金を持って逃走をしたことが発覚した
【国王】
「勇者たちの称号を剥奪する。手配書を作成し王国全土に知らせるのだ!懸賞金をつける上、絶対に捕らえるのだ!もし抵抗すれば殺しても構わぬ!」
国王の怒りは凄まじく、勇者たちは逃亡生活を強いられるのである。勇者たちを指名手配した国王は夜中、寝苦しさで目を覚まし、振り子時計を見た
【国王】
「ふう、午前2時か、嫌な時間に起きたな。」
寝汗を吹きながら、近くにあった水の入ったポットを手に取り、コップに水を注ぎ、水を飲もうとした瞬間・・・・ギギー
【国王】
「誰だ!」
国王が叫んだが、何の反応もなかった
【国王】
「ふぅ~、気のせいか。」
国王が水を飲み、落ち着いたところ・・・・ギギー
【国王】
「誰だ!出てこい!」
すると後ろから気配を感じた。国王は振り向いたが誰もいなかった。また国王の後ろに気配を感じて振り向いたが誰もいなかった。すると国王は剣を手に取り、剣を抜いた
【国王】
「さぁ、出てこい曲者、我が剣の錆びにしてくれる。」
そしてカーテンあたりを見ると、誰かが入っているみたいにカーテンが盛り上がっていた。国王は静かに近づき、カーテンに剣を突き刺した
【国王】
「どうだ!思いしったか!」
剣を突き刺したところから突然、ブシュウウウウウ!
【国王】
「ぶっ!」
国王の顔に謎の液体がかかった。すぐに国王は明かりをつけ、白タオルを持ち、顔を拭いたが、タオルは湿っておらず、白タオルのままだった
【国王】
「どうなってるんだ。」
【魔王(霊体)】
「どうなってるんだろうな?」
国王が声をした方を振り向くと、魔王の霊体が立っていた
【国王】
「なっ、何者じゃ!」
【魔王】
「我が名は魔王、貴様の都合で殺された哀れな亡霊さ。」
【国王】
「ま、魔王だと!何しに現れた!」
【魔王】
「決まってるだろう、貴様等に復讐するためだ。貴様の失政のおかげで勇者たちに殺されたのだからな!」
【国王】
「ひいいいいいい!」
魔王の後ろから次々と亡霊たちが現れた
【亡霊たち】
「貴様を呪ってやる!祟ってやる!」
【国王】
「こっちへ来るな!」
国王が剣で魔王と亡霊たちに攻撃を加えたが、霊体であるため効かず、剣を振り回すことしかできなかった
【近衛兵】
「陛下、いかがなさいましたか!」
そこへ近衛兵がやってきた
【国王】
「おい、そこに亡霊がおる!早く退治せい!」
【近衛兵】
「はっ?誰もおりませぬが?」
【魔王】
「フフフ、無駄だ。私と亡霊たちのことが見えるのは貴様だけだ。」
【国王】
「早く魔王を何とかせい!」
【近衛兵】
「陛下、どうか剣を収めてくださりませ!」
国王が剣を振り回し、近衛兵はそれを止めるのに必死になっていたのである。ここから魔王の復讐が始まるのである
そこから歳月が経ち、レインたちは順調に開拓していた。なぜ順調に開拓できたのかというと、レインとユリアの他にも続々と開拓に参加している者たちが集まってきたからである。集まった者の中には人間もいれば魔族もいる、獣人族やエルフやドワーフ等、様々な種族がこの地に集まっているのだ。それぞれ色々な事情があってやってきた様々な種族たちをレインは温かく迎え入れた。そして田畑や用水路を整備したり、温泉を採掘、塩作りにも尽力し、いつしか小さいながらも村が誕生し【カスタム村】と名付けられた
【エルフ】
「村長!農作物が順調に出来上がってます!」
【レイン(カスタム村長兼職商人)】
「ご苦労様、収穫が楽しみだな!」
レインはいつの間にか村長になっており、農業の他にもカスタム塩湖の水を使った塩作りも順調に進めていた
【ドワーフ】
「カンショ(薩摩芋)も順調に育っておる!カンショ酒(芋焼酎)が作れるぞ!」
ドワーフはカンショ(薩摩芋)を原料として作るカンショ酒(芋焼酎)を作るのを浮き浮きしながら畑仕事に勤しんでいた
【魔族】
「村長、水堀の工事をしたいので河川を引いてもいいですか?」
【レイン】
「ああ、ええよ。」
魔族たちは村の警備のために河川の水を引き、水堀を作っている
【獣人族】
「村長、仲間たちも村に呼んでもいいですか?」
【レイン】
「ええよ、人手が欲しいし。」
獣人族は同族の移住者を求めていたので許可した。もちろん他の種族もOKである
【ユリア】
「レイン!塩作りの準備ができたから来て!」
【レイン】
「分かった!」
ユリアの呼び掛けにレインは早速、塩工房へと足を運んだ。塩工房は既に熱気に包まれており、サウナよりも熱いです。平釜にカスタム塩湖の水を入れ、煮炊きの最中である。平釜で4時間近く炊き上げています。時間をかけてゆっくりと結晶化するので、粒が荒目になり、これをすくい取り、乾燥させれば完成です
【レイン】
「よし、この湖塩を売れば、この村の知名度も上がるぞ!」
レインはこの湖塩を【カスタム湖塩】と命名し、塩を必要とする内陸部を相手に商売をすることに決めている
【ユリア】
「ねえ、レイン、もし内陸部の者たちと塩の商売をするなら、できれば安く売ってほしいの。」
【レイン】
「そういえば、ユリアは内陸部の出身だったな。」
【ユリア】
「えぇ、私たち内陸に住む者たちにとって塩は黄金よりも勝る代物なの。だから、大金を叩いて購入する者もいるわ。塩を得るために出費を切り詰めて生活をしている者たちもいるし、塩を巡って争いを起こした者もいたわ。内陸部に住む者は海がないから、塩を誰よりも求めているわ!だからあまり高値では売らないでほしいの!」
【レイン】
「分かった。俺もそこまで悪魔じゃないよ。内陸部の者たちには手頃な値段で販売するよ。」
【ユリア】
「レイン、ありがとう!」
ユリアのアドバイスが功を奏したのか、手頃な値段と【カスタム湖塩】が内陸部の者たちに持て囃され、たちまち人気となり、続々と【カスタム村】に移住者が集まるのである。レインは勇者の下にいた頃よりも充実で幸せな毎日を送っているのである




