思いの丈のすべてを!
「ぐっ……!」
リュアは思わず呻き声をあげる。
大剣と大剣の激突。
金属音とともに火花が飛び散る。
重い……!
全力でぶつかっているはずなのに、リュアは後退してしまう。
父が繰り出す最強の剣技。
精錬された重み、徹底的に磨かれた技。
そのどれもが――剛胆にして繊細。
ここにきて、リュアは確信した。
父は転生者だから強いのではない。
己の才能に自惚れることなく、それでも懸命に自己を磨いてきたからこそ、最強の地位を手に入れた。
だから、私は誇りに思う。
父が誇れる剣客であったことを。
「そ、それでも……!」
激情に揺れる自分の声を、リュアは聞いた。
「私は負けない……! 私には、ミアやキーア、アシュリー先生がいる。だから……!」
リュアは数秒だけ目を閉じると。
尊敬する先生の顔を脳裏に思い浮かべ。
そして。
――皇神一刀流。
――神々(こうごう)百閃!
大好きな彼の太刀筋を忠実に再現しながら、リュアは高速で大剣を振るう。細やかな剣筋はレインフォート流には似つかわしくないが、だからこそ付け入る隙がある!
「ぬ……!?」
実際にも、父はたしかに驚愕の声をあげた。これまでの稽古で一方的に翻弄してきた父が――である。
「おおおおおおおっ!」
リュアはなにもかもを忘れた。
全身の筋肉を駆使し、大剣を神速で突き出す。
引っ込める。
突き出す。
先生の技には遙か及ばないけれど、レインフォート流で戦うのは分が悪い。
だからこそ、未熟なれど、憧れに憧れた彼の技を真似した。
「ぐっ……おおおおおおっ!」
オルガント・レインフォート。
リュアの大剣を、苦い顔をしながらも受け止めるのはさすがだった。
剣と剣がぶつかる度、甲高い金属音が響き、火花が散る。
「父上! わかりますか! これが、一週間私が学んだもののすべてです!!」
依然剣を繰り出しながら、リュアは叫ぶ。
「だからこそ――大事なクラスメイトを貶める者を、私は許さない!」
そしてチラりと脇を仰ぎ見るや、高々に声を張った。
「キーア! 頼むっ!」
「任されました!」
さりげなく横に控えていたキーアが、容赦なく飛びかかる。
彼女はこれといって武器を携えていないが、魔法によって疑似的に作成しているようだ。魔神ミアと同じく、右手に刃状のオーラが顕現している。
「うおおおおおおおっ!」
「はっ!」
リュアとキーアの同時猛攻によって、さしものオルガントもなすすべがない。必死に大剣で攻撃を押さえ込んでいるが、さすがに苦しそうだ。表情にも明らかな疲弊が見て取れる。
「いきますよ父上! 鳳凰十字!」
「セラフィック・ルクス・ゲート!」
「ぬあああああああっ!」
リュアとキーアは、それぞれの思いの丈を、最強の剣士へとぶつけた。
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