表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/100

凡人はさらに強くなる

 あれから二百年が経った。

 リアヌいわく、俺の寿命が三回分とちょっと。


 しばらくは重力を倍増させたうえでの走り込みが続いた。俺の基礎体力を向上させるのが目的らしい。そのあとは十倍、十五倍、二十倍と……リアヌは容赦なく重力を引き上げてきた。


 それでも、俺には微塵の不満もなかった。


 元より凡人の身。転生者より強くなるためには、並大抵の修行では無理だとわかっていた。鬼のように厳しくなる修行の数々を、俺はただただ無心で耐えた。


「大丈夫なのか、ダーリン。苦しくなったらいつでも休んでいいんじゃぞ」


 よほど心配になったのか、ときにリアヌがそう言ってくることもあった。


「気にするな……。俺は強くなる。絶対にな……!」


「そ、そうか。ならいいんじゃが……」


 俺の強さに対する執念には、さしもの女神ですら驚いていた。もしかすると、クソッタレな転生者への恨みが、俺をここまで突き動かしていたのかもしれない。


 余談だが、動かない右腕はリアヌに斬り捨ててもらった。彼女いわく、片腕がないほうが後々いいことがあるのだという。 


「まあ、おぬしの身体じゃし、判断は任せるよ。どうする?」


 そう尋ねてくる女神に対し、俺は快く了承した。もう左腕だけで充分生きていけるし、わざわざ右腕を残しておく理由もなかったからな。


 ――その間、二百年。

 三回分の寿命をすべて修行に使い切ったときには、三十倍の重力にも耐えられるようになっていた。





 ――幽世かくりよの神域。

 俺とリアヌは向かいあって座っていた。


「ふむ……。素晴らしい。想像以上に頑張ってくれたの、ダーリンよ」


「これで……すこしは強くなったかな」


「ふふ。心配するでない。相当に鍛え上げられておるよ」


 ちなみにこの二百年間、自分のステータスを見ることは禁止されていた。俺は単なる一般人に過ぎないため、転生者と比べると成長が遅い。なかなか上がらないステータスにモチベーションを落とさないため、リアヌがそう提案してきたのだ。


「しかし、おぬしも堅い男だのう。二百年も一緒にいて、なにもしてこないとは」


「なに言ってるんだおまえは……」

 こっちもこっちで相変わらずである。

「それにあんた、やっぱりめちゃくちゃ強いだろ? いまの俺でもまだ敵わないんじゃないか」


「ほう? わかるようになったか」


「ああ。仮に俺が手を出したとしても、一瞬で粉々にされるだろうよ」


「ふふ、おぬしも成長したのう。安心せい、ダーリンの夜這いなら結構じゃ」


「だからしないっての……」


 まあ、この二百年で肉体的なステータスは相当に伸びたと思う。だけど魔法関連のステータスはまだ鍛えてないからな。その意味でも、リアヌには到底勝てないだろう。


「さて、お次は実際に魔物と戦ってもらうとするかの」


「お……」


 ついにきたか。


「おぬしには世界に存在するすべての魔物と戦ってもらう。よいな?」


「すべての魔物……」


「うむ。まずはゴブリン百匹からじゃ」


 百匹か。

 数匹だけなら前の俺でも勝てたが、百匹となると無理だったな。いまはわからないけど。


「……わかった。どんな修行でも受けるよ」


「ふふふ、その意気じゃ。これが終わったらいったん現世に戻るぞい」


 そうしてさらに八十年、俺の修行は始まったのであった。

 

これから始まる無双劇にご期待ください(ノシ 'ω')ノシ バンバン

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さて、早いところではすでに書籍発売しているようです! 書籍版は編集部の方と激論を交わして、さらに面白くなっています! また限定SSやカバーイラストのDLもつきますので、ぜひ買ってくださいますと嬉しいです! 私の作品を読んで、人生が変わるほど楽しんでいただけたら……これ以上のことはありません。 下記の表紙画像をクリックしていただけると作品紹介ページに飛べます。 よろしくお願い致します(ノシ 'ω')ノシ バンバン i000000 ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
[一言] 「ふふふ、その意気じゃ。これが終わったらいったん現世に戻るぞい」 このセリフの最後「ぞい」はないでしょう。 女神と言ったら女性でしょ?似合わないと思います。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ