さいきょうのてんせいしゃ、見参!
「な……に!?」
ガルムが驚きの声を発する。
それも当然だ。
さっきまで数十メートルは離れていたはずのキーアが、一瞬にして背後に回り込んでいたのだから。
「この……っ!」
慌てたように剣を振り払うガルム。
が、これも当たらない。
彼が剣を振り終わった後には、キーアはまったく別の場所にいた。
――すなわち、ガルムの頭の上である。
「……ぐ、ぬぬぬぬぬ!!!」
「なるほど。ちょっとずつ、思い出してきました」
激高するガルムとは対照的に、彼の頭上で無感情に呟くキーア。
「おいおいおい! キ、キーアっ!」
「下着が……見えてますぅ♡」
真っ赤な顔で訴えかける女子チーム。しかしキーアはこんなこと気にもしないのか、絶賛サービス中である。
「ぐぐぐ……ふんが!」
怒りが頂点に達したらしいガルムが、自身の頭めがけて拳を振るう。しかしそのときにはキーアは転移していたので、それが当たることはなく。
滑稽なことに、自分で自分の頭をぶん殴る結末になった。
「ーーーーーーーーっぁぁぁああ!」
うん。
めっちゃ痛そうだ。
可愛そうに。
「すごい……圧倒的じゃないか……」
仰天した様子で目を見開くリュア。上位の学生たるガルムが一方的に弄ばれるなんて、想像もしていなかっただろう。
俺とても、キーアの実力には目を見張るばかりだった。
あれは転移術をさらに高度化したもの。高速で魔術を唱えることによって、従来の転移術よりもさらにスピードが高まっている。
……さすがは最強の転生者、というべきか。
もちろん魔神だった頃の実力とは比べるべくもないが、ガルムとは明らかに格が違う。
「く、くそがっ! 俺様を馬鹿にしやがってぇぇええ!」
ガルムはすっかり怒り狂ってしまったようだ。
両目を血走らせながら、ぎろりとキーアを睨みつける。
「ぶっ殺す! ぶっ殺してやるぞぉぉぉおおお!」
「……わかりました。私も全力で応じましょう」
って、おいおい。
全力出す気?
マジで?
キーアは片腕を突き出すや、さらに魔力を解放する。
と――
さっきとは比べものにならない密度のオーラが胎動し、校庭が激しく揺れだした。
木々が大々的にぐらつき始め、校舎すらも踊り出している。
「こ、これは……!」
「甚大なる魔力の発生……! とうに常人の範囲を超えてますね……!」
乱れる強風に片手で耐えながら、リュアとミアが呟く。特にリュアは相当に驚いている様子だ。
「な……え、ええっ!?」
あれほど怒り狂っていたガルムですら、これには仰天したらしい。目を点にし、ただただキーアを見つめている。
「――いきますよ。終焉魔法の六、セラフィック・ルクス・ゲート……!」
ちょ、ちょっと待て!
それリアヌが使ってた魔法じゃないか!
んなもんぶっ放されたら、常人に耐えられるわけがない!
「わ、わああああああああっ!」
幾筋もの光が、ガルムに向けて降り注いでいった。
2/10発売! あと16日!
さらに熱く、面白く……編集部の方々と協議しながら、いっそう磨きがかった書籍版を2/10に発売します!
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