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凡人、真相にまた一歩近づく

  ★


 ふぅ……

 生徒たちの様子を見て、俺は安堵の息をつく。


 どうやら無事に道を切り開いたようだな。


 特にリュア・レインフォートに関しては、剣技のみならず、精神面でも大きな成長が見て取れる。正直ここまで狙ったつもりはなかったが、まあ結果オーライだろう。


 ――それだけじゃない。


「しかしな。ミア。距離を感じるという意味じゃ、私だって同じものを感じてるぞ」


「はい? 私にですか?」


「当たり前だろう。おまえがなにかしら隠し事をしているのは、みんな察してることだ」


「ふふふ。時期がきたらお話しますよ。それまでお待ちいただけますか?」 


「ほ、本当だろうな……?」


 リュアもミアも、さっきまでよりだいぶ仲良くなったように見える。


 極限の戦闘に身を置くことで、心が通じ合ったのかもしれないな。かつての俺とアガルフのように。


 うん。

 こういうのを見ると、どうしても《青春》という言葉を思い出してしまう。俺は寂しいまんま春を終えてしまったが。


 と。そんなことはいい。


「二人とも……静かに」


「え……?」


 俺が表情を引き締めると、リュアとミアも空気を察したのか、素直に押し黙る。


 瞬間。

 周囲の空間が――変わった。


 あれだけ面妖な雰囲気を漂わせていたのが、綺麗さっぱり消えてなくなったのである。天を突き刺す大樹も、そこかしこに生えている雑草も、なにもかもがない。


 ただ真っ白な空間が、地平線の彼方まで広がっているのみ。


「こ、これは……!?」


 目を見開くリュアに向けて、俺は静かに言う。


「おそらくだが、ダークマリー――邪神が倒れたことで、空間が元に戻ったんだろう。そして……」


 俺が視線を送る先には――数えるもおびただしい人の群れ。

 みな意識を失っているようで、倒れたまま身じろぎもしない。こちらが声をかけても、まるで無反応だ。


「……なるほど」

 人の群れを見下ろしつつ、ミアは真剣きわまる表情で頷いた。

「これこそが、かの邪神が言っていた《実験》ですか……」


「だろうな。その真意まではわからないが」


 詳しいことは不明だが、ダークマリーは《悲しみ》がどうだとか言ってたな。魔神シュバルツを呼び出したときのように、どうせまたロクでもないことを考えているんだろう。


「しかし、困りましたねぇ」

 ミアが思案顔で頬に手を添える。

「これだけの大所帯……いったいどこでかくまえばいいのやら」


「え……王国軍に預ければいいのでは?」


 リュアが当然のことを口にするが、俺は苦笑を浮かべることしかできなかった。


「それは山々だが……。うーん、難しいだろうな」


 元々、邪神族は国とも手を組んでいる。ダークマリーもさきほど、《ユージーン大臣の許可を得ている》と言っていたはずだ。


 それがわかっていて、王国軍に引き渡すことはできない。冒険者ギルドならワンチャンいけるだろうか……? うーん、微妙だ。


(というか、なんでミアはこんなことまで知ってるんだ……?)


 俺が内心でツッコミをいれた、その瞬間。

 

「――仕方ないのう。妾が彼らを引き受けてやるぞい」


 聞き覚えのある声が、一帯に響きわたった。


 


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