神へと至れ
即死スキル。
その名の通り、対象者を瞬時にして死に至らしめる脅威の術。
ルハネスもレイリーも、その技によってことごとく散っていった。
そしてそのスキルが、俺をも蝕んでいく。HPが高速で減っていく……
隣でマリアスが大声で何事かを叫んでいる。
どうやら泣いているようだ。
けれど――俺にはそれに応じる余裕すらない。
全身から力が抜ける。
両膝がガクンと落ちる。
そうしながら、これまでの人生が走馬燈のように蘇っていった。
マリアスのこと。
リアヌのこと。
故郷のこと。
いままでお世話になった、多くの人々のこと。
……結局、俺は何者にもなれなかった。
幸運にもリアヌに目をかけてもらったが、なにも成し遂げることができなかった。
笑い話だよな。
魔神シュバルツによれば、アガルフもレイリーも、転生者のなかでは強くないらしい。つまり歴代勇者にははるかに劣るというわけだ。
なのに。
何百年という修行期間を経ても、俺はとうとう奴らを超えることができなかった。
これが運命なのだろうか。
俺たち現地に住まう人々は、己の非力さを嘆くことしかできないのか。
一生懸命に努力しても、どうせどこにも辿りつけないのだろうか。
哀れだよな。
これが、現地人の末路か……
――残念ながら、おぬしは平凡な人間じゃ。特別な能力など持っておらぬし、ステータスは並以下。普通に特訓するだけでは一生転生者や魔神には勝てん――
――だが……この妾が特訓してやれば話は別じゃ――
薄れていく意識のなかで、リアヌの言葉が脳裏に反響する。
女神の言葉に、これまで間違いはなかった。
けれど、今日このときだけは、間違いだったかもな。
俺は平凡な人間。
結局、何者にもなれない……
と。
そのときだった。
『エクストラステータスが解放されました』
『ステータスをご確認ください』
『これにより、同級スキル《即死スキル》は解除されました』
――――
アシュリー・エフォート
EXレベル 1
攻撃力 575332
防御力 568766
魔力 619856
魔法防御力 592905
俊敏 563244
EXスキル
神へと至る道
――――
「え……?」
視界いっぱいに映り込んだステータスに、俺は動揺を禁じ得ない。
なんだこれは。
桁がありえないくらいに跳ね上がってるぞ。
しかもEXレベルってなんだよ。こんなもん見たことがないぞ。
加えて、さっきまで俺の全身を襲っていた激痛も、綺麗さっぱりなくなってしまっている。
「な、なに……!?」
かの魔神シュバルツも、大きく目を見開いた。