起 全《すべ》てを欺《あざむ》く者《もの》
小さな子供でも読める様にとほぼ全ての漢字に読み仮名があります。
読んでくれるかは兎も角、読んで欲しいという想いで書きました。
僕の憧れる人の言葉で、『5歳から95歳まで』というのがありまして。
僕の目標は、最近ひらがなを読める様になった事に驚いたもうすぐ5歳になる甥っ子と同じ4歳から現在世界最高齢である116歳よりもちょっと高く125歳程の人々に読んでもらいたいと心に思います。
そして今思いましたが、それならひらがな版と通常版の二つを書けばいいなって。
次からはそうしようと思います。
1999年、12月24日。
20世紀最後のクリスマス・イヴの夜更け、ある教会の一室にて……。
「——本当に大丈夫か? こんなので」
疑問を持つ俺はそれを指しながら訊ねる。
「ワタシを疑っているのか?」
相手の返答はこれだけだ。
「当たり前だろ。こんなオカルト紛いな実験なんか誰も信じねえだろ?」
「——だが、これが無ければ警戒の強い“奴„に近付く事は不可能だ。仮に近付けたとしても、我々(われわれ)の様に“彼方側„を認識出来ないお前では訳も解らず死を迎えるだけだ。それは大前提として理解しておけと、映像を交えて説明したよな?」
「……」
相手の言う通り、俺は奴の能力をビデオで観ている。
「確かにそうだ」
その映像はと言うと、森の中で十数人に囲まれた修道服姿の初老の男がおり、彼を中心に周囲の植物が突然枯れ始め、その場にいた十数人も森の動物達諸共突然倒れて出して灰になるという何とも恐ろしく信じ難い現象だ。
後に、その正体を聞かされた俺は信じざる負えなかった。
「ま、ちゃんと解ってるよ。今のは単なる俺にまだ“常識„があるかの確認だ。職業柄、現実と非現実、仕事とプライベートはしっかり分けないといけないからな。それは俺の専売特許だ」
「なら、始めるぞ」
「おう、こういう事は別に初めてじゃ無えんだ。じゃ無えと俺は何度も死んでる事になるからな——」
こういう事とは、主に己の死を偽装したり別人になり切る変装など、最新の科学や己の技術を使用して敵味方全てを騙す事だ。
それが俺の昔からの特技で、俺の職業だ。
“君„は騙されない自信はあるか——!?
《ミツルの守護者ハル》
僕の書く物語は基本、起・承・転・結の4部構成になっています。
しかし承や転が長くなり過ぎて承や転に前編後編や1、2、3などの数字が付くかも知れません。
最後におまけとして、次回作に繋がる話があるかも知れません。
この物語はフィクションです。
モチーフにしている部分はあるかもしれませんが、実在の人物、団体、宗教、実験、職業、法律、事件などとは一切関係ありません。