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第七話「最初の襲撃」



夜だった。


宿で俺たちが寝ていたところへ突然、



ドォォォォォォォォンンッッツ



という何かが破壊されたような音が響いた。



俺たちは飛び起き、何が起きたのか確かめるため着替えて外に出た。



外に出た途端、その光景に目を疑った。



街が破壊されていたのだ。



それも、二匹の竜と人間たちによって。



昼に俺が“パフェ”とやらを買った店は、いとく簡単に潰されていた。

そして他の店も次々と潰されていく。

潰していくのは黒い人間たちだった。


竜は、黒い人達と一緒に家屋を壊していく。

竜を操っているのは二人の人間だ。

ひとりは見たことある。昨日俺を無理矢理連れ去ろうとしていた、猫目のやつだ。


「亜竜」のやつらだった。



ボーッと観察してる俺を置いて、バルディたちは走り出した。

四手に別れて、敵に回り込んでいる。

バルディは腰から長い太刀を抜き、敵に目にも見えぬ速さで斬りかかった。

ニノとナノは双剣で戦っている。…と思いきや走りながら詠唱し、魔法を放っている。


スィはというと、おもむろに手を前に翳した。

すると、その綺麗な手のひらから長細いものがスルスルと流れるように出てきた。

――――蛇だった。

無数の蛇は空を登るように駆け、街を破壊する黒い人達に絡み付く。



そして、自分ごと爆破した。



蛇に絡み付かれた黒い人達は、次々と爆破していき、ほぼ全滅に追い込んだ。



「ヒャッホゥ!やっぱスィちゃんすごーい‼」


ニノが喜ぶ。


ニノとナノの前にいた敵も、彼女らの双剣さばきや魔法に圧倒され、大半がやられていた。



バルディもどんどん敵を倒していく。




…俺だけ何もできていない。



まぁ生まれてこの方、外にさえろくに出たことのないやつが戦うことなんて出来るわけない。


でもくやしい。


みんながあんなにどんどん敵を倒していっているのを目の当たりにして、俺だけ何も出来ないなんて。


バルディはともかく、ニノとナノなんて見た目俺より年下である。

そんな彼女らより俺は劣っている。

足一歩踏み出せずにいる。




そんな風に思っていたら、目の前にひとりの、俺と同じくらいの歳の少年が現れた。

竜を操っていた二人のうちのひとりだ。



「君は、戦わないの?」


少年が問う。



「俺は…。」


「みんなに戦わせてていいの?」


「いいって…そりゃ良くないけど、俺は、その…戦い方も知らないし…。」


「みんな自分で強くなるんだよ。

そうか……君は弱いね。」


少年はニヤリと笑った。


俺はハッとした。


「君はっ…。」


「なんだよ。親父が騒ぐからどんなやつかと思って来たら、こんなヘナチョコじゃないか。

思ったより全然大したことなかったね。」



親父…?


「君はだれ…?」



「俺は“亜竜”のリーダー紫香楽宮正志の息子、紫香楽宮ヨル!

……お前の従兄弟だ、イル。」



従兄弟……⁉





「…後ろの気配にも気づかないなんて、先が思いやられますね。」


ハッとしたときには、俺の後ろに猫目の男が立っていた。


「イル様、お久しぶり…と言っても昨日会ったばかりですがね。」




俺は亜竜の二人に挟まれた。


どうする…。

バルディたちは黒い人達の相手でいっぱいになっている。

俺ひとりで対処しなければならない。



「一緒に来てくれますか?イル様。」



猫目が2歩近づく。


俺が遠退こうとしても、その反対側にはヨルがいる。



俺は瞬間的に足元にあった砂を握って、猫目の顔に投げつけた。

目潰しをしようとしたのだ。

まぁそんな簡単にいくとは思わないが…。



「うわぁっっ!な、何だこれ…⁉」


猫目は目をおさえて蹲った。

前言撤回。簡単にいったわ。


味をしめた俺は、ヨルにも砂を投げた。

すると今度はやはり関知できたのか、避けられてしまった。


「……っ!」


だがヨルは簡単に猫目がやられてしまったことに、動揺を隠せない表情をしていた。


そしてヨルは戦闘の構えをとった。



いよいよホントにヤバイ。

砂が通用しないんだったら、戦闘力ゼロの俺にとっては荷が重いどころではない。

何か方法は…。



神に祈るように俺がおもむろに空を見上げた瞬間、空が一瞬パッと明るくなった。



するとその光が俺の目の前に落ちてきた。



バリバリバリバリッッッ!!!




びっくりして飛び退いた俺は、どこかに隠れるところはないか探した。

同時に、ヨルや猫目はどうなったか気になったので辺りを見渡してみた。




ヨルは


俺の目の前で焼け焦げになって死んでいた。


さっきの光が当たったのか、

全身が黒くなっていた。




後ろで猫目が

「これが神童の力か…。」

とかなんとか言ってたが、あまり覚えていない。










* * * * * *






光が落ちたあと、黒い人達や猫目は素早く撤退した。


バルディたちは、クレマチスの人たちに沢山感謝されていた。


俺はそれを見ていた。


ただ見ていた。




さっき俺が空を見上げた瞬間、

光がヨルに落ちた。











きっと、偶然だと思った。


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