(1)プロローグ
初投稿です。
多目に見てください。
墨汁をぶちまけたような漆黒の空に、満天の星空があった。
星のことはあんまりよく知らないけど、とにかく綺麗な夜空だった。
そんな俺は、現在立ち止まって空を見ているのではない。
ましてや歩きながら見ているのは少しばかり危ないだろう。
そう、俺は今、仰向けに倒れているのだ。
さっきまで周りにいた“怪しい人たち”は、みんな自分と同じように倒れている。
……まぁうつ伏せの人もいるのだけれど。
俺が夜空から右の方に目を移すと、20メートルほど先にこの空のような真っ黒なセーラー服を着る少女が立っていた。
俺自身は、彼女が放つ衝撃波をもろに浴びた周りの“怪しい人たち”と違って吹っ飛ばされただけだったので、その少女をよく見るため、身体を起こす。
月明かりくらいしか光源がないので、あまりよく見えない。
わかるのは、背丈などから判断して、歳の頃は自分とさして変わらないだろうということだ。
ただ、ひとつだけはっきり目につくものがあった。
彼女の、俺を見つめる真っ赤な瞳。
彼女に会ったのはこれが初めてだったはずだ。
なのに俺はその瞳には見覚えがあった。
それはきっと、あの夜、
俺の両親がいっぺんに殺されたあの夜に見た、
もっとも恐ろしい双眸。