狐さんはニート。
狐さんと出会いを果たし、へにゃりとへたっている狐さんと狐耳を眺めながらこたつでひたすらぬくぬくとして一時間ほど経った頃。
ピンポーン、とインターホンが鳴った。
そう言えば今日に荷物が届くようにしといたんだった。家に家具が置いてあるって電柱に貼ってあったチラシに書いてあったから本とか服とかくらいの荷物だけで済んだのは楽だった。
「狐さん、多分俺の荷物の配達だから、俺が出てくるよ。」
「うむ、頼んだ。はー、こたつというものは本当に恐ろしいものじゃな。」
こたつの呪縛は凄まじいからな。強い精神力か、やらなければならない事がなければなかなか抜け出せない。
そこら辺は、狐さんでも変わらないらしい。
こたつへの未練を断ち切って、いそいそと玄関へと向かう。
扉を開けると案の定荷物の配達だった。いくつかのダンボール箱を受け取り、玄関に置く。
そういや、俺の部屋はどれだろう。2LDKだから俺の部屋はあるはず。
早速狐さんに聞いてみる。
「狐さん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど。」
「なんじゃ?何でも聞くが良い!」
「俺の部屋ってどれなの?この荷物を運んじゃいたいんだけど。」
そう質問した瞬間、狐さんの視線があからさまに泳ぎ出す。こころなしか耳と尻尾もこちらを向かないようにしている気がする。
「部屋、部屋のぅ。あー、えーと。そのじゃな。」
「……もしかして、無いとか?」
「いや!そういう訳では無いのじゃ。そのぅ……一応、玄関から見てリビングを挟んで左側の部屋なのじゃがな?」
何をそんなに狼狽えてるんだろう。リビングを通って、とりあえずその部屋を開けてみる。
するとそこには───ゲームやら服やらが所狭しと転がっていた。
ゲームは何にしまうでもなく出しっぱなしだし、服は畳んでなんてなくてぐちゃぐちゃのまま放置してある。これは酷い。
「……狐さん?」
狐さんは観念した様子で話し出す。今までは例の昔助けた人の子孫がこういったものの片付けもしてくれていたが、もう縁を切られてしまったため、どうしようか困り、とりあえず押し込んだ。そのまま俺が来て言うのを忘れていた、と。
なるほどねぇ。それにしても酷い。1ミリも片付けられてないぞこれ。
狐さんの家事能力は皆無ということが嫌でもわかった。
というか、よく考えたら狐さんってニートじゃないか?家事が何も出来ない、人にやってもらうなんてニートとしかいいようが無い。
今まではまぁ、恩があったということでまだ分かる。だけど俺はそうじゃない。ただの同居人、いや、養い主だ。
だから、ニートのままでは俺が困る。身の回りの世話をしなきゃなんて面倒くさすぎる。
俺は決めた。狐さんをニートから、家事手伝いに成長させると。
「狐さん、俺は狐さんをただ養うつもりは無いからね。この部屋も、ちゃんと狐さんに片付けてもらう!」
「そ、そんな殺生な!儂、掃除ができないと言ったじゃろう!」
「でもそうなると狐さんはただのニートだよ?むしろ長生きしてて化け狐なのにニートなんて、俺なら恥ずかしい。」
「ぐっ……分かったのじゃ。儂も家事を頑張る……じゃから、教えてくれるかの?」
こうして、狐さんニート脱却への道は始まった。
……狐さんに対する俺の印象が不思議な同居人からちょっと駄目な同居人に変わった時でもあった。
あれ、可愛いロリババアを書こうと思ったら、ニートになったぞ……?おかしい。