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第四話 あなたのいる世界でハプニングを。


ねえ、優雅。

あなたは私をどう思っていますか?


 ̄ ̄ ̄ーーー_____

 ̄ ̄ ̄ーーー_____


次の日。優雅はいつものように真希の家で朝食を食べてリビングのソファーでテレビを見ていた。だがもうそろそろ家を出なくてはいけない時間なのだが、真希がまったく起きてこない。今日は真希の母親も朝から優雅の母親の会社で事務のパートに出掛けてしまったため、朝の攻防は無かった。


「あいつ学校行かないつもりか?」


そんな風に優雅はぼやきながら頭をかく。自分の幼馴染みはどちらかと言うと俺を引っ張っていくタイプだと記憶している、はずだ。それに、いくら幼馴染みといっても自分達は男と女だ。あいつの部屋に入るのはいつぶりだろう。何か変に緊張する。

優雅はリビングを出ると階段を駆け上がり、真希の部屋のドアを勢い良く開けた。


「おい、真希!いつまで寝てんだよ!!」


優雅の勢いに任せた怒鳴るよな声は大きくうるさいはずだったのだが、起きる気配さえ無い真希に呆れる。まだベッドの中で寝ている真希が寝返りをすればかけていた布団がベッドから上半分が落ちた。そして真希を見ればパジャマの胸元がはだけていて、首筋、鎖骨、そしてたぶんブラジャーのレースが見える。何個ボタンを開けて寝ているんだこいつは...と言っても真希の開けているボタンは上から2つだ。変に生地が引っ張られているのが悪い。

ああ、もっと見たい...って、駄目だろ俺!!


「...落ち着け俺、これは俺のせいじゃねぇ」


落ち着けと自分に言い聞かせ、優雅は邪な考えを忘れるように無意識に見ていた真希の胸から目を反らした。そして1度深呼吸をして再びこの目の前の眠り姫を起こそうと試みる。


「起きろ真希!遅刻するって言ってんだろ!!」


声だけでは起きない真希から目を反らしながら、優雅はベッドの上の真希の傍に行って今度は体を揺らす。さわった腕も肩も細い...それに何だかいい匂いがする。

優雅はまた考えてしまった邪な妄想を忘れるように頭を振る。このままでは自分がもたない。そう思っていると真希の手が動き、自分の目を眠たそうにこすっている...普通にかわいい。


「ん...ゆ、うが...?」


その妙に甘ったるい声は何なんだよ。お前は俺をどうしたいんだよと優雅は心の中で真希につっこむ。そんな目で俺を見るんじゃねえと、真希に言ってやりたい。だが、もう少しこのままでと思ってしまう悪い自分がいる。

優雅は邪な自分を真希に隠しながら、学校に遅刻することを思い出した。


「はやくしろ!遅刻するぞ」


優雅がそう言えば、真希は目が覚めたようで勢いよく起き上がる。優雅の顔と自分の顔がとても近付いているが、真希はまったく気にしていない。それを気にしているのは優雅だけだ。少しだけ顔が赤くなっているだろうか。

すると真希はベッドの上に座りながら、いきなり着ていたパジャマのボタンに手を掛けて脱ぎ始めた。先程よりも大胆に真希の着けている白のレースのかわいいブラが見える。


「は!?おい、ちょっと待て...バカ 真希!」


突然の真希の行動に慌てる優雅だが、もう目を反らすこともできずに視線だけはバッチリ真希の行動と白い肌、ブラからのぞく胸をガン見していた。

言葉ではやめろと訴えているが、心はその逆のことを思っていて行動に出ている優雅は本当に高校生らしいかもしれない。


「なに?」


優雅の視線も言葉に意味も理解していない感じの真希は、パジャマの前のボタンをさらに開けていく。もうブラだけではなくお腹まで優雅には見えそうだ。

そして、真希は思い出したようにベッドの上に立ち上がって昨日椅子の上に置いておいた制服のブラウスとスカートに手を伸ばす。


「何って、お前...」


そう言いながら優雅は1度真希から目を反らすが、やっぱりその視線は正直に真希を見てしまう。これはもう、いろいろな意味で仕方ないことだと思う。

少し考えて、ようやくその優雅の視線と言葉と行動に気付いた真希は慌ててパジャマを握り締めて自分を隠せる物を探してベッドに座り込んで布団を手繰り寄せた。こんな恥ずかしすぎる自分は隠れたい。


「っ...バカ!早く出てってよ!!て言うか、見ないでよこの変態!」


“見るな!”なんて理不尽だと思う優雅だが、真希はそこにあった枕やクッション、ぬいぐるみなどを優雅に向かって投げ付けると見事に真希に見惚れていた優雅は顔面に枕をくらい避けるタイミングを完全に逃している。

すると真希の周りに投げられる物が無くなり、今度は何を優雅に投げようかと探しているくらいだ。これは逃げるチャンスだと思った優雅は慌てて部屋を出て行く。


「うわっ...わ、分かったから!」


真希の部屋を出て真希の部屋のドアを閉めた優雅。その瞬間、背中にあるドアに鈍い衝撃音が響いた...いったい真希は何を投げたのか、もしドアを閉めるのがもう少し遅かったらこれに当たったのは間違いなく自分だ。

優雅はほっとしてその場に座り込んだ。


「真希の奴、寝ぼけてたのか?それとも俺なんて眼中にないのか?」


だが今のは間違いなく悪いのは真希だろ!?起きてこないし、無防備にしてる真希が悪いんだろ。あんな...胸とか鎖骨とか、あんな声で俺を呼ぶとか。くそっ、頭から離れねぇ!!もっと見たかったな...って俺は変態か!

興奮のあまり妙な突っ込みを自分に入れる優雅。先ほどまで見ていた真希の姿も声もハッキリと記憶に残している。


「子供の頃とはやっぱ違うよな...」


いろいろと邪なことを考えているらしい優雅は、いつの間にか寄り掛かっていたドアが開いてそのまま床に倒れて頭をぶつけた。開けたのは真希だ。制服に着替え終わったため出てきたのだが優雅が倒れてくるとは思っていなかった...というか、ちょうど優雅の顔が真希の真下にある。


「っ...白のパンツ...いや、これも事故だって」


見えたものを素直に口にした優雅に、真希はいろいろな意味で顔を赤くして彼の顔を踏みつけた。恥ずかしいっ!と思いながら口には出さずに無言で容赦なく真希は続けた。


「いっ...真希、マジで、ふぐっ...踏むなって!」


「知らない!優雅が変なこと言うからでしょ!!」


逃げることも可能だろうに優雅は大人しく真希に踏みつけられている。これはもう優雅にそんな気があるのかと疑わしくなる。優雅がやっと床から起き上がっても真希の気がすまず...少しの間“この変態”を蹴り続けた。


「痛てえって、悪かったて真希!」


「こんな変態に他の子が被害に合わないようにしなきゃでしょ!?」


この痴話喧嘩は30分ほど続いた...学校はもう遅刻が決定したので真希は優雅をリビングの床に正座させ、ゆっくりと朝食を食べてから2人でいつものように登校した。


「ねえ、そこの変態。私のスクバ持って」


「おい、ここ家の中じゃないんだからな!その変態って言うのやめてくんない?マジで俺にも人権が...いや、何でもないです。真希さん」


真希が優雅を睨めば優雅は何も言わなくなった。

優雅は“このこと”でシンヤにからかわれるのは分かったため、絶対に言わないようにしようと密かに固く心に誓っていた。


「優雅も女の子に興味持つようになったんだね」


ああ、これから私がいなくても優雅は泣かないでいてくれますか?私のことを()()()()()と一緒に忘れて...私が作り変えた“この世界”で生きてください。

真希はそう思いながら優雅をほんの少しの間だけ見詰めていた。

優雅のキャラ崩壊がすごいことになりました。

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