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間話 あなたのいる世界で、私は“おばけ”。

ダーク・ファンタジーのような(?)要素が含まれています。


これも、優雅の傍にいるために必要だからできること。

あなたに最低だと嫌われても、私はあなたの傍にいるために何度も同じことをする。


 ̄ ̄ ̄ーーー_____

 ̄ ̄ ̄ーーー_____


真夜中。時計の針が3つとも真上を向くまで、あと数十秒。

ベッドの中で寝ていた少女の体は青白く、白く透けている。それは肌の色的にも物理的にもそうだと言える。そして時計の針が秒針も含めてすべてが真上を指した。


ーーー私の時間。あとどれくらい、残されてるの?


少女の瞳が突然に見開き、その青白く白く透けた体は重力も物質も無いものとして宙に浮く。少女の声は口から発せられたものではない。不思議な音をしている。

かけて寝ていたはずの布団はその下にあったはずの体が無いにも関わらず形も変えずにそこに在る。


ーーー今度は何人の命を奪えば、あなたの傍にいられるの?


鍵のかかる閉められた窓、カーテンまでもが外の光を遮っている。それでもすべてを無視する少女の体は浮いたままその閉じられた窓から外へ出た。

通り抜けたその先に、道路を照らす街灯や高層ビルのネオンが光り輝いている。上空には大型の旅客機がライトをつけて飛行している。


ーーー私の霊力(ちから)で1つの結末を変えた先にある、この世界


すでに太陽が沈み、ネオンの光で影となる暗闇が存在を主張する。そんな深夜(ところ)のはずなのに、少女の通った後が一際大きな闇に包まれる。

街灯の明かりがチカチカと音をたてて消え失せていく。光の無い廃ビルの多い路地裏に、何故か集まる様々なたくさんの人間達。まるで街灯に集まる蛾や虫のようにさえ見える。


ーーー死を願う、死に引き寄せられる哀れな魂達。


光の存在が許されない暗闇の中、声なく笑う少女の姿。彼女の纏う闇が(つるぎ)となり星の消えた空に高くあげられ、そこに集まる人間の数だけ分身して増えていく。


ーーー私の願いを叶えるための(モノ)となれ。


そう、出来事は一瞬にして起こる。空高くに在った(つるぎ)が一斉に、刹那に的を外すことなく振り下ろされた。人間の心臓を適格につらぬいている。だが紅い液体は舞い踊ったりはしない。それの存在は無い。

その少女の姿はまるで悪魔のように、妖魔のように、魔物のように、悪役のように、もしかしたら()()のように見えるかもしれない。人間を襲う。黒い闇が襲う。悲鳴を上げることも、助けを求めることもしない人間達は、ただ静かに死を迎える。


ーーーあなたのいるこの世界で、私は・・・・・


少女は笑う。無表情で涙を流すこともない、ただ悲痛を映した瞳をして__________

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