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死後型NVR-MMO-RPG『Spiritual World』  作者: 9アルさん
7/13

チェックイン 1

“ヘキナ様チェックイン受け付けました”


 ステータスに表示される名前は今まで通りヘキナにした。プレイヤーとしての名前、いうならアバターネームも本名と同じようにいくらでも変えられるらしかった。


 半重力みたいな空間。機械声のアナウンスに案内されるままゲーム参加の受付を済ませた。ほとんど自動で入力は終わり、主な内容はチュートリアル。キメラたちに教えられたものばかりなので手早く済ませる。


“それでは死後型NVR(ノンバーチャル)-MMO-RPG『Spiritual(スピリチュアル) World(ワールド)』の世界をお楽しみください”


 視界が歪み、意識を失う。




「はい、いらっしゃい。じゃあそこから降りてらっしゃい。あれまもうお嬢ちゃんがついてるの?珍しいわね」


 降りて来いと言われて今ヘキナ達は泉の中にある建物の台の上に乗っていることを知る。言われるままに近くにあった階段で降りてくる。


(アタシ)はこの村で新人プレイヤーの迎えを担当しているムハンというよ。さてアンタ達の種族は...人間と...まぁ!最上位種の神様なのかい。初めてみたよ」


 ムハンと名乗った中年の人柄のいい女性だった。チュートリアルで基本スキル“解析(スキャン)”で種族を調べられることを習った。だから種族が分かるのだろう。試しにこっちもスキルを使ってみたがムハンの種族は分からなかった。


「ははまだ“解析(スキャン)”を使うのはまだ早いさね。熟練度はまだ1だろう?」


 スキルの熟練度というのを確認してみるとほぼ全てのスキル名の横に小さな白い星がひとつだけついていた。説明によると熟練度が高くなると星の大きさと色が変わるらしい。星が今2個以上ついているのは種族適正と個人の才能なんだとか。


「“解析(スキャン)”のランク1ならこの辺にいる低レベルモンスターなら使えるよ。私のをみたいならもう少し上げてくれないと」


 ムハンは笑いながら話してくる。その陽気な性格はハヅキもある程度は打ち解けているようだ。プレイヤーになったばかりで不安がいっぱいな人にはこんな人材が適材なのだろう。


「失礼したね。私は職業(ジョブ)は召喚師の精霊さね」


「精霊...」


 精霊と聞いてムハンを見てみる。肌が白く、衣装もきれいな...訳ではない姿を見て、精霊はルックスがいいというヘキナの従来の定義が覆される一言だった。


「そんなにショックだったかね?まぁ人間界のイメージはそうだからねぇ。ここ霊界はもともと精霊と呼ばれる種族が住んでいてね。ほら人間も人間界にいると歳を取るだろう?それと同じ理屈さね」


 そのかわり霊界生まれでないプレイヤーたちは普通歳を取らないらしい。さらに霊界には普通若い人しか転生しないからプレイヤーは精霊以外みんな若い姿をしているそうだ。


「さぁアンタ達も冒険に出るんだろう?だったら最初の武器を手に入れなくちゃね」


 ムハンは先導してヘキナ達を鍛冶屋に連れてきた。村の家々はよく見るような木造だった。


「バリオスさぁん、一式おくれ」


「いつもの場所にある。勝手に持ってけ」


「ありがとよ」


 ムハンが家に呼びかけると返事が返ってきた。ムハンが隣にある工房に向かったのでヘキナ達もそれに続く。


「あの人は鍛冶屋のバリオスさんと言って、この村の頑固親父さね。若いころブイブイ言わせていた冒険者だったんだけど今はサブジョブだった鍛じ...」


「おい、何を昔の話をしておる」


 工房に入った瞬間小声で話しかけてきたムハンは、その話の内容の人に遮られる。声を聴いた瞬間ムハンは高速で取り繕った。


「バリオスさん珍しいね?新人プレイヤーの前に顔を出すなんて」


「いつもと違うプレイヤーだと感じてな。どうやら勘はあたりのようだが」


 バリオスはハヅキをキッと一瞥する。鋭い目に驚きハヅキはヘキナの後ろに隠れた。


「小僧」


「はいっっ!」


 ヘキナはもともと対人が得意ではない。閻魔大王とかは絡みやすい性格をしていたが、バリオスみたいな人は苦手だ。突然呼ばれてビクっとした。


「代金は30000G(ギフ)G(ギフ)銀貨なら3枚、G銅貨なら300枚だ。いつかギルドとかに振り込んでおけ。立て替えてもらっている」


「あっっ」


 お金取るんだっと思いつつ、内容は一喝とかでなくて安心した。早速裏で支払いが決まった装備に着替え戦える準備を整える。亡者ということで白い布に紐を巻いただけのような姿をしていたが脱いでみると生前着ていたジャージを身に着けていた。装備を身に着け、ジャージと亡者のをアイテムボックスにしまった。


「いいさね」


 着替えた後の姿を見てムハンは感想を言った。


「言い忘れていたけど、アイテムボックスに入れた装備は選択で瞬間着替えできるよ」


 アイテムの収納の仕方は二つ。一つはポケットを使いアイテムボックスを利用する。ポケットにしまうと自動でアイテムボックスに収納される。逆に取り出したいときは取り出したいものを考えて出せば取り出すことが出来る。しかしその場合大きなものは仕舞えないのでその場合はカード化を利用する。収納のもう一つの方法はそのカード化だった。

 ムハンが言っているのはアイテムボックスに入れた方の話だ。メニューのアイテム一覧で所持品を確認できる。そこから装備できるというものだった。

 試しにジャージでやってみる。“冒険者の服”がアイテムボックスに入り、装備品が“普通のジャージ”と表示されていた。


「問題ないみたいだね」


 “鉄の剣”と表示されている剣を貰い、帯刀する。装備としては“冒険者の服”と“鉄の剣”だけだった。それにG30000という相場はとても高く感じた。インフレなのだろうかとヘキナは思った。


「はいこれお弁当。道中食べてね」


 旅のお供を貰い、ムハンにお礼を言いアイテムボックスにしまった。死後でも食は必要なんだと若干思いながら工房を出る。ムハンは新人プレイヤーの召喚が仕事で、世話もある程度するらしい。村はラムスという名前なのだそうだが、村人自体は普通に生活しているようだ。すれ違った人は会釈してくる。


「希望がないならカラカサに行くといいよ。あそこにはギルドもあるから便利だよ」


 始まりの村というのはいくつもあるようで、このラムスの村にはカラカサという都市が一番近いそうだ。道のりもそんなにレベルの高いモンスターもいないらしく。最初の冒険としてはもってこいなんだとか。始まりの村の引きが弱いと過酷な冒険になることもあるらしい。



「こっちの道をずーっと行くとカラカサだよ。“地図登録(マッピング)”で通った道の地図が生成されるからなんかあったら戻っておいで」


 “地図登録(マッピング)”...あの男が使っていたスキルだ。そういえば変装をしなければならないことを思い出す。村を出たら対策しようとヘキナは思った。


「じゃあ、また会おうね。ほらお嬢ちゃんも」


 そういいながらハヅキの頭をなでる。ハヅキは気持ちよさそうな顔をしながら、ありがとうって伝えてという念話を飛ばしてきた。


「ありがとうだそうです」


「はは、どういたしまして」


 手を振るムハンに見送られながらヘキナとハヅキはラムスの村を後にした。途中工房の中で手を振るバリオスが見えた気がしたがすぐに扉を閉められてしまった。

9アルさんメモ7【精霊】

 

 ゲームになる前からいる霊界の元々の住民という設定です。霊界にいるときは寿命があります。色んな精霊さんがいますがゲームでいうとNPC(ノンプレイヤーキャラクター)な感じが多いです。



9アルさんメモ8【四界】


 前話でキメラがよくわからん説明していたヤツ。四界は私の造語です。あそこ辺りの説明は作中丁寧に触れていくつもりなので仏教はよくわからんなイメージでなんとか...



9アルさんメモ9【欲求】


 睡眠、食、性?でしたっけ三大欲求。欲は時により苦痛、快楽のどちらにもなるので霊界にも存在するということにしています。(実際、地獄も天国もご飯食べるらしい)。ついでに私は今ものすごく眠たいです。



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