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死後型NVR-MMO-RPG『Spiritual World』  作者: 9アルさん
11/13

エルフだと色々辛い 1

 カラカサと聞いてので和風な感じなのかと思ったが壁自体は大理石のようなもので出来ている。モンスターの襲撃に備える為だろう。


 周りは荷馬車の他にも冒険者らしき人も見える。何かの依頼の帰りなのだろう。何かが入った袋を携えていた。


 近づくと入り口は荷馬車用と人用で二つに分かれているようだった。何人かで入りしている小さな方の入り口へと向かう。入っていく人達が何かを提示しているのが見えた。


「これは話しかけなきゃいけないよな...」


 気合を入れて(きた)る対話の瞬間に備える。目の前には強面の警備兵がいた。


「あの...初めてここに来たのですけど...」


「ああ、新規か。冒険者カードは持っているか?」


「いや、この世界に来たばかりなので」


「じゃあ、そこで通行許可証を発行してくれお嬢さんたち」


「おじょっ...」


「どうかしたか?」


 お嬢さんと言われて自分が今エルフ姿なのを思い出す。たまたま敬語だったので良かったが、口調に注意が必要だ。


「何でもありません!!!」


 そういって逃げるように関所の隣の受付へと急ぐ。強面の警備兵は赤面しながら女の子を引っ張っていくエルフが目に映っていた。


『マスター?顔赤いよ?』


 ハヅキがニヤニヤしながら言う。


「こんな低レベルプレイヤーが“神憑”というのは目立つんだろうな...」


 先が重いやられる。大王から引き受けた以上全うするつもりだが、予想以上に疲れることになりそうだ。



 通行許可証を発行の際ハヅキのことを聞かれるかと思ったが特に聞かれず。“神憑”と言ったらすぐに発行された。何も疑われる素振りのないザル審査である。


「あんな適当で大丈夫なのかよ」


『まぁ、悪いことをしようとする人は大抵弱補正だからね』


「ん?それってどういうこと...」


『あー!マスターあれ何???』


 扉に入ってすぐ横、市場に向かってハヅキは走っていった。こんな場所で一人で行かれたら迷子になる。ヘキナは慌てて追いかける。とある屋台の前でハヅキの手をつかんだ。


『ぎゃぁぁ、マスター離して』


「おら、一人で行くと迷子になるだろ」


 屋台のおじさんが唖然しながらこっちを見ている。ちょっと下を向くと膨らんでいる自分の胸が見えた。


「ほら、一人で行くと迷子になるでしょ」


 慌てて言い直す。ハヅキがこっちを見ながら思いっきし笑いを堪えている。念話を使って笑うなと言った。


「ううぅ、慣れない...」


 当たり前だが声まで女性に変わっている。本当に言葉遣いに気を付けないといけないと実感した瞬間だった。



「ほら、そこの男勝りなお嬢ちゃん」


「おr...私?」


 さっきの口調を聞かれた屋台のおじさんに呼ばれる。品揃えから果物屋らしい。ムハンから霊界の住人は歳を取ると聞いた。たぶんこのおじさんも精霊だろう。“解析(スキャン)”が自動で機能しなかった。手動でしようかと思ったが会話の途中なのでやめる。


「安くするから見てきなよ。ほら〖知恵の樹の実〗とかどうよ」


 知恵の樹の実。アダムとイヴがその昔に食べたとされる禁断の果実。つまりリンゴである。しかし、RPGの世界。どのような効果はあるのかはわからない。というよりその果実は金色をしていて、追加効果が良さそうに見える。


「ちなみにいくら?」


「ご存じの通り、少し珍しい木の実だから200,000Gだけど、かわいいお嬢ちゃん達なら190,000Gでいいよ」


 桁が違う...現在ヘキナは所持金3,769Gである。モンスターを倒すしかやっていないとこれが関の山だった。


「あのお金ないんで...」


「そりゃ残念。見たところエルフと人間の様だが、冒険者じゃないのか?」


 ハヅキのダミーステータスを見たのだろう。ハヅキは見た目は人間なのでダミーを見せることで人間だと思いこませる。変装はうまくいっているようだ。


「こっちに来たばっかりですので」


「出身、村は?」


「ラムスです」


 そういうとおじさんは難しい顔をした。マズいことを言ったのだろうか?緊張が走る。


「ミシュラじゃないのか...まぁ事情とかあるんだろうよ。気にすんな、がはは」


「ははは」


 おじさんに合わせるように苦笑する。六道の出身によって始まりの村は違うのだろうか。下手なボロを出す前に一旦人間に戻るべきだろう。


『マスター、これ買おうよ』


 そう念話を飛ばしながらハヅキは水色をした果実を持つ。


「そっちのお嬢ちゃんはそれがいいのか。〖キュールの実〗と言ってSPとMPが回復できる。お値段は...そうだな張り切って500Gにしてやる!!」


「じゃあ三つください」


「まいど!」


 人間に戻るにはSPが足りない。“転生(トランス)”の一度にSP20は毎回痛手だ。しょっちゅう変えることができない。なのでちょうどよかった。


 1,500Gをイメージしながらポケットに手を入れる。取り出すとG銅貨が15枚入った袋が出てきた。木の実と交換で渡す。


「冒険者ギルドにはもう行ったか?」


「いえ、まだ」


 木の実を基本スキル“カード化”でカード状態にする。そしてアイテムボックスへとしまった。


「なら、そこの入り口から伸びている大通りを進んでい行けば突き当りにあるぞ。赤い建物だ」


「ありがとうございます」


 実はギルドの場所は最初カラカサに入る前、通行許可証を発行する際に教えてもらった。ギルドで職業カードを発行すれば都市、国家の出入りがそれで賄えるらしい。

 親切に教えてもらったのでそのことは黙っておく。


 手を振りながらこっちをみているおじさんを後にし、大通りへと出た。

9アルさんメモ19【知恵の樹の実】


 別名禁断の果実。アダムとイヴが食べたそうです。リンゴとかイチジクとか言われています。



9アルさんメモ20【カラカサ】


 なぜ和風名なのかはいつかでてくるかと...



9アルさんメモ21【四聖道(ししょうどう)


 六道の苦しみから逃れるため、悟りを開くとここに行けます。天国より辛くない場所です。四聖道はキメラが話していました。(一応...)

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