表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/188

47 夜襲

 焼き肉パーティーから数日後の、ある夜。

 私はこの日、サクラノ王国のお偉方と会談をしていた。

 まったく、ダンジョンから帰ってすぐだから勘弁してほしかった。

 しかも改まった場所だからってことで、無理やりドレスを着せられるし。

 ……可愛いドレスだったから、別に良いけどさ。


 会談中は私は喋らず、アナスタシアが全て取りまとめてくれたから良いけどさ。

 会談の内容は、貿易や人と魔の友好関係について。

 セラメリアのことについては話さなかった。

 まだどうなるか分からないし、余計な混乱を招くからだ。

 いくら私だって、その辺りのことは弁えているつもりだ。

 今はまだ、セラメリアのことを公にする時ではない。

 エレヌスさんは危惧してるけど、実際のところ復活するのかどうかも怪しいからね。


 で、会談も終わって、今は自国へ帰る途中だ。

 アナスタシアは今日中に纏めなければならない資料があるとかで、早馬を使って帰ってしまった。

 私は来た時と同じく、馬車で帰ることにした。

 馬車の周りには騎士団、私の護衛だ。

 護衛を付けるのはどうかと思ったが、夜道と言うものはなかなかに心細くなるものだから、実は安心してたりする。

 それに護衛を断ったら、アナスタシアに怒られそうだしね。



 しばらく揺られていると、馬車が停車してしまった。

 ……嫌な予感がする。

 そう言えば、いつか狼に襲われた時も、こんなシチュエーションだった。

 あの時は護衛は居なかったけどね。



「おいお前、今すぐ道をあけろ」



 護衛の一人が、誰かに対して話しかけている。

 誰が居るのか、想像できるけどね。

 間違いであってほしいと願いたい。


 私の願いは届かなかった。

 護衛は悲鳴を上げ、一人、また一人と倒れていく音が聞こえる。

 ……全滅か。

 何者かの足音が、馬車のすぐ近くで止まった。

 正直なところ怖いけど、やらなきゃこちらがやられる。

 だったらやるしかない。

 私は馬車の扉を蹴破り、目の前に居たそいつの顔を踏み台にしてジャンプした。

 空中で体を翻して着地。

 前々から思ってたけど、私は前世と違って身体能力は高いようだ。

 嬉しいことだが、今はそのことを考えてる場合ではない。



「クソが! いきなり顔を踏みつけやがって!」



 顔面を押さえながら悪態をついているのは、やはりサーペントだった。

 私は瞬時に、辺りの状況を確認する。

 護衛は全員倒れているが、まだ息はあるようだ。

 また毒か。

 しかも、今回は麻痺毒ときたか。

 何とも厄介だ。



「……まあ良い。お前を迎えに来たぜ、魔王さんよ」

「白馬に乗ったナイトならまだしも、あんたのようなドブネズミ、お呼びじゃないのよ」

「言ってくれるじゃねえか。殺すなと言われてるが、気が変わっちまいそうだ」



 さて、今のうちにこいつのステータスを確認しておこう。

 今の私なら、鑑定の妨害は突破できるからね。



〔LV:?????〕

〔名前:?????〕

〔種族:?????〕

〔HP:?????〕

〔MP:?????〕

〔SP:?????〕

〔攻撃力:?????〕

〔守備力:?????〕

〔魔力:?????〕

〔魔法耐性:?????〕

〔素早さ:?????〕



 うぅ、ゲシュタルト崩壊を起こしそう。

 それより、突破したはずなのにステータスが全てクエスチョンマークだ。

 こんなことは初めてだし、いったいどうなってる?



「おいおい、もうそこまで覚えちまったのか?」

「あんたを倒すためにね」

「そうかい。だが、残念だったな。システム内の力じゃ、オレを見破る事はできねえんだよ。と言っても、今のお前には分からない事だろうけどな」



 ああ、そうさ。

 システムのことなんか知らないさ。

 でも、私はこの日のために強くなったつもりだ。

 サーペントの強さが分からなくても、抵抗できるだけの力はついたはず。



「だったら、試してみるかい?」



 サーペントは低く構えた。

 それに対して、私も構えをとる。

 この数日間で開発した、私の戦闘スタイルだ。

 私専用の武器は、まだ完成していない。

 だから素手での戦闘スタイルを考え出したのだ。

 そして、新たに覚えた魔法もある。

 サーペントに届くか分からないけど、どの道、私もサーペントも戦闘が終わるまで逃げられないんだ。

 だったら、腹を括るしかない。

 修行の成果、見せてあげるよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ