表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/188

39 魔王様の武器

 戦いを終わらせた私は、カークの頭をわしゃわしゃと撫でながら、色々と質問をしてる。



「聞くのは構わんが、撫でるのはやめてくれぬか?」

「そんなこと言って、満更でもないと思ってるくせに」



 所詮は犬だからね。



「そ、そんな訳無かろう」

「じゃあやめるよ?」

「む……」



 こいつツンデレだわ。

 さて、私はあの時、こいつを倒したはずだ。

 なのになんで復活してんの?



「それは、我の持つスキル、不屈の魂によるものだ。決して死ぬことのないスキル。試練の魔物は滅んではならんのだ。それ故、我とグラントは永劫の時を生きてきた」

「なるほどね。で、私に負けたあと、エレヌスさんに拾われたと?」

「そうだ。セラメリアの脅威が迫っていると聞いてな。少しでも戦力が欲しいと言っていた」



 エレヌスさんはエレヌスさんで、着々と準備を進めてたんだね。

 でも、どうして人間に?



「魂だけとなった我は、エレヌス殿に人間の体に宿るよう言われた。元の肉体の再構築には、時間が掛かるからな。……もう少し右を頼む」

「はいよ。それで、ようやく肉体の再構築が終わったから、私と戦おうとしたってこと?」

「そうだ」



 なるほど。

 さて、もう少し撫でていたいけど、先に進まないと。



「行くのか?」

「うん。頑張って攻略しないと、強制的にダンジョン送りだからね。いつ、どのタイミングでダンジョン送りか分からないから、早めにクリアしたいんだよ」

「そうか。では、幸運を祈る」



 カークは老人の姿に戻り、迷宮から出て行った。

 ……案外、良い奴なのかもね。

 私は扉を開けて、迷宮の奥へ進んだ。


 迷宮の壁の色が変わった。

 徘徊してるモンスターも、今までとは違うみたいだ。

 ここからさらに難しいってことかな?



 私は一度引き返すことにした。

 だって敵が強すぎるんだもん。

 それに、そろそろ武器が欲しい。

 武器なしの状態だと、かなり厳しい状況だ。

 相手が武器を持ってると、こっちは避けるしかないからね。


 と言うわけで私は今、ドワーフのコルタの工房にお邪魔してる。

 相変わらずの散らかりようだね。

 そして相変わらず、コルタは紫色の液体をお茶だと言い張るのか。

 お茶に関してはスルーして、本題に入らないと。



「わざわざ来てもらって申し訳ないけど、厄介な事が起こって完成してないんだ」

「何かあったの?」

「実は、ある素材が足りないんだ。それが無いと、魔王ちゃんの武器を完成させる事が出来ないんだ」



 足りない素材か。

 ああ、嫌な予感と言うか、これは最早お約束だよね。



「魔王ちゃん、その素材を調達してくれないか?」



 ほらね、やっぱりね、そんな事だろうと思ったよ。

 で、コルタは工房を離れられないって言うんでしょ?



「魔鋼炉の火を絶やす訳にはいかないから、あたしはここを離れられないんだよ」



 分かってる分かってるって。



「分かったよ。それで、何の素材が足りないの?」

「さすが魔王ちゃん、話が早くて助かるよ。必要な素材は鎧牛の皮だ」



 鎧牛?

 聞いたこと無いな。



「そこそこ凶暴だから、市場にもあまり出回らない素材でね。でも、魔王ちゃんなら何とかなるでしょ」

「討伐隊とかに頼めば良いのに」

「場所が悪いんだ。そいつが生息してんのが、エルステルン山脈なんだよ。神聖な山だから、討伐隊でも簡単には入山出来ないのさ」



 ……面倒臭い。

 でも、その素材が無いと完成しないと言うなら仕方がないよね。

 ちなみに、どんな武器ができる予定なの?



「それは完成してからのお楽しみだ」



 あ、そう。

 まあいいや。

 面倒だけど仕方がない。

 まずはアナスタシアに事情を説明して、エルステルン山脈へ行く準備をしないとね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ