35 VS宝箱
私は今、自分の軽率な行いに後悔している。
なんで殴っちゃったかなぁ。
この手のモンスターは強いと、相場が決まっているではないか。
〔LV:150〕
〔名前:強欲な宝箱〕
〔種族:強欲な宝箱〕
〔HP:33400/38000〕
〔MP:25000〕
〔SP:30000〕
〔攻撃力:19800〕
〔守備力:15000〕
〔魔力:20000〕
〔魔法耐性:18000〕
〔素早さ:4500〕
〔鑑定歪曲妨害〕〔擬態〕〔痛撃〕〔不意打ち〕〔捕食〕〔呪死魔法5〕〔魔素探知〕〔魔力操作〕〔中ボス〕
鑑定歪曲妨害を突破してみたらこれだよ。
さすがに強すぎやしないか?
見た目は、宝箱から長い舌と細長い腕を出している。
頭と足はない。
なかなか気持ち悪い見た目だわ。
と言うかこれ、勝ち目ないよね。
逃げることもできないし、本当にどうしよう?
やるだけやってみようか。
どうやらこいつもクロスブラッドみたいだし、宝石を外せば倒せるでしょ。
問題は、その宝石が舌についてることだけどね。
あとは呪死魔法か。
どう考えても即死系の魔法だよね。
見たことも聞いたこともない魔法だから、魔力操作を始めたら要注意かな。
何にせよ、行動をしないことには始まらない。
どうせ死に戻れるんだし、気楽にやろう。
そもそもこいつ、箱を思いっきり閉じてやれば、大ダメージを与えられるんじゃないか?
舌も腕も出してる状態だし、牙もびっしり生えてるし。
ものは試しと、私は宝箱に向かって走り出した。
すると宝箱も、こちらに向かってきた。
細長い腕で、這うように。
なかなか気持ち悪い動きだけど、予想通りの動きだ。
むしろ足とか生えなくて良かった。
さて、互いにダッシュしている状態だが、このまま行ったら食われるね。
何をするか? そんなの決まっている。
私は目前まで迫った宝箱を、まるで跳び箱のように飛び越えた。
これしかないよね。
前世の学生時代、一番苦手だったのが跳び箱だったけど、今は何とかなったわ。
急ブレーキをかけて、辺りを見渡す宝箱。
その背後から、思いっきり宝箱の蓋を閉じてやった。
うわ、痛そう。
これだけで、宝箱のHPが半分近く消し飛んだ。
うむ、良い感じだ。
宝箱は咄嗟に振り返り、私に飛びかかってきた。
まったく。 そんな安直な行動は駄目だよ?
空中では、制御なんてできないんだから。
私は後ろへステップして回避し、宝箱の下顎? の部分を蹴り上げた。
「グゲェェ!」
と言う悲鳴と共に、宝箱は苦しみだした。
そして、しばらくのたうち回っていると、宝箱は大量の宝石を吐き出した。
まさか、これ全部、クロスブラッドの宝石なのか?
こいつのステータスを改めて見てみる。
すると、全てのステータスが一桁にまで落ちていた。
宝箱は、私には目もくれず、必死になって宝石を回収しようとしている。
私は宝石を回収される前に、宝箱の腕を踏みつけた。
「グゲッ!?」
あらら、随分と存在感が小さくなったものだ。
可哀想にも思えてきたけど、こいつには何度もモグモグされてきたからね。
悪いけど、情けをかけるつもりはないよ。
とは言え、倒すわけにもいかないからね。
私は宝箱の舌についていた宝石を抜き取った。