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34 技とは

 さて、今度は私から攻撃する番だ。

 もちろん、手加減はするさ。

 模擬刀とはいえ、死なれたら困るからね。



「今度は私から攻撃するから、上手く防いでみて」

「わ、分かりました」

「大丈夫だって。アナスタシアも見たことのある技だからさ」



 私は、アナスタシアの右側へ向かって走った。

 そう、アナスタシアのお兄さんが編み出した技だ。

 見様見真似だけどね。

 アナスタシアもそのことを察したらしく、自身の左側を警戒している。

 私はそのまま、アナスタシアの間合い一歩手前まで走った。

 そこから左側へ回り込む。

 ここまでは同じ。

 本来ならこの後、相手の左脇腹を攻撃をするところだが、それをしない。

 と言うか、それができない。

 確かにこの技は、相手に致命傷を与えることができる。

 レイピア限定で。


 実はこの技、レイピアを強くしならせて、相手の脇腹に深く刺すという、レイピア専用の荒技だったりする。

 当然、しならない武器では完成しない技だ。

 だから私は、私なりにこの技をアレンジしている。


 私は上体を低く落としつつ、アナスタシアの脇を通り抜けた。

 いわゆる、払い抜けと言う技だ。

 しならず、斬ることに特化した武器では、この方法しか思い浮かばなかった。

 それでも、油断しているアナスタシアの防御をかいくぐることはできた。



「どう?」

「流石です」

「そうじゃなくて、何が言いたいのか分かった?」

「……いいえ」



 やっぱり分からないか。

 アナスタシアはお兄さんの技を使ってると思い込んでる。

 でも、実際は違う。

 アナスタシオスの技は、レイピア専用技だ。

 しかし、アナスタシアが使っているのは、それよりも大型のエストック。

 レイピアのようにしならないし、何より大型だから小回りもきかない。

 アナスタシアはお兄さんの技を、自分流にアレンジしているのだ。

 アナスタシアにその自覚がなく、まだレイピアに合わせようとしている部分がある。

 でも、これがエストック専用の、自分だけの技になれば、お兄さんを超えることも不可能ではなくなるはず。


 技と言うものは、その武器の特性を活かして、初めて完成されるものだから。

 ……と、技巧の書に書いてあった。



「お兄さんの技を捨てる必要はない。そして、お兄さんの真似をする必要もない。私の言っている意味が分かれば、アナスタシアは今よりも強くなれるはずだよ」

「技を捨てず……真似もしない……」



 悩んでるね。

 でもこれは、自分で答えを出さなきゃならない。

 難しい問題かもしれないけど、アナスタシアなら理解できると信じてるよ。



〔条件を満たしました〕



 ん?



〔コミュ障のスキルはコミュニケーションスキルへランクダウンしました。コミュニケーション−9を獲得。適用します〕



 おお! 不便だったスキルがついに!

 でも、気を抜いたらまた、コミュ障のスキルへランクアップしちゃうんだろうな。

 それだけは避けたいけど……と、今は保留にしておこう。


 私はアナスタシアに激励の言葉を贈り、キルナス迷宮へ戻ることにした。



 キルナス迷宮に戻ると、目の前に宝箱があった。

 開けたい。 けど、さすがにもう死にたくない。

 ……鑑定してみるか。



〔宝箱:ランク10。トラップ無し。モンスター無し〕



 やっぱり、モンスター無しって表示される。

 さすがにね、私だって宝箱には鑑定をしてきたさ。

 で、モンスター無しだったから開けたのに、見事にモグモグされてしまったのだ。

 今回もそのパターンなんだろう。

 それじゃあ、ちょっとやり方を変えてみようか。



〔強欲な宝箱:生きている宝箱。不用意に開けた者を捕食する。また、鑑定結果を歪める能力を持つ〕



 やっぱり、そう言うことだったのか。

 うん、やっぱりこの方法を閃いて正解だったわ。

 よし、こいつには今までの恨みを晴らさせてもらおう。

 私は宝箱をぶん殴ってやった。


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