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32 アナスタシアの修行

 はい、三回目のモグモグです。

 さすがに食われすぎだと思うけど、宝箱は開けたくなるじゃない?

 そもそも宝箱に擬態するとか反則だと思う。


 さて、キルナス迷宮もそろそろ中盤。

 モンスターも少しずつ強くなってるから、気を引き締めないとね。


 なんて言った矢先にこれとか、正直勘弁してほしい。

 今、私の目の前には無数のモンスターが群れている。

 どうやら俗に言う、モンスターハウスに入ってしまったようだ。

 まあ、私が動かない限りモンスターも動けないわけだから、考える猶予はあるわけだ。

 しかし、これは困った。

 広範囲の魔法を使えないわけではないけど、発動までには時間が掛かる。

 そもそも、魔法の準備を始めた時点で行動とみなされて、準備中にフルボッコにされてしまうだろう。

 となれば、物理で攻めるしかないか。

 でも、セラメリアの魔力を集めなきゃならないから、無闇に倒すわけにもいかない。


 ああ、もう!

 考えるのはヤメだ!

 手近な奴から魔力を吸収、フルボッコにされたら諦める!

 これしかない!





 ああ、うん……何とかなっちゃったわ。

 いや、正直死ぬこと覚悟してたよ?

 でもさ、何とかなっちゃうくらい、私自身が強くなってたみたい。

 今までそれなりに魔力は吸収してきたけど、まさかこんなに強くなってるとはね。

 ……こんなに強くなってるのに、宝箱のモグモグには耐えられないのね。

 即死攻撃でも入ってたのかな?


 うーん、一度自分のステータスを確認した方が良いかな?

 でも、確認するのが怖いんだよね。

 ……よし、私のステータスは保留。 アナスタシアの様子を見ることにしよう。



 そこは魔王城の中庭だった。

 どうやら戦っているようだけど、アナスタシアの相手はアナスタシア本人だった。

 何を言ってるのか分からないだろうけど、私も何が起こってるのか分からない。

 しかも一人ではなく三人も居る。

 ……分裂?



《サキちゃん、聞こえるかの?》



 エレヌスさん、どうしたの?



《アナスタシアちゃんについて、少し説明しておこうと思っての。本人の希望で、アナスタシアちゃんの分身体を作った。自分の技を超えたいそうじゃ》



 何だか、どこかの戦闘民族みたいなことするのね。

 技を超えるって、お兄さんが関係してるのかな?



《アナスタシアちゃんの技は全て、アナスタシオスの技じゃ。だからなのかもしれぬのう》



 なるほどね。

 ありがとう、助かったよ。


 お兄さんの技を超えるってことは、自分を超えることになるのか。

 だから、こんな修行をしてるんだね。

 スキルを持たない、と言うかスキルを“持てない”アナスタシアは、技でお兄さんを上回るしかないってことか。



「……これでは駄目ですね。こんな事では、お兄様を超える事なんて」



 とか言いつつ、アナスタシアは分身体を全て倒してしまった。



「技を超える。それは、今まで積み重ねてきたものとの決別。お兄様との決別。しかし、私はそれが出来ずにいる」



 決別……それは少し違うと思うけど。

 レイロフ君もカグラも、格上の修行相手が居る。

 でも、アナスタシアは実質一人だ。

 教えてくれる人が居ないのは、私が思ってる以上に辛いことなのかもしれないね。


 それにしても技か……。

 ドワーフのコルタが私の武器を作るまで、技は覚えないようにしてたけど、そうも言っていられないかも。

 このモンスターハウスのように多数に囲まれてしまったら、私には対処する方法がない。

 それに技と言っても、いつか戦った亀のように、補助系の技だって存在する。

 サーペントの強さが分からない以上、少しでも可能性を高めるために、私も技の開発をした方が良いかもしれないね。

 それに中二病のスキルもあるから、オリジナルの技を編み出せば威力補正だって掛かるからね。

 それっぽい技を考えながら、ダンジョン攻略を進めていくことにしよう。

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