28 魔王様の趣味
意気込んだは良いものの、やっぱり面倒なことこの上ない。
今居るエリアの敵は殲滅したし、みんなの様子でも見てみようか。
と言うわけで鑑定。
〔キルナス迷宮、メニュー〕
〔レイロフの様子を見る〕
〔カグラの様子を見る〕
〔アナスタシアの様子を見る〕
〔迷宮から脱出する〕
どうして鑑定すると、こんなメニュー画面が出るんだろう?
おかしな機能だ。
さて、上から順に見ていこう。
最初はレイロフ君だね。
私がレイロフ君を選択すると、目の前に映像が映し出された。
そこは、騎士達の訓練所だった。
訓練所には、レイロフ君とベルンハルトお兄様の姿。
なるほど、レイロフ君はお兄様に修行をつけてもらってるのか。
でも、何だか妙な雰囲気。
「お願いします騎士団長、俺は強くなりたいんです!」
深く頭を下げるレイロフ君に対して、お兄様はひとつ、溜め息をついた。
「レイロフ、お前が求める強さとは、力とは何だ?」
「俺は騎士です。魔王様をお守りするのが俺達騎士の役目。ならば力とは、魔王様を守る為の力です」
レイロフ君は凄いね。
脳筋かと思ってたけど、ちゃんとした考えを持っている。
「ならば誠意を見せろ。俺から学びたいのなら、相応の誠意を見せろ」
レイロフ君は少し躊躇いながら、手を地に着け土下座をした。
何だろう、胸がもやもやする。
「騎士団長、お願いします。俺に、稽古を付けてください」
「俺は甘くないぞ?」
「承知の上です」
レイロフ君のその姿勢を見て、しばしの間。
お兄様はついに折れたのか、ゆっくりと口を開いた。
「分かった、稽古を付けてやる。ただし、逃げ出したら吊し上げだぞ?」
「あ、ありがとうございます!」
吊し上げ?
いや、何にせよ稽古を付けてくれるようで良かった。
喜ぶレイロフ君を後目に、お兄様は壁の装置を起動させた。
すると、レイロフ君とお兄様のステータスが壁に投影される。
いやはや、レイロフ君はなかなかのステータスだ。
〔LV:25〕
〔名前:レイロフ・カラクトス〕
〔種族:魔族〕
〔HP:2000〕
〔MP:900〕
〔SP:2200〕
〔攻撃力:1250〕
〔守備力:1000〕
〔魔力:750〕
〔魔法耐性:550〕
〔素早さ:1300〕
〔装備:魔鉄のロングソード、騎士の軽兜、騎士の軽鎧、騎士の軽手甲、騎士の軽足甲〕
スキルは表示されないみたい。
対するお兄様。
あなたは化け物ですか。
〔LV:50〕
〔名前:ベルンハルト〕
〔種族:魔族〕
〔HP:18000〕
〔MP:6000〕
〔SP:12000〕
〔攻撃力:4550〕
〔守備力:2000〕
〔魔力:2550〕
〔魔法耐性:2300〕
〔素早さ:2300〕
〔装備:魔光のパラッシュ、騎士の兜、騎士の鎧、騎士の手甲、騎士の足甲〕
何、このステータス。
キルナス迷宮のモンスターだって軽く倒せそうだ。
「さて、レイロフよ。鎧を脱げ」
「……え?」
え?
ちょっと待って、何この展開?
「良いから、早く脱げ」
「分かりました……」
レイロフ君は鎧を脱ぎ、逞しい肉体が露わになる。
しかしそれは、お兄様も同様だった。
二人の若い肉体、眼福眼福。
これから何が始まってしまうのだろうか、イケナイ妄想が止まらない。
転生してからは、あまりその様なことを考えないようにしてきた。
しかし、こんな光景を見せ付けられては、元腐女子の血が騒いでしまう。
気が付けば私は、目の前の映像に釘付けになっていた。