鑑定結果
〔鑑定結果:エルステルン山脈最奥部。世界最高峰の山脈内に存在する洞窟。その最奥部。この場所は神聖な場所であり、歴代魔王の禊ぎの地として知られている〕
歴代魔王の……え? と言うことは、ここってかなりヤバいのでは?
咄嗟に辺りを見渡す。
暗視スキルのお陰で、視界の確保はできている。
入り組んだ構造でもなさそうで、今居る空間の出入り口は、脇にあるひとつだけ。
自分以外の影は、今のところ確認出来ないが、早くこの場を離れたい。
しかし、ここから出た瞬間、何かに出会したら?
獰猛な動物もさることながら、魔王と言う単語から、モンスターが生息していたって、何ら不思議ではない。
魔王が赴くような場所に、人間が立ち入る可能性も低い。
今居るこの空間が、一番安全だと言えるのではないだろうか?
あれ? これ、詰んでね?
冷静になろう。
今はまだ、命の危機を感じない。
今の内に、自分にも鑑定を使ってみよう。
自分の強さの確認は基本であり、最も重要なことだから。
自分に向けて「鑑定」と念じる。
〔LV:1〕
〔名前:無し〕
〔種族:魔王〕
は? ち、ちょっと待て。
種族が魔王って……わ、私、魔王なのか?
衝撃の事実に、驚きを隠せない。
いや、誰だってそうなるだろう。
まだ鑑定結果が残っている。
それも確認してみよう。
〔装備:無し〕
装備無し? 私、服は着てるはず……。
そこまで思ったところで、顔が異様に熱くなる。
端から見れば、私の顔は真っ赤になっている事だろう。
どうして今まで気付かなかったのか。通りでスースーすると思った。
転生したばかりだからなのか、私は一糸纏わぬ姿だった。
ここから出て行こうと思わなくて、本当に良かった。
これで人里まで出ていたら、危うく変態扱いされるところだった。
しかし、こうなってくると何かを着ないと落ち着かない。
どうしたものかと悩んでいると。
〔衣類の供給申請あり〕
おお、ナイスなタイミング。と言うか、私が困ってるから助けてくれてるんだろうけど。
〔……より、申請は却下されました〕
ええ!?
着る物くらい良いじゃない!
私に真っ裸で過ごせっていうの!?
〔魔法衣のスキルにより、魔力構成された衣服を着用可能です。100スキルポイントを消費して、魔法衣のスキルを獲得可能です。魔法衣のスキルを獲得しますか?〕
あなただけは、私の味方だ。
いつまでも真っ裸ではいられない。
なので「はい」を選ばない理由がない。
〔承認しました。100スキルポイントを消費して、魔法衣のスキルを獲得。魔法衣のスキルを肉体に適用。最適化しました〕
全身を覆う、ローブの様な服が生成された。
何の飾りも無いが、今はこれだけで十分。
〔魔法衣の常時発動をONに設定できます。ONにしますか?〕
途中で解除されても恥ずかしいし、ONにしておこう。
〔魔法衣の常時発動をONにしました〕
さて、引き続き鑑定鑑定。
鑑定の結果、やっぱりステータスが存在していた。
HPやMPは予想通り、ヒットポイント、マジックポイントだった。
SPはスペシャルポイントで、主に技系を使用した時に消費されるポイントだと言うことが分かった。
数値は全て1000だった。
比較対照が居ないから、この数値が高いのか低いのかは分からない。
それでも、自分の強さを数値化して見れるのは大きいと思う。
その他の鑑定結果も、ある程度は予想通りだった。
攻撃力、守備力、魔力、魔法耐性と、ゲームでは見知ったステータスが出てきた。
そのどれもが1000だった。
全ステータスが1000と言うのは、もしかしたら強いのではないだろうか?
比較対照が無いから何とも言えないが、一般的なゲームから見れば普通に強いはずだ。
ステータスについては、とりあえずこんなものかな。
それよりも気になっているのは、最後に表示されたスキルの項目。
鑑定はこれからだが、今までの優遇っぷりから、転生特典なるものがあっても不思議ではない。
私は、スキルの項目に向けて鑑定と念じた。
そこに表示されたものに、私の目は釘付けとなっていた。