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135 セラメリア襲撃

 セラメリア復活から一夜明け、私は混乱の収集に奔走していた。

 何というデジャヴ……。

 復活して即行動に移さなかったのはありがたいけど、これはこれで大変だ。

 これでは、リンちゃんに戦い方を教えることもできやしない。



「……アナスタシア」

「はい、何でしょう?」

「今すぐ、全国民を集めて。混乱を収集するためにも、国民に説明をしなければ」

「……分かりました」



 本当なら、こんなことはしたくない。

 でも、やらなければ。

 セラメリアは恐怖を糧にしている。

 それを少しでも緩和させなければ、取り返しがつかなくなる。



 私はバルコニーへ出た。

 眼下には……恐怖にうち震える国民の姿。

 ロウゲン王は言っていた。 私達は偶像なのだと。

 確かに、そうかもしれない。

 魔王は魔族にとって、勇者は人族にとっての偶像だ。



「魔族の皆、良く聞いてほしい」



『なるほど。だから神は……』



「すでに皆も気づいているものと思うが、初代魔王であるセラメリアが、永き時を経て復活を果たした」



『この世界を……(お前)に託したのか……』



「復活したセラメリアは、人族を、魔族を、そしてこの星を破壊し尽くすだろう」



『ならば……私は……』



「だが、その様なことを、私は許さない。私の愛する皆を、私を愛してくれている皆を、私は守りたい!」



 国民の恐怖が薄らいできた。

 もう少しだ。



「だから……だから、私に力を貸してほしい! 皆を守るために、皆の力を貸してほしい! 勇気を奮い立たせ、この恐怖を退けてほしい!」



 私は国民に対し、深々と頭を下げた。



「どうか、私に力を!」

「……駄目だ。お前達は私に、その命と恐怖を捧げるのだ」



 ……せっかく恐怖が薄らいだと言うのに。

 声の方向を見上げる。

 そこに居たのは……セラメリアだ。

 背には黒い翼を生成し、私達を見下している。

 遠目には確認できないが、鎧を身に纏っているのか。

 あの鎧、どこかで見たような……。

 ……色々思案していると、セラメリアは私の前に降り立った。

 不測の事態に備え、待機していたみんながセラメリアを取り囲む。

 私も魔神爪サイカを装着し、戦闘態勢に入る。

 こんなところで戦うとは思ってなかったけど、ラスボス自ら登場するとは好都合だ。

 この場で、あんたを倒す!



「私を倒す……か。出来るものならな」



 セラメリアは両腕を広げた。



「どうした? 私を倒すのだろう?」



 やっぱり、あの鎧は……コルタが作っていた鎧だ。

 と言うことは……。


 レイロフ君とアナスタシアが、同時にセラメリアへ斬りかかった。

 しかし、二人の攻撃を受けても、セラメリアの鎧は傷一つついていない。

 いや、それよりもだ。



「セラメリア、その鎧は……」

「ああ、これか。ドワーフの女が作ったものだ」

「ドワーフの女……まさか、あんた!」

「ああ、何とも呆気なく、そして愚かだったよ。よもや、武具を守るために、自らの命を投げ出すとは」



 その言葉を聞いた私は……魔神爪サイカに、魔力を限界まで充填した。



「あんた……よくもコルタを!」

「手加減はしておいた。今すぐ助けに行けば、一命を取り留めるかもしれぬな。私を前に、虫の様に逃げ出せばな」

「あんた、どこまで腐ってんのよ!」

「腐敗しているのは、この星に住む全ての生物だ。その腐敗した観点からするのなら、私は腐っているのかもしれぬがな」



 これだけ怒っていても、私は冷静だ。

 少なくとも、テレフォンを使ってカグラに指示を出すくらいには。



《カグラ、頼みがある》

《分かっています。コルタさんの工房へ行けば良いのですね》

《セラメリアの言葉は信用できないけど、もしセラメリアの言っていることが本当なら、コルタを助けてほしい》

《任せてください》

《……一応、リザレクションの魔法を教えておく。私達が隙を作ったら、転送を使ってコルタの工房に向かって》

《分かりました。どうかお気を付けて》




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