132 VSサキ・クローンズ3
クローン達は、エレヌスさんが去っても関係なく、こちらへ刃を向けている。
主が居なくなったんだから、少しは統率を乱しなさいよ。
と言うか、リンちゃんが気絶してる状況はマズい。
クローンがリンちゃんを狙わないよう立ち回るか、先にリンちゃんを回収するか。
……よし。
「カグラ、リンのところへ走って!」
「は、はい!」
リンちゃんを守りつつ、クローンを倒す。
これが一番確実だろう。
……そうはさせまいと剣盾、ダガーが飛びかかる。
とりあえず、剣盾に蹴りを入れる。
盾で防がれてしまったけど、剣盾を吹き飛ばすことはできた。
次いでダガーを攻撃する。
……さすが、ダガーを使ってるだけあって素早いけど、今の私に当てられないとでも?
私はダガーの攻撃を回避し、鳩尾を殴ってやった。
ダガーも後方へ吹き飛び、柱に激突した。
……カグラはリンちゃんの回復を始めた。
まずはカグラの回復が終わるまで耐えないと。
私はこの場から動けないから、弓と杖には要注意か。
……まあ、ゲーム脳とゾーン発動してるから、問題はないけど。
今度は斧が飛びかかってきた。
斧の攻撃を受け止め……おっも! なんだこれ!?
「重力斧撃、メガトンアクス」
受け止めた斧は、とんでもない重さになっていく。
すっかり忘れてた重力属性。
元々重量武器である斧と、相性が良いじゃない。
……少なくとも、感心するだけの余裕はある。
どうしようもないわけじゃないからね。
久々の暗闇魔法、影潜みと影走りを発動。
影の中は攻撃が当たらないからね。
私は斧から少し離れた場所で、影から飛び出した。
……私のことを見失わなかったのは、さすがだと言っておく。
でも、それだけ。
魔力充填。
斧の攻撃を回避し、魔神爪サイカで体を貫いた。
……よし、まず一人目。
「白光弓撃、アローレイン」
突如、私の周りに光の雨が降り注いだ。
なるほど、私の暗闇魔法を警戒してか。
影潜みは光の攻撃に弱いからね。
私に当てず周りに撃ったのは、逃げ場をなくすため。
ここから、杖が大技を放つ。
「轟雷魔法、ライトニングボルト」
即座に私は、魔神爪サイカに土水晶をはめ込み、魔力を充填させ防御体勢をとった。
土属性は雷属性を無効化する。
そして雷属性の魔法は着弾までが速く、魔法を構築する暇がない。
だから、この方法をとったわけだ。
完全に無効化はできなかったけど、それでもかなりのダメージを軽減できた。
「短剣連撃、キラービー」
蝶のように舞い蜂のように刺すって?
虫は嫌いだから、叩き落としてやるわ。
私はダガーを充分引き付けてから、後頭部をぶん殴ってやった。
顔面から床に叩き付けられたみたいだね痛そう。
ともあれ、これで二人目だ。
残り四人。
「サキさん、凛ちゃんの回復は終わりました。しばらくすれば目覚めると思います」
「分かった。それじゃあ、こっちの加勢を頼むわ」
「……もう、サキさんだけでも倒せそうですけど?」
「そんなこと言わずに手伝ってよ」
なんて呑気に話してると、槍が飛びかかってきていた。
「必中槍撃、ゲイボルグ」
ゲイボルグときたか。
確か、必ず命中する槍だったかな?
……槍と言うものは、柄の先に刃が取り付けられている。
つまり、槍の柄を捕らえてしまえば、刃は当たらないよね。
「神光魔法、ジャッジメント!」
カグラの放った魔法が、槍に襲いかかる。
……これで三人目、やっと半分だ。
残りは、剣盾と弓と杖か。
厄介なのを残しちゃったな。
「炎魔剣技、クラウ・ソラス」
ゲイボルグの次はクラウ・ソラスか。
……クラウ・ソラスってどんな剣だった?
「輝く刀身は、相手を眩惑すると言われる魔剣ですね」
説明ありがとうカグラ。
もう遅いけどね。
私達は輝く刀身に目が眩んでしまった。
……でも、こう言う時のための魔力探知だと思うんだ。
剣盾の放つ微量の魔素を頼りに、その方向へ攻撃した。
手応えあり。
数秒して目が慣れると、私の前に剣盾が倒れていた。
残りは二人だけ。
「魔炎弓撃、ガーンデーヴァ」
クローンの使う技が神話の武器な件について。
いちいち思い出すのも面倒だ。
私は放たれた矢を弾き、カグラに合図を送る。
「極凍魔法、絶対零度!」
弓はカグラの魔法により氷漬けになった。
残るは杖一人だけ。