131 VSサキ・クローンズ2
クローンズは六体、武器も様々だ。
剣盾、斧、ダガー、槍、弓、杖と、バランスが良い。
さらに、私の攻撃を耐えていることから、ステータスもかなり強化されてるようだ。
それにエレヌスさんは、クローンをこの場で使い潰すつもりでいる。
味方を巻き込んで攻撃する可能性も、考えておかないとね。
……それよりもだ。
カグラ。 さすがに着てる服が違うから、間違えることはないと思うけど……もし誤射でもしたら、怒るからね?
「大丈夫です、一発までなら誤射ですらありません」
この子、さらっと怖いこと言ってるよ……。
本当に頼むよ?
と、コントやってる場合でもないね。
さっさと片付けますか。
まずは魔法を当てて様子を見る。
先ほどの先制攻撃から、魔法耐性はそこまで高くないことは分かってる。
でも倒せなかった。
それどころか、致命傷にすらなってない。
……HPがボスクラスに高いのか。
それでも、全員が全員、魔法耐性が高いわけでもないはず。
だから、誰に効いて誰に効かないのかを見極める。
「失敗作、処分せよ」
「失敗作、処分せよ」
「失敗作、処分せよ」
……片言ではなくなってるのは進歩だけど、やっぱりあんた達はそれしか喋れないのか?
本当に、もっと色んなことを学びなよ。
少なくとも、私が倒すことを躊躇するくらいにはさ。
まずは六体全員へロックオン。
回避不能の魔法を発動させる。
剣盾と杖は防ぐだろうけど、他は防ぐ術がない。
ステータスを見破ることはできないから、魔法が当たった反応で大まかなダメージ量を予想するしかないけどね。
当ててみた結果、ダガーと弓にはそれなりにダメージが入ったようだけど、斧と槍はダメージが低い。
それから、剣盾は盾で防いだけど、杖は氷晶壁で防ぐ必要もないと言った様子で魔法を受けた。
実際、ダメージもほとんどなかっあようだ。
弓<ダガー<槍<剣盾<斧<杖
魔法耐性はこんな感じか。
……よし。
「さっさと倒して、リンの加勢に向かうよ」
「了解です」
一方のリンちゃんは、苦戦を強いられていた。
魔法使いとの戦い方を心得ているリンちゃんでも、エレヌスさん相手は厳しいようだ。
「勇者とは言え、所詮は人の子か」
「チッ、あの杖さえ無ければ」
エレヌスさんは、あの杖に魔力を送り込むことで、攻撃力を引き上げている。
私の持つ、魔神爪サイカと同じだ。
前回戦った時は攻撃を受ける際、その都度魔力を充填しなければならなかった。
でも今回の杖は、一度魔力を充填するとしばらくは再充填を必要としないよう調整されているようだ。
だから、リンちゃんの攻撃を連続で受け止められるってことだね。
そのことに気づいてる辺り、さすがリンちゃんと言えるだろう。
「さて、儂も暇ではないのだ。そろそろ引き上げさせてもらうぞ?」
「逃がさない!」
エレヌスさんが転送方陣を発動させようとしているところへ、リンちゃんが斬りかかった。
が、その攻撃は受け止められてしまう。
「威勢がいいのは良い事だが、今は眠っとれ」
エレヌスさんはリンちゃんの剣を払いのけ、体を杖で突いた。
……私もやられた、あの魔法だ。
何と言うことはない、あれはただの疾風魔法だ。
相手の魔法耐性を突破せずに、体を吹き飛ばすだけ。
あの時は星海で戦ったけど、今回は屋内だ。
吹き飛ばされたリンちゃんは、柱に叩き付けられた。
その衝撃で、リンちゃんは気を失ってしまった。
「サキ、そして予言の巫女よ。セラメリアの復活は止められん。お前達がしている事は、全て無意味なのだ」
転送しようとするエレヌスさん目掛けて、私は魔法を放った。
しかしそれは、剣盾によって防がれてしまった。
言いたいことだけ言って、エレヌスさんは消えてしまった。
……転送妨害装置が起動していれば、エレヌスさんは国外へ逃げることができなかったはずだ。
今回も、してやられたってことか。
……嘆いても仕方がない、考えるのは後だ。
今は、クローンを倒すことを考えないと。