128 2号VSリン2
どうやらリンちゃんは、魔法が得意ではないようだ。
天井に張り付いている私に対して、ジャンプ攻撃しかしていないのがその証拠だ。
とは言え、このままではどうしようもない。
倒すことが目的じゃないけど、こちらが倒されては元も子もない。
そんなことを考えていると、リンちゃんは剣に光を纏わせ始めた。
……まさか斬撃を飛ばすとか、そう言うことをしないよね?
私の予想は当たってしまった。
リンちゃんが剣を振り下ろすと、剣に纏った光は光刃となって飛来した。
なるほど、距離は関係ないってことね。
どうにか避けられるけど、これでは天井に張り付いている意味がない。
リンちゃんのどの攻撃も、一撃くらえば終わりだからね。
……1号なら、この攻撃を掻い潜ってリンちゃんの懐に潜り込むこともできるけど、私には無理だ。
今だって、ゲーム脳とオタクゲーマーのスキルをフルに使って、やっとの思いで攻撃を避けている状態。
そんな中、リンちゃんの懐に飛び込むのは、それこそ自殺行為だ。
でも、至近距離に張り付かないと、リンちゃんの攻撃は避けきれないし……。
「考え事は終わった?」
おや、待っててくれたようだ。
考えは纏まってないけど、行動を起こさないことには始まらない。
私は魔法を展開しつつ、天井から離れた。
私が床に降り立つと同時に、魔法がリンちゃんの居たところへ着弾する。
リンちゃんには当たっていない。
ギリギリまで引き付けてから回避したようだ。
それでも良い。
むしろ、避けてくれた方が都合が良い。
私はさらに、ふたつの魔法を発動させた。
灼熱魔法、誘導型業炎球と濁流魔法、水塊弾。
その内、水塊弾は発動させず待機。
このふたつを切られても困るから、その他初級魔法を放って気をそらす。
「ああ、もう! うざったい!」
よし、気がそれた。
リンちゃんは部屋内を大きく周りながら、私が放つ魔法を避けていく。
それでも誘導型業炎球だけは振り切ることができない。
……動きが雑になってきた。
誘導型業炎球を消そうとすることを忘れてしまうほどに。
そろそろ頃合いだろう。
この期に及んでリンちゃんは、業炎球を私に当てるためかこちらへ走ってきている。
それなら好都合。
私は待機させた水塊弾を発動させた。
「甘い!」
悪いけど、甘いのはリンちゃんの方だよ。
私の放った水塊弾は、ギリギリのところで回避された。
そして水塊弾は、リンちゃんを追尾していた業炎球と衝突した。
炎と水、ぶつかればどうなるか。
……私達の居る部屋は、大量の水蒸気で満たされた。
これで、視界を奪うことができたわけだ。
私も見えないけど、魔眼の魔力可視化を使えばリンちゃんの位置は分かる。
そして、このタイミングを見計らってた1号が、部屋に飛び込んできた。
全ては手はず通り。
1号はシャドウサーヴァントを解除し、リンちゃんに対して拘束魔法をかけた。