表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
161/188

126 魔王は勇者を倒せない

 神谷 凛華。

 彼女は転移者であり、カグラの同級生だそうだ。

 さらに、私が転送する前にプレイしていたオンラインゲーム、ブレアクのチームメンバーだったことも発覚した。

 カグラがマイと言う名前でプレイしていて、リンちゃんがかみりんと言う名前でプレイしていた。

 かみりんには、私も一目おいていた。

 もし、私とかみりんのLVが同じだったら、私はブレアク内で負けていたかもしれない。

 そう思うほど、かみりんのプレイは神憑っていた。


 そんな彼女が敵となっている……。

 考えたくはないが、その事実は揺るがない。

 カグラが、分が悪いと言うわけだ。


 ……それだけではない。

 リンちゃんの持つ勇者のスキル。 

 これがまた厄介だ。

 どうやら、勇者のスキルにはプロテクトがかけられているらしく、アナスタシアのような魔族や、魔王である私ではスキルの詳細を知ることができない。

 しかし、カグラは魔王ではなく、また魔族でもないため、勇者のスキルの詳細を調べてくれたようだ。

 カグラの話をまとめると、私ではどう足掻いても勝ち目はない。



〔勇者:選ばれし者だけが手にする、レジェンドスキル。このスキルは、世界に一人しか所有する事が出来ない。全てのステータスにプラス補正が掛かり、LVの上限が解放される。また、スキル:魔王を所持する者のステータスをコピーし、自身のステータスへ上乗せする事が可能〕



 ……何でもありかと思うよ。

 このスキルの効果がある限り、私ではリンちゃんを倒せないと言うことになる。

 勇者は、魔王を倒すために選出された人族。

 それが、勇者のルーツだ。

 何の対策も無しに魔王へ挑むとは思ってなかったけど、まさかこんなカラクリがあるとはね。


 感心してる場合でもないけど、これはシステムから覆さないと無理じゃないか?

 もちろん、そんな方法があるとも思えない。

 ……でも、魔王と勇者の戦いは五百年続いたわけだし、何かしらの対策を講じてたんだろうけど。



「サキさん。勇者の説得は、私に任せてください」

「それはありがたいことだけど、どうやって説得するつもり? あの子は思い込みが激しそうだし」

「大丈夫です、私に考えがあります」

「……分かった。でも、無理はしないで」



 アナスタシアには本国へ救援を送るよう伝え、私達はリンちゃんが居る雲龍雷虎城へ向かった。


 さて、カグラの転送が使えない今、どうやって城内に忍び込もうか。

 ユキメならハイドの魔法が使えるから、侵入するのも楽だったんだけど。



《そんな時の2号ちゃんでしょ!》



 2号からテレフォンが入った。

 そう言えば2号には、リンちゃんの動向を探らせてたんだっけ。

 ……だったら私達がピンチになる前に助けなさいよ。



《それは無理な話だね。だって1号、私に戦闘能力を付与してないでしょ? そんな私に助けろだなんて、無理な話なのよ》

《でも、リンちゃんがどこに居るのかくらい、教えてくれても良かったのに》

《いや、頼まれなかったし。そもそも感覚遮断してたから、そちらの様子は分からないよ》



 おのれ役立たずめ。

 ……それは良いとして、2号は今どこに?



《城内何だけど……変な部屋に入ってからリンちゃんを見失っちゃったんだよね》

《変な部屋?》

《見たこともない装置かある部屋》

《2号さん、その装置はどの様な形をしていますか?》



 カグラがテレフォンに割り込んできた。



《どうして私のことを?》

《説明は後です。その装置の形状を教えてください》

《うーん……アンテナのような形だね。先が二又になってて……音楽で使う音叉のような形》

《でしたら、そのアンテナの下に、機械の様な装置がありますよね?》

《あるよ》

《そこに、ランプが点灯しているはずです。その色は?》

《色は……赤で点滅してる》



 ……何だろう、この疎外感。



《赤で点滅ですね? でしたら、これから私の言う通りに装置を動かしてください。まずは、装置の横にあるレバーの様なものを引き出してください》

《引き出せるの? ……本当だ》

《限界まで引き出してください。反対側も同様にお願いします》

《了解》



 見守る……いや、見てすらいないから、様子を聞いてることしかできないのは歯痒いね。



《1号うるさい。集中してるんだから黙ってて》



 ……怒られてしまった。

 何か……いや、何も言うまい。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ